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共和建設
2053年、岐阜県岐阜市
事件から10年後、登は目的地へと足を進めた
目指すは駅裏の古ぼけたビルの二階
「ここのはずだが」
共和建設、登が見上げた先にはこの文字がガラスに記されているだけであったが
彼はここがダイイングメッセージの指す場所であると
明確に思っていた。
理由は自分にもわからない。ただ頭にkyouwaと共和建設の文字が
まるでルービックキューブの目が揃ったかのようにピタリと当てはまったからである。
しかしこの共和建設見た目はただの古い建設会社だが、かなりの曰くつき企業である。
というのは、ここ最近警察の犯罪検挙率が著しく低下している。
これだけ聞くと、警察が廃れただけに聞こえるが
検挙率が下がり始めた年に起業したのがこの共和建設である。
そして、その年からは見事に犯罪検挙率と特別指名手配者の死亡率が
反比例する形になっているのである。