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優しい彼女と変人だらけのシェアハウス  作者: 桐城シロウ
第三章 春を楽しみ、夏に思いを馳せ
73/134

19.シスコン弟の呪いと魔術師の勘違い

 





「アレン……本当に旅行中、姉さんと何も無かったのか?」

「っぶ! げふ、ぐふっ、げふっ!」


 ウィルフレッドに突然そう聞かれ、飲んでいた水を思いっきり吹いてしまった。今日は黒いパーカーを着ているウィルフレッドが焦って立ち上がり、人目も気にせずに高らかに叫ぶ。


「そうなんだな!? あったんだなっ!?」

「おっ、おおおおおお落ち着けよ、ウィル!? 何も無かったって、別に!」

「なら、ちゃんと俺の目を見て言えよ……わざとらしいんだよ、顔の背け方が!!」

「分かった、分かった。落ち着けって。周りの迷惑になるから座れって、一旦」


 俺の胸倉を掴んでいたウィルがふーっ、ふーっと、目を血走らせて息を荒げ、渋々と椅子へ座り直した。まるでバイソンみたいだな、こいつ。青と白のストライプシャツの胸元を直しながら、しげしげと興味深く見つめていると、出された氷水を一気に飲み干して、口元を拭った。が、茶色い瞳はまだ血走っている。


「いいか? アレン……くれぐれも勘違いするなよ!? どうやら姉さんと浜辺でデートしたり、キャッキャウフフをして海外旅行を満喫したようだが!」

「してないって、別に。落ち着けって。パフェでも食うか? 奢ってやるぞ?」


 まぁ、十九歳だし情緒不安定なのはしょうがないか。メイベルの大事な弟なら、俺にとっても大事な弟だしな。レストランのメニュー表を持って、その顔を見てみると、酷く嫌そうな顔をした。


(メイベルのこういう表情は見たことが無いが……こいつ、目元だけは似てるしなぁ。メイベルも目元に細かく皺を寄せたら、こんな感じの顔に……?)


 目元に皺を寄せているメイベルを想像してみたが、うん。これはこれで中々に良い。観葉植物が飾られた、ナチュラルな無垢床と白い塗り壁のレストランは閑散としていて、どこかゆったりとした空気が流れている。まだ十一時だからか、客も少ない。ダークブラウンの、胡桃材らしきテーブルに手をつき、椅子へともたれ、ウィルフレッドがこれみよがしに深い溜め息を吐く。


「は~……こんな汚らわしい男どもの中に置いていたら、姉さんが穢れる」

「落ち着けって、ウィル。メイベルはどんな濁った場所でも美しく咲く花だろ?」

「それはそうだが。出来ればっ、出来れば俺の傍で咲いていて欲しかった……!!」

「その気持ちはよく分かるがな。姉さん離れしろよ? お前、そろそろな」


 さて、何を食うか。朝飯食ってないから腹が減った。隣の椅子に置いた黒いリュックをちらりと見て、中の菓子に思いを馳せる。


(……まぁ、こいつが騒ぎ出したら渡すか。メイベルお手製のマフィン)


 とは言えども生地を混ぜて、焼くまでは俺がした。メイベルはバナナマフィンの上に、チョコの粒をトッピングしていた。俺が渡した小袋入りのチョコスプレーを見て、「えっ!? 私がするの、これだけなの!? ウィル、がっかりしないかな!?」と言って驚いていた顔が最強に可愛かった。


「おい、聞いているか? アレン。そろそろ姉さんを呼び戻すべく、」

「聞いてる、聞いてる。大丈夫大丈夫。で、何頼む? 決めるぞ。店員がちらちらと見てきて鬱陶しいからな」


 舌打ちをして、渋々とメニューを眺め始めた。うん。やっぱり不機嫌そうなメイベルがいたらこんな感じか。あいつは怒ると満面の笑顔で「アレン?」と言ってくるが。


(そういや、ハリーが余計なことをして怒らせたみたいだなぁ……就寝前の足踏み儀式が無くなってたし)


