Act1-2.5~狼煙~
駿の話を要約するとこうなる。
四日前、放課後
駿はそのとき部活の練習がひと段落ついて休んでいると、先輩が「ハードルとってきて」と言うので体育倉庫までとりに行っていたらしい。
その途中に、突然剣道着を着た人が出てきて駿に、「駿、駿・・・」って呼びかけてきたらしい。駿は怖くなって逃げようとしたそうだが、その人が、駿の腕をつかんで引き倒して、そこで足を木刀で思いっきりぶっ叩いたようだった。すべてが、伝聞形になっているのは駿の記憶が曖昧だかららしい。
要約していることはしているが、話している駿のことを俺は直視できなかった。それほどまでに痛々しかったのだそのときの駿は。俺は、途中で何度もやめさせようかと思ったけれど駿のために自重した。
しかし聞かなければならない、ことの詳細を。俺にはその権利義務があるのだから。そう言い聞かせた俺は問うた。
「駿、少し質問していいか。」
俺は恐る恐る聞くと、
「うん・・・。で、なにを?」
とあっさりとした、了承が返ってきたので少しびっくりした。
「まず、犯人は男、女?」
「声と体格からするに・・・男だと思う。」
「分かった、ならいいんだ。で、最近人間関係で何かあったか?」
「えっと、最近は何もないね。部活ばっかりだったから・・・」
「じゃあ、ちょっと言いにくいかもしれないが、お前は、いじめみたいなご大層なものでなくていい、嫌がらせとか受けてないよな?」
正直聞きたくなかったが聞くと、
「・・・・・・。」
という、明らかに何か隠している沈黙をしてくれた。俺としては最悪の返答だった。天才である駿に劣等感を持つ人は多いので一応聞いてみたのだ、答えまでは予想していなかったが。
「ありがとう、駿。それとさ、実はもう一つ一番大事な理由があるんだ。それをすべてが終わった後に話してもいいかな?」
俺はそういって病室を去ろうとすると、
「頑張って。それと、楽しみにしてる。」
頼もしい戦乙女の声を聞いて俺は戦場へ向かったのだった。
さぁ始めよう、俺たちのタタカイを・・・・