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孤独対策課  作者: 宙色紅葉(そらいろもみじ) 週1投稿


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柔らかいキス

毎日投稿中です!

大体、1000字くらいを目安に投稿中!

ある程度話が進展してから読みたい人は一週間に一回か二回の頻度で読むのをオススメします!

「対象者? エリート天使? わけ分かんねーこと言ってないで、さっさと俺から離れろ! 気持ち悪い!」


 癒しを与える目的のハグが関原の神経を逆なでする。

 暴言を吐く関原を抱き締めたまま、ムニエルがジッと彼の瞳を見つめる。


「な、なんだよ!?」


 動揺する関原の真っ黒な瞳が酷く揺れた。


 ムニエルは、ただ黙って関原の瞳を数秒見つめ、それから彼の頬に手を添えた。


 そして、手に取った頬に触れるようなキスをした。


 天使と自称するだけあって、ムニエルの容姿は整っている。


 フサフサと生えた長い金のまつ毛に、太陽の光を溶かしこんだような純白の髪。


 世界中の清さをかき集めたような真っ白く無垢な瞳、白雪のような肌、出るところは出て、あるいは引っ込むべきところは引っ込んでいるのに、何故か下品な魅力は無い体つき。


 「美少女」と俗な表現をするのには釣り合わないほど、ムニエルの姿かたちは整っている。


 それにキスをされたものだから、関原の心臓は止まりかけるほど大きく飛び跳ねて、動揺しすぎた拍子に彼女を突き飛ばしてしまった。


 つい先ほどまでは自分にベタリと張り付いて、テコでも離れない様子だったというのに、今度のムニエルはあっさりと突き放されて、ポテンと尻もちをついた。


「あっ……」


 ムニエルに暴力を振るうつもりは少しも無かったから、まるで、いじめられた子供のように床に座り込む彼女に虚を突かれて、関原は間抜けな声を漏らした。


 手を差し伸べられない関原の前で、ムニエルが一人、冷たく埃まみれになったフローリングから立ち上がる。


 そして、ニコリと彼に微笑んだ。


「どうかしましたか?」


「あ、いや、なんでも」


「そうですか。それなら、良かったです。それにしても、涼君、実は足元が汚れていたんですね。なんか、妙な臭いもしますし、原因は、どう考えてもあそこで転がっている空き缶ですね。ねえ、涼君、浴槽にお湯は溜まっていますか?」


「いや、俺はシャワー派だから」


「なるほど。それなら私、お風呂を沸かしてきますね。涼君は、それまでに、こちらの布で足元を拭いておいてください。涼君のお部屋は汚れていますし、データを参照したところ、ロクな物も食べていなかったようですからね。まともな食事を用意したり、寝床を整えたり、することは沢山ありますが、まずは涼君自信の身を清めるところからです。それでは、行ってきますね!」


 関原の返事を聞く前に、ムニエルが素早く浴室へ去って行く。


 彼女が向かった方角からは、カシュカシュと何かを擦るような物音や特殊な部屋の構造上、どうしても生まれる鈍い物音、シャワーを出す激しい水音が聞こえてきた。


 どうやら、宣言通り風呂を洗っているらしい。


 関原は、困惑したまま足元を拭いて、それから茫然と浴室の方を眺めていた。

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また、マシュマロにて感想や質問も募集しております。

よろしければ宙色にマシュマロを食べさせてやってください(以下、URL)


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