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第14話 新たなギルドでの再スタート


 自分を裏切ったクズ幼馴染達に遂に復讐を果たしたユートは満足そうに自分のステータス画面を見て口元を小さくニヤケさせていた。

 現在彼のステータス画面のスキル項目には新たに3つのスキルが習得されていた。


 ステータス画面には『スキル喰い』によりあのクズ共から強奪した《剣聖の加護》、《無限の魔力》、《鉄壁の護り》の3つが追加されていた。

 彼がスキルを奪った理由はあくまで復讐こそが一番の理由だった。しかし現状のユートの強さはこれでより完全なものへと至ったと言えるだろう。何しろあのハリボテ幼馴染達は本来の実力がブロンズだったと言うのにスキル1つでゴールドランクでいられたのだ。それほどまでに奴らが授かった能力は強力だった。その1つだけでも大当たりと言われるスキルが一気に3つも加算された、ましてや覚醒した《暴食》スキルでユートのレベルはゴールドランクの冒険者を遥か上回る。


 そしてユートによってスキルを喰われたセゴム達3人は当然だがもうその身に神から授かったスキルは消失している。あの決闘からまだ1日しか経過していないからまだスキルの損失に気が付いてはいないだろう。ユートの様にステータス画面などを見る力も無いので即座に確認する方法も奴らは持ち合わせていない。


 恐らく次のクエストを受けてモンスターと戦闘にでもなれば気付くだろう。自分達が今まで持っていた力が一切扱えなくなっている絶望に……。


 さて、幼馴染の末路や自分の強さの再確認は一度置いておくとして今のユートは【戦士の集い】から脱退して王都内にある別の冒険者ギルドの受付へと足を運んでいた。


 セゴム達の決闘を完全勝利したその日にはもう自分から【戦士の集い】を抜けた。常に自分を嘲り続けていたあのギルドになど一切の未練などなかったから復讐を終えた後は元々辞める予定だったのだ。


 この王都内にはかつて所属していた【戦士の集い】の他にあと二ヶ所に冒険者ギルドが存在する。そして次の働き口にユートが目を付けたギルドは【憩いの結束】と呼ばれるギルドだ。このギルドは【戦士の集い】と比べると規模の小さなギルドではあるが決して王都内での評判は悪くはない。

 

 目的のギルドに辿り着くとユートはすぐに受付で【戦士の集い】からこの【憩いの結束】への移籍の旨を伝えた。


 「すいません。このギルドへの移籍希望者なのですが……」


 「あっはい、え~……お名前はユート・ディックス様、職業は拳闘士ですね。それでは【戦士の集い】からこの【憩いの結束】への移籍手続きを行わせてもらいます」


 別ギルドの冒険者が移籍を希望する事は決して珍しい事でもないので職員の対応もスムーズですぐにこのギルドへの登録が完了した。

 ちなみに別ギルドへと移籍した場合には階級ランクは一番下のブロンズから再スタートとなる。それ故にシルバーやゴールドの冒険者はランクの初期化を嫌って移籍を拒む傾向がある。逆に言えばユートの様な元々ブロンズクラスの冒険者の中には環境を変える為にと気楽に移籍をする冒険者も居る。


 こうして完全に別ギルドの冒険者となったユートは早速掲示板に提示されているクエストの1つを受付へと持っていき受注しようとした。

 だが受付係の職員に声掛けをしようとしたその時に背後から視線を感じた。


 「んん?」


 「はうっ!」


 振り返るとそこには修道服を模した様な衣服を着ている金髪の女性が立っていた。

 このギルドには今しがた移籍したばかりで当然面識など無い。ただ彼女の視線は自分の手に持っているクエストの依頼書へと向いているのでもしかしたらこの依頼を狙っていたのだろうか?

 

 「もしかしてあんたもこの依頼を受けるつもりだったのか?」


 流石にこの視線を無視して依頼の受注もしにくいので話しかけてみると彼女は肩を一瞬振るわせながら返事を返す。


 「あの、そうだったんですけど気にしなくても大丈夫です。先に依頼書を手にしたのはあなたなので……物欲しそうに見て申し訳ありません」


 不快感でも与えてしまったと思ったのだろうか。彼女は申し訳なさそうに頭を下げて来た。


 やっぱりこのクエストを狙っていたのか。でもこのクエスト内容は……。


 ユートが選んだこのクエストの仕事内容は『魔法の森に出現する宝玉ウサギを3匹討伐し魔石の回収』となっている。この宝玉ウサギとは体内で特殊な魔石を生成する能力がありその魔石目当ての依頼だ。だが問題なのはこの宝玉ウサギの出現ポイントが魔法の森と言う事。宝玉ウサギのレベルは初心者でも狩れるレベルだがあの森には多種多様のモンスターが生息している。あの森に瀕死の状態で捨てられたユートは嫌と言う程に知っている。

 標的が弱小モンスターとは言え出現ポイントの場所が場所なので報酬も破格だ。そして当然指定難易度も。


 ちらりともう一度彼女を見てみる。どうやら自分同様ソロで活動しているみたいで他の仲間は見当たらない。


 「はぁ……もしよかったらこのクエスト一緒に受けるか? 当然報酬は折半だけど……」


 ユートがそう提案すると彼女の沈んでいた顔が明るくなる。

 こうしてユートの新天地での仕事は急遽の即席コンビで向かう事となったのだった。



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