 まぁ、そのことを言うと、ウィルフレッドが烈火のごとくキレ散らかしてたからこれでいいんだろう。何を血迷ったか、メイベルに笑顔で「あっ、ごめん。もう踏まないことにしたんだ~」と言われ、拒絶されたクソクソ変態社畜はじっと、俺の方を見て、すっと爪先を差し出してきやがった。反射的につい、がっと踏み抜いてやったら、「愛がこもってない!!」と泣き叫びやがった。気色悪。


(鬱陶しいな、あいつ……最近、ちょこまかちょこまかと俺の周囲をうろつきやがって……!!)


 ああ、よそう。今日はせっかく、メイベルが好きそうなレストランに来たんだ。味を確かめておかないと。改めてメニュー表へ目を落としてみると、本日のランチとやらが並んでいた。左からチーズ入りのトマト煮込みハンバーグ、石窯パン付き。それからスライスアーモンドを散らした、白身魚のムニエル。檸檬クリームソースがみみっちくかけてあった。次は豚肉ミンチと豚レバーで作られた田舎風パテに、茹でた白ソーセージとバケットを添えたやつ。最後は日替わりで、今日は魚介類のブイヤベースだった。


(日替わりが一種類、他のランチは三種類……スープお代わり無料で、サラダバーまで付いてるだと!?)


 メイベルが喜ぶな。以前、メイベルは嬉しそうな顔をして「サラダバーとか、パンの食べ放題とか! ランチにこういう、ちょっとしたものが付いてると嬉しいよね!」って言ってたからな。雰囲気もメイベルが好きそうな感じだし、ここへ連れてきたら、目を輝かせて喜ぶことだろう。


「よし。メイベルならここで、チーズ入りのトマト煮込みハンバーグか白身魚のムニエルで悩むんだろうなぁ。で、悩んだ末にパテにしようかどうしようか悩んで、せっかくだからと言って王道のチーズ入りハンバーグにする。が、どうせならパテを頼むべきだったかって悩むんだろうなぁ。可愛いなぁ」

「お前の好きなもん、頼めよ……!! くそっ! 俺に姉さんとの仲を見せつけやがって!!」

「大丈夫だ、親子だから。俺はメイベルの立派な母になると決めたんだ」


 ぺらりとメニュー表をめくって、デザートのラインナップを確かめる。最近、どこへ行ってもこうして、メニューのすみずみまで確かめるようになった。あいつが好きなメニューが無いかどうか探すためだ。これが楽しい。半ば趣味となりつつある。


 それはさておき、このレストランはなかなかに当たりだったようで、メイベルが好きそうな、蜂蜜のシフォンケーキに季節の果物が添えられたものと、濃厚なチーズケーキに、だっさいクマの顔がどーんと乗ったアイスパフェや苺タルトが並んでいた。メイベルのことだから、「クマちゃんだ!」と言ってぱっと顔を輝かせ、これを注文する。が、運ばれてきてすぐにスプーンを握り締め、途方に暮れた顔で「どうしよう……? 可愛くて食べれないよ、アレン」と俺に言ってくる。可愛い。そんなメイベルが一番可愛い。


「おいっ!? 聞いてるのか!? 母になるって一体……!?」

「その言葉通りだ。よし、チーズハンバーグにするか。あと、クマの出来栄えを確かめるために、この巨大パフェを頼む」

「マジか……頼むのか、それを」

「ああ。……そうだ、写真も撮らないとな! 俺が出先でこんなものがあったぞって言って、写真見せてやると喜ぶんだよなぁ。ああ、そうだ。ウィル? あとで俺と一緒に写真でも撮るか」

