第4話
その日の授業が終わり、放課後になった。
「ねぇ光希、今日さ、カラオケ寄ってこうよ」
光希に声をかけたのは光希の友達の斉藤沙織
「ごめん沙織、今日はちょっと」
「光希ちゃんが断るなんて珍しい」
同じく光希の友達の中西愛理
光希が友達と話していると翔が鞄を背負い、教室を出た。
「あっ、ごめんね。2人共、また明日」
光希は翔を追いかけるため、慌てて教室を出る
「ねぇ愛理、なんか怪しくない?」
「沙織ちゃんもそう思う?」
「これは」
「聞かないとだね。」
翔は下駄箱で靴を履き替えていた。
「待ってよ、翔くん」
「なに?光希さん」
「ねぇ一緒に帰ろうよ」
「なんで?」
「なんでって、それは」
そこに沙織と愛理が声をかけた、
「何、光希って宮下くんみたいなのがタイプだったの?」
「なんか意外」
「沙織、愛理なんで?」
「なんでって光希ちゃん、なんか私達に隠し事してるみたいで怪しかったし」
「えっと、これはね、その」
「いいよ。わかってる。私達は光希の恋、応援するよ。」
2人は親指を立てる。
「いや、あの、これは」
光希は顔が赤くなる。
「斉藤さん、中西さん、なんか誤解してるようだから、訂正しとく」
「誤解って?」
「昼休み、英語の問題に悩んでる光希さんに俺が英語教えたんだよ。」
「英語を教えてた?」
「そういえば光希ちゃん、英語苦手だったっけ?」
「そう、それで放課後、何かお礼するって言われたけど、そんなお礼されるようなことしてないから断ったんだけどね」
「そうなんだよ。翔くん英語得意だからさ」
「そういえば、毎回テスト100点だっけ?」
「姉さんが海外留学する時に一緒に勉強させられたからね。」
「じゃあ、なぜ名前呼び?」
「それは」
「光希さんに友達になろうって言われたから、それで」
「そう、そうなの。」
「ふ〜ん」
「へぇ〜そうなんだ」
沙織と愛理はニヤニヤと光希を見る
「2人とも何?」
「いや別に〜」
「他の男子だったら、見向きすらしないのにって思って」
「ということで俺は帰るよ。夕飯の支度しないといけないし」
「夕飯の支度って?お母さんいないの?」
沙織が質問してきた。
「父さんの海外赴任が決まって、一緒に海外に行ったんだよ。それで今、一人暮らししてるんだ」
「一人暮らしか、いいなぁ」
「斉藤さん、そんないいものでもないよ。自分で全部やらないといけないし」
「あっ、そうだよね。」
「俺は帰るから、また明日」
「あっうん、また明日」
そう言って翔は帰って行った。
「さて、光希」
「詳しい話聞きたいんだけど」
「沙織、愛理、なんのことかな?」
「知ってる?光希」
「なにを?」
「光希ちゃんが隠し事してる時って、髪の毛触る癖があるんだよね」
「えっ、嘘!?」
「やっぱり隠し事してるんじゃん」
「もしかして私を嵌めたの?」
「私達、光希ちゃんの友達なんだよ。なんでも相談してよ。」
「ごめん、2人共、今は話せないんだ。」
「わかった。」
「えっ?聞かないの?」
「今は話したくないことなんでしょ?でもいつかは聞かせてね。」
「うん、ありがとう。2人とも。その時が来たら絶対話すから」
「それじゃ、光希カラオケ行こっか」
「光希ちゃんもう用事ないんでしょ?」
「そうだね、行こっか」
翔は自分の住むマンションに向かって歩いていた。
あの2人にバレるのも時間の問題な気がするな。
光希さん隠し事苦手そうだし
そこは仕方ないとして
問題はKITAGAWAコーポレーションの方かな。
娘を政略結婚させる程、経営が傾いてるとは思えない。
昔ならわからなくもなかったけど、今こんなことして、SNSで炎上でもしたら、経営が傾くことだってありえる話だし、なにか知られたくないことがあると考える方が妥当かな。
翔があれこれ考えながら歩いているとスマホに着信が入る
「アレン?」
アレンはハルトのゲーム友達であり、大人気オンラインゲーム『ファンタジークロニクルインフィニティー』通称FCIのトップランカー
アメリカに住んでいるアメリカ人だが日本好きで日本語は完全にマスターしている。
「はいもしもし」
「ハルト久しぶり」
「久しぶり、というか、そっちまだ深夜だろ?」
「何言ってるの?昼夜逆転生活程、楽しいことはないでしょ?」
「ダメだコイツ早くなんとかしないと」
「まぁまぁ、それより今夜のFCI配信だよ。新たなクエストに挑戦するんだよね。」
「あぁ、VTuberの巫女音さんとな。」
「僕も一緒に参加しちゃダメかな?」
「トップランカーのアレンが一緒なら話題になることは間違いないから大歓迎だけど、巫女音さんにちょっと確認するよ。」
巫女音にメールを送るとすぐに返信が来た。
「アレン、OKだってさ」
「良かった」
「じゃあアレン、また後で」
「OK」
「アレン」
「どうかした?」
「配信終わった後、少し相談にのって欲しいことがあるんだ」
「わかった。僕は今でもいいけどね」
「俺一人暮らしだからいろいろやることあるんだよ」
「そうだったね。では後で」
「すまない」
翔は帰宅後、家事を終わらせ、配信の時間までゆっくり過ごした。




