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王都、もといギルドへ

 考えに考え抜いた結果ぼかさずに全部話すことにした。決して鬼気迫る表情で刀の柄に手をかけて威嚇するカグヤに屈したわけではないと思いたい。

 そんなわけで全部包み隠さず話し終えるとカグヤは完全に呆れて溜息をついた。


 「本当にお前は何なんだ。精霊の加護を受けた武器から精霊を引っ張り出すとは……」

 「褒め言葉として受け取っておこう」

 「褒めていない!」


 俺とカグヤがそんなやり取りをしているとそれまでじっとそのやり取りを見つめていた精霊が口を挟んだ。


 「……私、精霊と違う」

 「何?武器に加護を与えていたのはお前だったのではなかったのか?」

 「……私、大精霊」


 ……はい?大精霊?精霊と何か違ったりするのか?

 気になってカグヤに訊いてみた。


 「大精霊は精霊が数百、千年の時間を生きて成長した姿だな。精霊よりも強い加護を与えられるが数が少ない。個々の力が低い精霊が何百年以上も生きなければならないからな」

 「ふーん……。で、属性は?」

 「……私、火と水と地と風の四重属性」


 ……はい?四重属性?なにソレ凄い。

 俺は闇と光の二重属性だがその二倍の四重属性とな?

 あれ?でもグズリー・バーサーカーは闇属性の魔法しか使ってこなかったぞ。

 気になったので訊いてみた。


 「呪いの武器に宿った精霊__つまり呪精霊は呪うという性質上属性が闇属性に固定化する。奴が闇属性の魔法しか使ってこなかったのはそれが理由だ」


 ふむふむ。

 そんな理由があったのか。あーあ、この世界の常識ももらってくれば良かった。知らないことだらけだ。


 「そうか……。んじゃそろそろコイツも一緒に連れて……あっ」

 「どうかしたのか?」

 「…………?」

 「そういや名前訊いてなかったな。お前の名前は?」


 すっかり忘れていた。俺は隣で一緒に座っている精霊の名前を訊き忘れていた。

 お互いに名乗ってなかったんだったよ。危ない危ない。


 「……フィー。父様がそう言ってた」

 「そっか。俺はシンゲツだ」

 「私はカグヤ。冒険者だ」


 お互いに名乗りをあげて今度こそ行くことにした。行き先は王都だ。

 理由?カグヤが依頼達成をギルドに伝えに行くついでに俺のギルド登録を行うからだ。


 「それでは向かうとするか。少々早足で行くぞ」

 「ういーっす」

 「……解った」


















 道中は何も無かったのでカットだ。驚く程平和だったよ。王都入る時もカグヤがギルドカード見せて一発OKだったしね。

 俺とフィー?カグヤの知り合いだということで大丈夫でした。

 警備兵ェ……良いのかコレで。王都の警備カッスカスじゃねえか。


 そんなこんなで無事にギルドに到着した俺達は真っ先に受付に向かった。

 カグヤは報告。俺とフィーはギルド登録の手続きだ。

 大体のこういう受付がある場所でのお約束の綺麗な受付嬢の人が紙を出してくる。


 「ではこの書類に名前を書いて提出して下さい」

 「ほいほい」


 俺は軽く返事を返してスラスラと書類にペンを走らせる。そして受付嬢に提出する。


 「……解りました。では『ああああ』でギルド登録を行いますね」

 「良いっすよ」

 「良いわけありません!書き直しです!偽名は構いませんが真面目に書いてください!」


 怒られてしまった。軽いジョークのつもりだったのに。

 俺は再び渡されたさっきと同じ書類にスラスラとペンを走らせ今度はちゃんと俺の名前を書いて提出した。


 「……では『シンゲツ』様と『フィー』様でギルド登録を行います。宜しいですか?」

 「おう」

 「…………(コクン)」


 受付嬢は書類を受け取って白紙のカードの上に翳すとボソボソと何かを呟いた後、そのカードを俺達に手渡した。


 「これでギルド登録が完了しました。今お渡ししたカードは証明書です。貴重な資源も使用している為、万が一紛失してしまった場合にはそれ相応の賠償金を支払うことで再発行致します。またステータスなども情報として表示することも可能です。他にも様々な機能がついているので是非試してみてください」


 受付嬢からギルドカードを貰って説明を聞いた俺達は壁際に横一列で並んでいる椅子に座ってカグヤを待つことにした。

 ついでに周りを観察すると人間以外にもオークやウルフマンなどの魔物がちらほらいるのが解ったが、やっぱりアンデット種は俺以外にはいなかった。

 フィーは俺の隣に座ってじっと一点を見つめている。通り過ぎる人がこちらを必ずと言って良いほどに振り返る。


 そんなそれなりにのんびりとした時間を過ごしていると、突然ギルドの扉が勢いよく開き、必死の形相をした男が飛び込んでくる。

 全員「何事か!?」というような感じで男を見る。

 休まずに走ってきたのであろう。男は息も絶え絶えに話し出した。


 「……た、大変だ……!魔王軍が……攻めてきた!」

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