「まぁ、姉さんを喜ばせるためなら仕方ない……あっ! 写真は!? 水着姿の写真は!?」

「抜かりなく。持って来たぞ、アルバムにしておいた」

「アルバムにしておいた……?」


 メイベルが喜ぶだろうと思って、旅行前から準備しておいて良かった。すぐに作れた。メイベルが喜びそうな、綺麗なラメ入りのマーメイドシールやパステル調の花柄シールを集め、上品な白い布地が張られたアルバムを用意し、数々の写真をそこへと収め、メイベルが好きそうな栗鼠のメモシールを張って、場所と日付を書き込んだ。ついでに、メイベルが気に入っていたレストランや店の名前、その住所を事細かに書き記したメモを入れて、終了。


 何故か、これを見た全員は黙りこくっていたが、まぁ、情緒が無いあいつらとは違って、ウィルなら分かってくれることだろう。自信満々でアルバムを手渡してみると、どこか青ざめた顔をしていた。一体どうしてだ。



「アレン……姉さんしか映ってないんだけど?」

「メイベルのアルバムだからな。他のやつらの写真はいらないだろ?」

「……それもそうだな! 貰ってもいいか? これ」

「もちろん。お前へのプレゼントだよ、弟よ」

「お前の義弟になった覚えは無いからなっ!? 絶対に絶対に許さねぇからな!? 姉さんと結婚だなんて!」

「いいからメニューを早く決めろよ。お前、肉より魚派だっけ?」

「いや、魚は嫌いだって。だから、俺」

「へ~……メイベルは好きなのになぁ」



 またけたたましく怒り出した。「姉さんのことしか考えてないのかよ!?」と言ってきいきいと騒ぎ出す。まぁ、小声で騒いでいるからよしとするか。クマが乗ったパフェにしたが、この濃厚そうなチーズケーキもメイベル、好きそうだな……。


「ドリンクメニューも豊富だな、ここ。あっ、そうだ。メイベル、最近、フルーツビネガーにはまってるんだよなぁ。おっ、ジンジャーエールもある。あいつ、油っこいもんを頼む時、絶対ジンジャーエールにするんだよなぁ。炭酸飲むとげっぷが出るくせにな。でも、またその時、恥ずかしがってる顔がたまらなく可愛くて可愛くて……」


 メニュー表を手に持ちながら、アレンが真顔でつらつらと語り出す。が、慣れてきた。この男の中身は姉さん、姉さん、姉さんばっかで他の何かは詰まってやしない。強烈な舌打ちをすると、はたと我に返って「悪いな、腹減っただろ? 頼むか。何にしたんだ?」とアホみたいな顔で聞いてくる。諦めてパテにした。姉さんは好きだ、こういうの。少しでも同じものを味わって、この淋しさを埋めたい。


「姉さん……あーあ、早く帰ってこないなぁ」

「あー、どうだろな。無理じゃないか?」

「せめて二週間ぐらいとか……」

「いやいやいや……メイベルはもう、俺なしでは生きていけないからな!」

「あ? 何だって……?」


 運ばれてきたレモネード(姉さんが好きだからと言って頼みやがった! 自分の好きなもん頼めよ!!)を飲みながら、ふいーっと不自然に顔を逸らす。目が泳いでる。さては惚れたな……? ぐっと煌くナイフを握り締め、アレンを睨みつける。


「おい……勘違いするなよ? 分かってるか!? 姉さんは男でも女でも、おっさんでも馬でも何でも優しいんだよ!! そんなところが好きとか言われて、舞い上がってないか!? 言っておくがな!? 姉さんは誰にだって優しいし、距離が近いし、満面の笑顔を向けるんだよ! 勘違いしてないか!? お前だけは絶対絶対、勘違いのドブネズミ野郎にはならないと思ってたのに……!!」

「なってない、なってない……そんなこと、分かってるよ」


 いつもならもう少し笑って「大丈夫、大丈夫~」って言ってくるくせに、なんだ? その、片想いをしているような気持ちの悪い、姉さんを害する男特有のアンニュイな表情は……!! ブチキレたかったが、ぐっと堪える。堪えて、パテの半分を一気食いした。鼻息荒く貪り食っている俺を見て、アレンが苦笑し「大丈夫、大丈夫~……」と弱い否定を繰り返す。


(ああああああああっ!! 連れて帰りたい! 姉さんを今すぐ!! というか弟の俺よりも一緒に過ごす時間が長いって!! 血なんて繫がってないくせに! この男が彼氏とか! 許さん! 絶対に絶対に許さないからな!?)


