1話 人生そんな甘くない
ある程度ストーリーが進めばあとは四コマチックに進むかもですし、筆が乗ればストーリーが進むかもです。
「いらっしゃいませー!」
「「「「またお越しくださーい!」」」」
桜は残念ながら散りきってしまい、枝だけの寂しい木に歓迎されながら、校長の訳の分からないほど長い話をフル睡眠でスキップし、あんなに家で練習した自己紹介でしっかり舌を噛み撃沈した休み時間。
高校入学と同時に、憧れのアルバイトをしようと、微かに傷の入った液晶に写る求人募集のサイトと睨めっこしている俺、上崎 亮人 15才。ピッカ●ッカのーいっちね●せい、と言うやつである。
まぁ、あいにくランドセルは背負っていないが。
幼稚園に陰キャという言葉を知り、小学生にぼっちになり、中学生に厨二病を拗らせ、今ここ。
現に今、皆がグループを作り始めワイワイガヤガヤと騒がしい休み時間、相も変わらずひとりでスマホをいじっている。「ひとりで」。
わぁ、お手本のようなぼっち。お手本のような陰キャ。陰キャのコンテストがあればきっと優勝できるのではないだろうか。俺は陽キャグランプリで優勝しなければいけないのに全くの対局な方面で優勝してどうするんだ俺。
このままでは俺の「友達100人と彼女を作る」という目標を達成できないでは無いか。
このままではいけない。
という訳でこうやって一生懸命画面に食らいついているわけだ。出来れば女の子と絡めて、コミュ障を直せるところがいい。ついでに陽キャがしてそうなバイトなら尚良。
、、、ファミレスとかどうだろう、いかにも陽キャがやってそうだ。それに賄いが出るとか聞いたことがある。なんだそれ、そんな上手い話があるのだろうか。ん?賄いはファミレスじゃないのか?まぁ知らん。
そこは重要じゃないのだ。そう、なんと言っても、ファミレスバイト、The陽キャ。ふ、ファミレス。俺の陽キャの仲間入りの場に実に相応しい。よし、応募するか。
「はい、有難うございました。合否は後ほどご連絡させていただきます。」
「はぃ、ぁりがとぅござぃました、、」
、、、、結構良かったのでは、、、!?
会話も弾んだ、いつもよりもハキハキ喋った自負もある。俺もやれば出来るんだ!
るんるんと帰宅し、眠りについた次の日。
『不合格通知
上崎様が今後更なるご活躍をされることを願っております。』
鼻歌交じりにスマホを開くと、通知欄に見える「不合格通知」の字。数秒固まった後、すっと電源ボタンに指を添え、ゆっくりと目を閉じながら押し込んだ。
、、、、ほぇ?
見間違えかな?ふむ、1度深呼吸をして、目を閉じてみよう。、、、、ふぁ?
というか、このちょこんっと添えられた一文なんだよ!願うな!願うくらいならその更なるご活躍をさせてくれ!、、、、ふ、い、飲食店は駄目だな、俺の魅力を見逃すようなバイトに入るわけにはいかない、、、(震)
そんな言い訳を辛うじて胸の中だけで収め、はぁ、とため息を漏らした。
翌朝の学校二限目の休み時間、また画面に視線を移すと、勢いよく指をスライドし、目を閉じてぴた、と止める。
まぁ、端的に言うとやけである。すると、いかにもな筋骨隆々なおじさんが、キラリと白い歯を見せながら木材を抱えていた。ボディビルダー並みのその体つきに、またスマホの電源をすっと落とした。
う、、力仕事、、、、、、うん、絶対無理だ。自慢では無いが、握力20、1分間で腹筋10回という、そこらの女子よりも雑魚い結果をたたきだす俺がこんなことをやった日はきっと命日だ。
、、、はぁ、どうするk「えー、またバイト〜?」
む、あれは!
説明しよう、今の声はこのクラス生粋の陽キャ集団の1人、東 澪のものである!説明終了!
「この前もバイトだったじゃん〜、コンビニ?なによお前、金欠?」
教室の机を円のように並べ替え、いかにも陽キャなオーラを漂わせながらたむろする集団の中で一際目立つ金髪を揺らし、あはは、と笑いながら真正面の男を指さす。
その男は、この集団の中では目立たないが、道端に出れば途端に注目の的であろう深緑の髪をがしがしとかきながら、いやぁ、だなんて言いながら笑っていた。
名前はなんだったか、、、、あ、そうそう、南野 透だ。黒いピアスを耳に数個つけ、髪も染め、まぁ、いかにもヤンk、陽キャの見た目である。
けどまぁ、コンビニ、、、、受けてみるか。
『合格通知』
、、、、おっと、受かっちゃったよ。
「店長〜、さっきの子、めちゃくちゃきょどってたけど、合格にさせたの?」
「おう、なんか面白かったしな。」
「俺割と店長のこと尊敬してるけどそういう適当な所は直して欲しいかな。」
お付き合いいただきありがとうございました。2話の更新はぼちぼち致しますので気長にお待ちください。