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題名の無い本編  作者: 黒企画
序章
14/27

011 J・J社の終焉とその影響

なんか前回の区切りが中途半端だった…。

ジョルノ「フ、フフフ、ハハハハハハハハ!大層な名前だな。デストロイヤー、だと!?そんな過ぎた名前は今ココで沈めてやるよ!!」


 笑いながらジョルノはポケットから短い棒のようなものを取り出し、それを握ると先端に仕込まれたスイッチを押した。


 ガシャン!ガシャン!ガシャン!

 ガガガガガガガガガガガガガガガ!


 シェルターの壁や天井、床が開いた、と思った瞬間、そこに現れる大口径のガドリングガン。

 ジョルノが対人用の最終防衛として設置していたものである。対人用にしては不釣合いな口径は強力な装甲を着込んでいる場合などを想定したものであったが、生身の男相手に向けるには不釣合いなシロモノであった。


男「・・・・・」


 男が何かを呟いたような声が聞こえたが、ガドリングガンの音が大きく聞き取れない。


ジョルノ「死ねよ!死ね、死ねしねしねしねねねねねねえぇ~い。ヒーッヒッヒッヒ」


 ガドリングが十字砲火のように放たれる中、その音の中で狂ったように叫ぶジョルノ。いや、事実もう狂っていたが、この絶対的ピンチをこれで脱したという喜びもあってか、輪をかけておかしくなっていた。


 カラカラカラカラ


 何十秒間撃ち続けただろうか。弾が尽きていた。

 部屋にはもうもうと白い煙が立ちこめ、男の生死は未だ確認できていない。


ジョルノ「ヒィッ、ヒィッ、フ、フハハハハハ!ハーッッハッハッハ!大層なクチ聞きやがってよ!結局はこのザマか!!最後に笑うのはこの俺様なんだよ。このボケがぁっ!このJ・J社に一人で乗り込んでくること自体が無謀でバカなことだったんだ。飛んで火にいるなんとやらだな!」


男「一体誰のことだ?」


 ジョルノの勝利を確信した台詞に、どこからともなく声が聞こえた。


ジョルノ「ひっ!?」


 煙の中から声は聞こえていた。


ジョルノ「そ、そそそそそそ、そんな!生きているわけが無い!ににに人間じゃない!!」


 煙が一瞬で風に吹かれたように掻き消える。

 そこに男はキズ一つ無くたっていた。

 同時に確認できた、信じられない光景。


ジョルノ「!?な、なななななんだコレは!?」


 男の周りには、先程放たれたはずの弾丸が、全てふよふよと浮いていたのである。

 ジョルノはあまりの現実離れした事実に思考がついていかない。


ジョルノ「これは夢だ、そうに決まっている!こ、こんなことが現実にあるわけが無い!!そうだ!現実にウォンの青二才如きに簡単にやられるわけがない。ハハハハハッ!!悪い夢だ!なんという悪夢だ!ならば目覚めたら真っ先に潰してやる!私にこんな悪夢を見せるウォンもろとも、S・W社など叩き潰してくれるわ!!!」


 最早、ジョルノは夢と現実の区別もつかないほどに取り乱していた。正確には、現実を認めたくないがゆえの現実逃避であったが。


男「さらばだ」


 何の感情もなく、短く言い放つ男の声を合図に、浮いていた弾丸たちは一斉にジョルノをその射線に捉える。


ジョルノ「これは夢、夢、夢、夢、悪夢なんだ!」


 男が手を振り下ろす。と、同時に、弾丸がジョルノに向けて射出される。


ジョルノ「これは夢!It’s My Dreem!ただ悪いだけの夢なんだぶるげはっ!!!」


 何千、という弾丸がジョルノに殺到し、粉微塵になるジョルノ。

 裏の世界を支配してきたジョルノのなんとも無残な最期であった。


 男は軽く目をつぶり、心の中で黙祷を捧げる。

 可哀相という感情はないが、命を奪ったことに対するこの男のけじめのようなものだった。

 そのまま男は携帯を取り出すと電話を掛ける。


男「私です。任務完了」

ウォン「ゴルディアスか。ご苦労だった」

ゴルディアス「一度、報告に戻りますか?」

ウォン「いや、その必要は無い。自宅に戻って休みたまえ」

ゴルディアス「了解」


 短い報告と確認事項だけを終わらせて、ゴルディアスは携帯を切る。

 そして廃墟と化したジョルノ邸をゆっくりと後にした。




 次の日、J・J社が経営不能となる。

 全ての決裁権が社長であるジョルノに集中していたことや、ジョルノの顛末と誰がその制裁を下したか知る上層部の人間が一人残らず逃げてしまった為だ。

 そして、それを当然のように利用したS・W社が、全ての事業を受け継ぐ形で奪う。

 その社会的影響と混乱は大きく、大手は無論のこと、中・小企業、分野の違う職種にまで大きな波紋をもたらしていた。


 バークレイ区の中央部に存在するM・B社。

 極めて普通の一流企業である。

 それなりの歴史と、それなりに質のいい商品。裏の稼業もなく、清廉潔白というまでほどに綺麗な会社ではなかったが、世間一般的には普通の一流企業という認識を持たれている大企業である。