 何としてでも世界を健全に保つために、あの純粋無垢な姉さんがこの男に騙されないよう、頭をフル活用して勘違いを植え付けねば……!! 昨夜、来たメッセージを思い出すと、手がぶるぶると震え出した。アレンが心配そうな顔で「カルシウム、足りてるか……?」と聞いてくる。余計なお世話だ!


 “ウィル、ただいま~! 遅くなっちゃってごめんね? あと、今度アレンと会うんでしょ? さりげなく、その、好みのタイプとか聞いておいてくれない……?”


 ただちに速攻、電話をかけて問い質した。可愛い弟の仮面が剥がれ落ちそうで、苦しかった。聞いたところによると「アレンがね? 他の女性と付き合うって想像したら、何だか辛くなっちゃって……」とのことだったので、アレンを全身ムチ打ちの刑に処したい。それと市中引き回しの刑も追加で。が、この男が彼女を作れば解決。傷心の姉さんを慰め、家に連れて帰る。よし! これで大丈夫だ、俺の計画に狂いは無し!


「お前……アレン」

「おう。水でも飲むか? 大丈夫か?」

「いらない。彼女を作れ、彼女を! だから可愛い姉さんに惑わされるんだよ!!」

「だよなぁ~……メイベル、可愛いもんなぁ」


 差し出していた水を引っ込め、気難しそうな顔で黙り込む。おいおい、おいおい、まさか俺の提案に不満でも……!?


「俺の女友達でも紹介しようか?」

「えっ? お前の周りにいる女なんて全員ゴリラだろ。お前の気性が荒すぎるしな……」

「……こう見えて、近所では品が良いと言われて評判が良いんだぞ? そうだ。写真を持ってきたから、とりあえずそれを見てみて、」

「いやぁ~……メイベルに裂く時間が減るからなぁ。あと、あいつ、どうも俺に彼女を作って欲しくないみたいでさ~」


 にやにやと、やたらと嬉しそうな顔で言ってきやがった。くそ!! ぶん殴ってやりたい、そのにやけ面!! 代わりに白いソーセージを、フォークでだんっと突き刺して気を落ち着かせる。「味はどうだ? メイベルが好きそうなんだが、それ」と言ってきたが、味なんて分かるか!! お前という目障りな男のせいでな!!


「ふーっ、ふーっ……いいか!? 女を作れ、女を! 出ないと、今度見せるって約束してた姉さんの幼少期の頃の写真、絶対に見せないからな!?」

「いいよ、メイベルに見せて貰うから。あと、恋愛はなぁ。まだもうちょっと休んでいたいというか……」


 姉さんを次の彼女にする気だよ、こいつ。許さん。絶対に許さん許さん許さん許さん!! こほんと咳払いをすると、慎重にチーズ入りハンバーグの味を確かめていたアレンがこっちを向いた。いつもこんな調子だ、こいつは。


「勘違い、してないか? 姉さんはな……!! 幼少期、忙しい母さんにあんまり構って貰ってなかったんだよ! ハグすらあまりして貰えなかったんだよ!!」

「だからあいつ、俺にハグを求めてきて……!?」

「そうだ! ハグを求めているのはだからだ! お前が母親になるって言ってくれて、嬉しいって言ってたぞ!?」

「なるほど。道理で……!! 可哀想に、メイベル。ここは俺が完璧な母となって、幼少期の淋しさを埋めてやらなきゃだな……」

「……」


 拍子抜けするほど、あっさりと信じた。少し涙ぐみながらも、アレンが丁寧にハンバーグを切り分けて食べてゆく。そう、こいつのいいところは単純なところ。俺が弟だからと言って、何でも鵜呑みにするところ。俺が嘘を吐かないとでも思っているらしい。


(これはチャンスだ……!! ごめんよ、姉さん! 勘違いを植えつけておくね!?)


