21.恐怖のアメとムチ作戦と残酷なそそのかし
「それであのあと、アレンがいつも以上に私のことを気にかけてくれたんです~! すごいでしょう? 効果が!」
「あっ、あれ以上……!?」
「嘘だろ!? あそこからまだ悪化するのか!?」
ダニエルとヘンリーが同時に驚いて、目を見開いた。恐怖半分驚き半分といった表情で、ソファーに座ったまま硬直している。私が首を傾げていると、飲み物とお菓子を取りに行っていたノアとマリエルさんが帰ってきた。今夜はパジャマパーティをする予定なので、マリエルさんは白いネグリジェを、私は白地にパイナップルとさくらんぼ柄が浮かんだパジャマを、ノアは魔法使いのような紺色のローブを羽織っていた。下に着たパジャマも紺色で、ローブには金色のタッセルまでついている。
「お待たせ~。女子会するわよ、女子会」
「ヘンリーとダニエルさん、邪魔なんだけど? まだいたの」
ノアが紅茶のカップを載せたトレイを持ったまま、不機嫌そうに眉をひそめる。それをマリエルさんが笑顔でとりなした。
「まあまあ、今日は特別に入れてあげましょうよ。ダニエルさん、婚約者さんと上手くいってるんですって? 聞かせて欲しいわ、話」
「えっ、あっ、う、うん……」
マリエルさん相手だとまだ緊張するのか、黒地にドクロマークがプリントされたTシャツ(ハリーから貰ったみたい)を着たダニエルさんが、震えながら返事をする。ヘンリーがそれを見て苦笑していた。そんなヘンリーは品良く、白いシャツの上からモカベージュのガウンを羽織っている。お風呂上がりなのか、ちょっとだけ髪が濡れていた。
「すみません、マリエルさん。それにノアも。……だって、ここ以外に静かに話が出来る場所ってないでしょう? 避難してきました」
「あ~、まぁね。流石のハリーもアレンも、マリエルさんの部屋には押しかけてこないもんね」
「そういうこと……」
「お疲れ、ヘンリー」
「お、お疲れさま、ヘンリー……」
がっくりとうなだれたヘンリーを見て、ダニエルさんが心配そうな顔をする。でも、確かにここが一番最適かも。随分と、さっぱりしたマリエルさんの部屋を見回して考える。必要最低限の家具しか置いてなかった。足元はふわふわのマゼンタピンクの絨毯、上はクリスタルのシャンデリア。優美な白いテーブルに、猫脚付きのソファーが二つ、向かい合わせになっている。それに引越し作業の途中だからか、あちこちにダンボール箱が置いてあった。ノアとマリエルさんが、私の両脇に座ったのと同時に話しかける。
「それにしても、淋しいですね~……。マリエルさんが引越しちゃうだなんて」
「ふふふ。新居はここからすぐだから、遊びに来てちょうだい。でも、そうね? 淋しいわ、私も。メイベルちゃんとの暮らしが終わってしまうだなんて」
「うわ、嫌だなぁ。改めて考えると。マリエルさんがいなくなっちゃうの」
マリエルさんが切なく微笑み、私の肩に寄りかかってきた。ノアが溜め息を吐いたあと、ふわふわの金色がかった綿菓子が載せられた、紅茶のカップを持ち上げて齧りつく。これはキャラメルキャンディーという、お茶に載せる専用のお菓子で口に含むと、しゅわっと弾けてキャラメルの風味が広がる。そのまま放置していたら、溶けて、ただのお砂糖となって落ちてゆく。
「ま、まさか、ええっと、紹介した時はその、結婚することになるとは思ってもみなかったな……」
「私もなの! でも、ライさんってば、見た目も中身もメイベルちゃんそっくりだったから~。猛アタックしちゃった!」
「見た目、そっくりですかね……? ライさんはその、かなり強面の方に見えますが」
ヘンリーが首を傾げながらも、紅茶のカップに添えられていたティースプーンを持ち上げ、優雅にふわふわのキャラメルキャンデーを掬い上げた。食べ方も綺麗。さすが! 楽しくなって見ていると、ダニエルさんがふと、私を見つめて切り出す。
「あの、それで話があるんだけど。アレンについて……」
「あっ、はい! どうかしましたか? 私的にはマリエルさんから教えて貰った、徹底的に逃げる作戦が上手くいっているので、このままどんどん、徹底的に避けて逃げ続けたいです!」