 そのM・B社は今、かなりの混乱状態にあった。


 その原因は主にこの会社がJ・J社の受注をメインに動いていたことにある。

 既にJ・J社の事業を引き継ぐと発表したS・W社から早々に、

 『M・B社との取引・契約の全てに関して、白紙撤回とする』

 という宣言がなされていた。


 これはこれから入る収入全てが撤回されたと同時に、今まで投資した全てが無駄になったことになる。無論、M・B社は抗議したが、『M・B社の契約全てはJ・J社と為されたことである。J・J社との間にかわされた契約はS・W社の事業となる全てに適応されない』として、それを退けた。


 この状況により、M・B社は一夜にして会社存続の危機に立たされていた。

 そうして下された結論は、大規模なリストラである。


 そのリストラ対象の中に、メッチェ・カルナークがいた。


 メッチェは20歳にしてM・B社に入社した。既に19歳で大学を卒業するという優秀な成績を修めていたため、あっさりと入社が可能であったのだ。入社後の彼の働きぶりは素晴らしいの一言であった。加えて人格面でも評判が良く、人望を広く集めていた。そんな彼が今回のリストラの対象となったのは、一番の理由として「上層部の不安と恐れ」である。

 今回のリストラにはそれなりの役職に就く者でも、それだけの能力が無いと判断されたものも多く含まれる。こうなると、当然空いた役職に誰かを当てなければならないのだが、メッチェほどの能力を持つものが、そうした混乱の中を利用して上層部に食い込んでくるのは、能力的にも人望的にもそう遠くない話になるのは明らかであった。

 通常であれば、優秀であるのだからいずれは会社を引っ張る存在として、と考えていた部分もあったが、場合によっては明日にも自分が引きずりおろされる立場になるかもしれない、と考えた人間がいる。そうした人間達の工作により、メッチェに叛意がある、というような話を広め、リストラの対象とさせることに成功したのである。

 彼の同僚や、彼を知るものはそのことに対して抗議をしたが、メッチェはそれを受け入れあっさいと退職することを告げてしまった。


 これはメッチェがフランベルジュ特区のはずれに、それなりの豪邸といえる家をもつような富豪であったことが原因の1つであった。

 彼は早いうちに両親を亡くし、親族もなく、兄弟もいなかったことから、遺産をそのまま相続することになった。その相続額は贅沢をしないのであれば2代は楽に暮らせるだけの金額であった。


 メッチェがそれを利用して楽な生活に入らなかったのは、何かに「頼る」ことが嫌いであったという性格にある。必要であればそれらを使うことに抵抗も躊躇もないが、単にあるから、という理由で与えられただけのお金に手をつけるのは、彼には耐えられなかった。従って、メッチェは出来る限り、自分の力で稼いだお金で生きていくようにしていた。

 そうしてある程度、自分なりの蓄えも出来てきた矢先にこの事件であった。


 -これからどうするか…-


 最後の出社、といっても私物整理くらいだったが、を終えて自宅への帰路についていたメッチェは今後のことをどうするかと思案していた。


 -!?-


 メッチェは急に不思議な違和感というか、妙な感覚に捕らわれる。言い表せない不思議な感覚に戸惑い、危険を感じたような気がして、直後に察知した気配の方向に振り向きながら蹴りを放つ。


 バシッ!

