000 リティール
やや見切りで発車しました。
リティール。
その名は地球という名の惑星に始めて建国された統一国家の名前だ。
西暦も2100年を越えようとしたある日、世界規模の大地震が起こった。
その災害規模はすさまじく、地球人類の70%以上を減らす程の大惨事であった。
またその地震が原因となり、大陸の形が大きく姿を変えた。殆ど1つの大陸になってしまったのだ。
復興は困難を極めた。復興するにも人手が足りない。大陸移動による気候の変化で食料の確保も難しくなった。意思疎通も言語の違いという壁によって上手くいかず、更に大陸が統一されたことによって異民族間の争いも絶えないようになっていた。
そうやって荒廃した世界は更に荒んでいった。
結局、その状態が100年以上も続いた結果、更に15億近くの人間が減ってしまった。地球上に暮らしていた60億以上いた人間が、たった5億人程になってしまったのである。
次第に人々は自らの存亡の危機を感じたのか、はたまた争いに疲れたのか、復興と再生に向けた活動が本格的に始まった。
そうしてようやく人類が元の暮らしを取り戻しかけた頃には元の国などの事は忘れてしまっていた。
言葉も今までの言葉から新しく世界共用語が作られた。
大震災からおよそ200年程が過ぎた時、かつて東京と呼ばれたいたであろう大地を中心に大都市が形成されていた。
そしてそこを中心に「リティール」という国家が生まれたのである。
厄災を経て、ようやく人類がひとつになったのであった。
そうして更に幾許かの時を経て…そんな大地震の記憶も遠い過去のものになったころ。
人々は平穏に暮らせる日常が当たり前になった。
これはそんな平穏を取り戻したリティールで発生した、最悪かつ最後の、そしてその歴史全てを、その運命を賭けた戦いの記憶の物語。