「や、やめてあげて……? 逆効果だし」
「そうそう。アレン、今回の件で白髪が五本も増えちゃったし」
「白髪が五本もっ!?」
「え、あいつ、メイベルちゃんにちょっと避けられただけで白髪が生えてきてんの? ウケる」
「やだ~、も~。煮え切らない態度を取ってばかりのくせにねえ」
「ほんとほんと。アレンはちょっと懲りた方がいいと思う」
「でも、アレンに白髪が……?」
最近、顔も合わせてないからよく分からない。この前ショッピングモールでばったり会った時は、髪なんてよく見てなかったし……。
「ねぇ、ヘンリー? 白髪ってどの辺に生えてるの?」
「そこ重要かな!? 教えたところで何になるのかな!?」
「あら、メイベルちゃんが知りたいって言ってるんだから、教えるべきでしょう?」
「義理の叔母にして、モンペアだねぇ」
「生え際の辺りと側頭部に生えてました……」
ヘンリーがぼそぼそと、顔色悪く呟いた。そっか、生え際と側頭部かぁ。明日にでも確かめてみよう。そろそろ喋りたくなってきちゃったし、アレンと。ストレスも溜まってるみたいだし。
「教えてくれてありがとう、ヘンリー! じゃあ、しばらく喋ってなかったし、白髪本当に生えてきたの? 見せて~って話しかけてみるね!」
「そっ、それ以外の話題にしてあげて!? あいつ、めちゃくちゃへこんでたから! 意味も無く、溜め息吐くことだって増えてきたから!」
「め、メイベル。流石に久々に話しかけるのに、その話題はちょっと」
「あらやだ。ダニエルさんがすごくまともなことを言ってるわ」
「マリエルさんは知らないかもしれないけど、ダニエルさん今、かなりまともになってきてるんだよ」
「へ~、知らなかったわ。愛の力かしらねえ、やっぱり」
ノアとマリエルさんがさくさくと、茶葉入りのクッキーを食べながら話し合う。でも、そっか。いきなり白髪の話はやめた方がいいかな?
「じゃあ、なんて話しかけようかな……思いつかないや」
「マジで!? いや、絶対絶対何かあるはずだよ!? 白髪以外で!」
「ほ、ほら、バニラたんと一緒にピクニックに行こうとか……」
「あっ、それならいいかも! まずは最初に、カイルさんとピクニックデートに行きたいって言って落としてから、アレンと一緒に行くって言ってみようかな~。絶対反対するだろうから、そのあとでじゃあ、アレン、私と一緒に行ってくれる? って誘ってみるの~。どう思う?」
「やっ、やめよう、やめよう!! 今のアレン、白髪が五本も生えてるんだよ!? やめようか、メイベルちゃん!」
「こっ、怖いから、もっと普通に誘った方がいいと思う……」
えっ? 名案だと思ったんだけどなぁ。両隣のマリエルさんとノアを交互に見てみると、二人とも、慈愛に満ちた微笑みを浮かべて頷いてくれた。
「メイベルちゃん、それでいいのよ。恋愛なんて不安にさせたもの勝ちなの。幸せにするのは付き合ってから。付き合うまではもう、ひたすら相手を揺さぶって揺さぶって、手のひらの上で転がしたらいいのよ?」
「俺もそれには賛成。弱みを見せた瞬間から、戦いは不利になっていくよね~」
「だって! ほら~」
「メイベルちゃん、やめよう!? その人達はサバンナの頂点に君臨しているような人達だから! 君が見習ってもいいことは一つもないから!」
「俺もヘンリーには賛成! アレンにはそんな、小手先の恋愛テクニックなんて駆使しなくても落ちるから! 大丈夫だから!」
「わぁ、すごい。ダニエルさんがはきはき喋ってる……!!」
なんだか新鮮! すごい。あとでエレンちゃんに今日のダニエルさん報告するから、このことも書いておこう。ぜいぜいと息を荒げている二人を見て、ノアがせせら笑った。
「でも、アレンはメイベルちゃんを妹的存在だって言い放ったんだよ? プールの時だって、変な心配ばっかしてたみたいだし。ここでメイベルちゃんに避けられて、避けられ続けたかと思えば、他の男とデートに行くっていう……。それぐらいがちょうどいいんだよ。絶望のどん底に突き落とすぐらいでちょうどいいんだよ、アレンは」