 ああ、せめて二週間。いや、半年ぐらい姉さんと寝起きがしたい。また、懐かしいあの頃に戻りたい。あの頃は同じベッドで寝て、姉さんが「ウィル~、おやすみなさい」と言って額にキスをして、子守歌を歌ってくれていたというのに! 姉さんの神々しい笑顔を脳裏に思い浮かべ、ソーセージを口に入れる。味がしなかった、全然。


「だから、姉さんは……母としてのお前を求めているんだよ。勘違いして、姉さんを絶望のどん底へと叩き落とすなよ!?」

「……ああ、分かってる。そうか、でも、俺とデートに行きたいって言ってたのは?」

「おっ、おおおおおお前に対する気遣いだろ!? 母と一緒にお出かけなんて、恥ずかしくて言えないだろ!? お前が嫌がるかもしれないだろ!? だからデートって言ってただけで、本当は母代わりのお前と一緒に出かけたいんだよ!!」


 やばい、やばい! 思ってたよりも、姉さんがこの男にちゃんとアピールしてたぞ……!? 焦って両手を使い、落ち着けのジェスチャーをしてみると、重々しい顔でこくりと頷いた。バカだ、こいつ。やっぱ。薄々そう思ってたけど。


「そうか。メイベルが俺に気を使ってそう……?」

「そうだよ! いい年こいた男に、お母さんのふりして出かけてくださいなんて言えないだろ?」

「なるほど。じゃあ、今後もそのつもりでいるか」

「あとは……そうだな! かっこいいと言われても調子に乗らないように! いいな!?」

「あっ、それは悪いが最近、いや、かなり前から言われちゃってるんだよなぁ~、俺」


 なんだ、そのドヤ顔は。バールで顔を百億回ぐらいぶん殴ってやろうか、ああ? が、それもぐっと堪える。店内が混み出してきたからだ。


「調子に乗るなよ、アレン。貴様な……!!」

「へいへい、大丈夫だって。ノアにも言ってるしなぁ、あいつ。かっこいいって」


 また落ち込んだような顔を見せる。分かる! 誰だって、いや、知性ある生き物なら総じて姉さんに褒めて欲しいからな。神妙な顔で頷いていると、ハンバーグを食べ終わったアレンが口元をナプキンで拭き、「さて」と呟く。


「メイベルが好きそうなこの、クマのアイスパフェでも頼むか……ベリーアイスとチョコの組み合わせ、好きなんだよなぁ。あいつ。まぁ、欲を言えばフランボワーズアイスであって欲しかったが。あいつ、好きなんだよ。一番。フランボワーズがさ」

「知ってるけど? それぐらい! 俺だって!!」


 姉さん、姉さん。何としてでも、この男の魔の手から救い出さなくては……!!


(アレン、許さないからな!? 絶対に、絶対に……!!)


 勘違いをして、永遠にすれ違ってしまえ! その後、姉さんに「アレンは巨乳で、背が高くて、ふくよかな体型の女性が好きなんだって」と伝えると、ショックだったのか、「でも、今日もまた、世界で一番可愛いって言ってくれたから、それで我慢しなきゃだね……!!」と返ってきた。あいつ、そんなことまで言ってやがるのか。畜生! 姉さんが作ってくれたというバナナマフィンを食べ、包装紙をぐしゃっと握り潰す。


「ああああああっ……!! すれ違ってしまえ、すれ違ってしまえ! このままずーっとずーっと、永遠にすれ違ってしまえ! 呪ってやる!! 毎晩呪ってやるっ!」






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