 「キャッ!」


 メッチェが放った蹴りは受け止められていた。

 同時に女性のびっくりしたような声が聞こえたので慌てるメッチェ。


メッチェ「すまない、大丈夫か?」

女性「随分ですね。いきなり女性に蹴りで挨拶だなんて…」

メッチェ「申し訳ない。何か妙な違和感を感じてな…」

女性「フフフ、大丈夫です。それより、貴方がメッチェ・カルナークさんでいいのかしら?」


 急に自分の名前を出してきた女性に、メッチェは不信感を覚えるが、不思議とその考えはすぐ霧散してしまうのだった。


メッチェ「そうだが…君は?」

女性「私の名前は竜堂奈々。スィールズの件、と言ってわかりますか?」


 奈々と名乗った女性のその言葉。

 『スィールズ』

 その名称に、メッチェは驚きつつも、もうきたのか、と納得してしまう。


メッチェ「君は…そうか。とにかくここではなんだからな。入ってくれ」


 メッチェは先程感じた不思議な感覚が、馴染み深くもあるが、他人のものであるということに気が付き、内心で納得する。

 ひとまず奈々を家に招きいれ、話を聞くことにした。




メッチェ「ただいま。すまないがお客だ。お茶を2つ頼む」

執事「わかりました」


 メッチェが自宅に入ると、出迎えたのはもう長い間、この家の殆どを取り仕切ってきた老年の執事だった。帰ってくるなりのメッチェの言葉に落ち着いて対応する。


 広いとはいえないが、立派な応接室に案内され、ソファーに腰掛ける奈々。

 間も無くして、背広を脱いだメッチェがやってくる。

 ほぼ時を同じくしてお茶が届けられた。


 奈々とメッチェはお茶を一口。喉を潤すと早速本題に入る。


メッチェ「さて話を聞きましょう。と、いっても先日のガーディアンの死亡と何か関係があるのでしょうが。そして貴方のお父様の件も含めて」

奈々「ええ…。話が早いのは助かります。本来、私達ガーディアンは、個別にそれぞれのスィールズを守るという目的を持っている、というよりそういうものだと感じています。ですが、私達に敵対する目的を持つものは、かなり早い段階から組織を持ち、計画に基づいた行動をしているように思われます。これに個別で対応していては各個撃破されてしまうだけ。こちらも早いうちに仲間と合流して対抗する手段を持たないと全滅してしまうわ」


 奈々の話に神妙な面持ちのまま、耳を傾けるメッチェ。


メッチェ「それで私のところへ?」

奈々「そうです。私の家から一番近いガーディアンの反応がここだったものだから」

メッチェ「話は理解しました。そういうことなら協力するのに拒否する理由もありません。ですが、未だガーディアンとして目覚めていない者もいる可能性があります。彼らに対してどのように説明をするつもりです?」


 ガーディアンとして能力が覚醒すると、個人差はあるようだが能力自体の使用が可能になることと、ガーディアンとしての使命を自覚するようになる。使命も単にスィールズを守らないといけない、というものから、もっと深い情報まで知る者といったように差が発生する。

 無論、そもそも能力に目覚めなければ、ただの一般人でしかなく、こんな話をしたところで「漫画の見すぎじゃないのか?」と頭を疑われるだけである。


奈々「リーダーとなる存在。その方がいれば、そういった問題は解決するとお父様が遺してくれた資料には記述されていました」

メッチェ「リーダー・・・か。ということは、これから貴方の探索を頼りに探していくことになるのかな?」

奈々「ええ。リーダーとなる人物の名前はわかっています。ジョナサン・キャオ・マイロードという名前です。聞き覚えはありますか?」

メッチェ「いや、残念ながら。とりあえず、探索には協力するさ。一緒に探そう」

奈々「よろしいのですか?会社や生活などは…」

メッチェ「ああ。確かに団結の必要はある。むざむざ死にたくは無いしな。丁度都合よく、なのかな…。会社は解雇されたところだ。家族もいない。渡りに舟だったのかもしれないな」

奈々「そうですか…。兎も角、ありがとうございます」


 奈々はメッチェの事情を深くは聞かず、ただ礼とばかりに頭を下げた。


メッチェ「いいって。それより、次の反応とかはわかっているのか?」

奈々「次に近いのはアクチュエス市ですね」

メッチェ「探索範囲が広いな…。よし、車があるからそれでいくとしよう。」


 そういうとメッチェは執事に車の準備をさせる。


奈々「メッチェさん…」

メッチェ「どうした?」


 いそいそと準備を始めるメッチェに奈々は質問を投げかける。


奈々「貴方は…スィールズが何なのか、ご存知ですか?」

メッチェ「いや…。ただそれが全て破壊された場合、人類の存続が危ういとしか・・・」

奈々「私も同様の情報しか持っていません。しかし…一体それが何なのか。何故、私達が守らなければならないのか…」

メッチェ「………さあな…。ただ、俺達はそれを守るためにこんな能力を持っている、というのは確かな事実だな」

奈々「そうですね…」


 そういって奈々は窓から外を眺める。

 窓の外では木々が穏やかな初夏の風にその身を任せ揺られていた。

 それはこれから起こる事など何一つ想像させないかのように、穏やかで静かなものであった。


ようやくガーディアン側がぼちぼちと動き始めました。

そしてスィールズとは一体何なのか?

能力者たちとの関係は?この闘いにどんな影響を持ってくるのか?


相当長い先にいずれぼちぼちと明かされていきます。

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