「そうねえ、私もそう思うわ。ちょっとぐらい、苦しんで白髪を数十本ぐらい生やしたらいいのよ」
「いっ、いやいや、それはもう流石にちょっと! アレンが気の毒なので!」
「そ、そうそう……あ、アレンにはもう十分だと思うな。め、メイベル? だからもう、普通にデートに誘ったらいいと思う……」
ダニエルさんにすがるような目で見つめられたので、しぶしぶ頷く。
「分かりました。じゃあ、諦めます! アレンと楽しくデートしたあと、カイルさんを誘って、ちょっと雰囲気の良いバーにでも行って飲むことにします」
「分かってないよね!? 全然ちっとも!」
「かっ、カイルに連絡を取るのはもう禁止! あっ、アレンをこれ以上不安にさせるのはその、やめた方がいいと思う……!! 逆効果だから! 嫌われてるって、そう勘違いしそうだから!」
「えええええ~……? でも、確かにそうですね」
いつになくダニエルさんが必死だった。それを見て、マリエルさんとノアが楽しそうに笑ってる。でも、二人はげっそりしていて顔色が冴えない。
「じゃあ、今日はムチの日だったんですけど、アメの日にしますね! 嫌われてるって勘違いされるのも嫌なので」
「む、ムチの日!? ムチの日だって!?」
「うん! ムチの日は徹底的に避けて、一緒に出勤もしないの~。話しかけられても逃げ続ける。でも、アメの日はいつもより優しくして、笑いかけて沢山喋るようにするの。これを交互に繰り返していると、アレンの態度が最近あからさまに変わってきて、」
「やめよう!? 最近のアレン、やけにうなされることが多いなと思ってたけどそのせいだったんだね!? やめよう!? 可哀相だし、俺の安眠も妨害されるからやめよう!?」
そこで、紅茶を飲んでいたマリエルさんがけろっとした顔で言い放つ。
「あら、でも、そろそろ一緒に眠るのをやめたらいいだけじゃない? ヘンリー」
「いやっ、あの、今さら部屋を分けるのも面倒臭いし、俺はメイベルちゃんの夜這いを阻止するためにも、アレンと同じ部屋で寝泊りしていたいというか……」
「ええっ!? 夜這いなんてしないよ!? 私!」
「いっ、いやいやいや……一体いつ、能天気アホのフレデリックさんに妙なことを吹き込まれてし出すか……」
「だっ、大丈夫だって! も~、ヘンリーったら変な心配ばっかりして!」
「いやぁ、怪しいからさ。やりかねないからさ……」
「バカじゃないの? しないでしょ、メイベルちゃんはそんなこと」
ノアから痛烈な言葉を浴びせられ、顔色悪く押し黙る。その時、ダニエルさんが「はぁ」と疲れたように溜め息を吐いて、額へと手を当てた。こういう仕草をする時、少しだけヘンリーと似ていて親戚だなと思わせる。
「とにかくも、その、メイベルはアレンのことを避けたりしないで、ちゃんと優しく接したらいいと思う……」
「ええええ~? それじゃあ、つまらないわよ。せっかく今、いいところなのに」
「……」
「そうそう。メイベルちゃんに翻弄されてるアレン、見てて面白いじゃん?」
「お二方はちょっと、黙って頂けると有難いんですが……!?」
「まぁ、どちらにせよ、メイベルちゃん次第ね? メイベルちゃんは一体どうしたいの?」
マリエルさんに抱き寄せられながらも、首を傾げる。でも、白髪が生えるくらい、ストレスが溜まってるみたいだし……。どうしてか、アメとムチの揺さぶり作戦は二人に大不評だし。この辺りでやめておいた方がいいのかもしれない。
「私……。私は」
「アレンに優しくした方がいいと思う、絶対に! あいつ弱ってるから! メイベルちゃんの予想以上に振り回されてるし、めちゃくちゃ弱ってるからさ!?」
「そっ、それに、嫌われてるって勘違いしてるから……」
「あれ? そうなんですか? じゃあ、ここから作戦を切り替えて、ひとまずアレンに優しくしてきますね~。これから会いに行ってきまーす」
「行ってらっしゃい、メイベルちゃん。待ってるわ」
「行ってら~」
「三十分以内に帰って来なかったら俺、部屋にノックしに行くから。よろしく」
「だから、変な心配しすぎでしょ。大丈夫だって、ヘンリー」
