柔らかいキス
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「対象者? エリート天使? わけ分かんねーこと言ってないで、さっさと俺から離れろ! 気持ち悪い!」
癒しを与える目的のハグが関原の神経を逆なでする。
暴言を吐く関原を抱き締めたまま、ムニエルがジッと彼の瞳を見つめる。
「な、なんだよ!?」
動揺する関原の真っ黒な瞳が酷く揺れた。
ムニエルは、ただ黙って関原の瞳を数秒見つめ、それから彼の頬に手を添えた。
そして、手に取った頬に触れるようなキスをした。
天使と自称するだけあって、ムニエルの容姿は整っている。
フサフサと生えた長い金のまつ毛に、太陽の光を溶かしこんだような純白の髪。
世界中の清さをかき集めたような真っ白く無垢な瞳、白雪のような肌、出るところは出て、あるいは引っ込むべきところは引っ込んでいるのに、何故か下品な魅力は無い体つき。
「美少女」と俗な表現をするのには釣り合わないほど、ムニエルの姿かたちは整っている。
それにキスをされたものだから、関原の心臓は止まりかけるほど大きく飛び跳ねて、動揺しすぎた拍子に彼女を突き飛ばしてしまった。
つい先ほどまでは自分にベタリと張り付いて、テコでも離れない様子だったというのに、今度のムニエルはあっさりと突き放されて、ポテンと尻もちをついた。
「あっ……」
ムニエルに暴力を振るうつもりは少しも無かったから、まるで、いじめられた子供のように床に座り込む彼女に虚を突かれて、関原は間抜けな声を漏らした。
手を差し伸べられない関原の前で、ムニエルが一人、冷たく埃まみれになったフローリングから立ち上がる。
そして、ニコリと彼に微笑んだ。
「どうかしましたか?」
「あ、いや、なんでも」
「そうですか。それなら、良かったです。それにしても、涼君、実は足元が汚れていたんですね。なんか、妙な臭いもしますし、原因は、どう考えてもあそこで転がっている空き缶ですね。ねえ、涼君、浴槽にお湯は溜まっていますか?」
「いや、俺はシャワー派だから」
「なるほど。それなら私、お風呂を沸かしてきますね。涼君は、それまでに、こちらの布で足元を拭いておいてください。涼君のお部屋は汚れていますし、データを参照したところ、ロクな物も食べていなかったようですからね。まともな食事を用意したり、寝床を整えたり、することは沢山ありますが、まずは涼君自信の身を清めるところからです。それでは、行ってきますね!」
関原の返事を聞く前に、ムニエルが素早く浴室へ去って行く。
彼女が向かった方角からは、カシュカシュと何かを擦るような物音や特殊な部屋の構造上、どうしても生まれる鈍い物音、シャワーを出す激しい水音が聞こえてきた。
どうやら、宣言通り風呂を洗っているらしい。
関原は、困惑したまま足元を拭いて、それから茫然と浴室の方を眺めていた。
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