ソファーから立ち上がって、みんなに手を振ってから、ドアを開けると何故かアレンとハリーが突っ立っていた。思わず目をまたたく。青と白ストライプのパジャマを着たアレンが、気まずそうな顔をして目を逸らし、ニワトリの着ぐるみを着たハリーはのーんと、真顔で突っ立っている。
「あれだって! アレン、淋しいんだって! だから俺が女子会パジャマパーティーを盗み聞きする体で、ここにいろって言ってきてさ~! あれだよ、いざとなったら俺に全部濡れ衣を着せるつもりでっ、ぐふっ!?」
がっと、アレンがいきなりニワトリの羽を掴み、ハリーの鳩尾へ強烈な膝蹴りを入れた。どさっと崩れ落ちて、そのまま静かになる。あ、アレンが真顔で無言なのが怖い……。みんなも何も言えないのか、黙って事の成り行きを見守っていた。
「いつまで経っても学習しねぇな、こいつは……」
「えっ、えっと、アレン? どうしたの? 大丈夫?」
「いや、大丈夫。何でもない。悪かったな、盗み聞きして」
「えっ!?」
もっ、もしかして聞かれてた!? し、白髪のくだりだけだったらいいんだけど! あれだったら好きってことがばれないだろうし! くるりと背中を向けて、すたすたと歩き出したアレンを追いかけようとして、立ち止まり、慌ててドアを閉める。
「ねぇ、待って!? アレン! どこまで聞いてたの!?」
「いや、こいつが邪魔ばっかしてくるから無理だった。ろくに何も聞いちゃいねぇよ」
アメとムチ作戦が効いているのか、いつもなら立ち止まってくれないのに、すぐに立ち止まって振り返ってくれた。ほっとして笑いかけると、苛立ったように眉をひそめる。
「……何か、俺に聞かれたくないことでも話してたのか?」
「そ、そんなのじゃないけど」
「それに大体、女子会なんだろ? なんでそこにダニエルとヘンリーが入ってんだよ。おかしいだろ。追い出せよ」
「え、ええっと、ふ、二人の恋バナを聞いてたから!」
「へ~。恋バナをねえ」
アレンに優しくしようと思ってるんだけど、どうしたらいいのかぜんぜんよく分からない……!! 仕方ないので、白髪の話を切り出してみることにした。
「あの、アレン? 白髪が生えてきたって本当? さっきヘンリーから聞いたんだけど」
「恋バナじゃなくてお前ら、俺の白髪の話をしてたのか!?」
「あっ、うん。大体はそう」
「何やってんだよ……。あーあ、心配して損した」
「心配? 心配ってなんの?」
「あー、何でもない。こっちの話だから。じゃ、俺、風呂入ってくるから。それじゃあな」
「あっ、待って待って」
アレンを追いかけて、その腕を掴んで振り向かせる。アレンが不機嫌そうな顔で「なんだよ? なんか用か」って言ってきた。えっ、ええっと、ええっと、アメ、アメは……。
「わっ、私も一緒に入ってもいいかな!?」
「えっ」
「み、水着! 水着、急いで取ってくるから待っててくれる? あと、ヘンリーに心配しないでって言ってくるから!」
「なんでヘンリーに?」
「あのね、私がアレンと二人きりになるのが嫌なんだって。だから、三十分以上一緒にいないようにって、そう言ってきて」
「へえー……」
「だから、ちょっと待ってて! ヘンリーに言ってくるから」
「ん~、了解」
自分の部屋に水着を取りに行ったあと、ヘンリーに伝えて許可を貰う。でも、青ざめた顔で「くれぐれも水着は脱がないように! そういうのはちゃんと付き合ってからで!」と言い含められてしまった。ノアが呆れた顔で「お父さんだよ、それはもう」と後ろの方で言ってた。
「アレン、お待たせ~! じゃあ、行こうっか!」
「おう。……にしても、最近ヘンリーと仲が良いな。やたらと」
「えっ、そうかな? いつも通りだと思うけど」
「なんかしょっちゅう、相談ごと持ちかけてるし」
「えっと、その、ヘンリーにしか相談出来ないことがあるから……。すごく頼りになるの」
今日のアレンの前髪に寝ぐせがついていて可愛かったことや、お揃いの指輪を毎日つけてくれていて、今日は同時にオレンジ色になったこととか、嫌がらずに喜んで聞いてくれるし……。さっきみたいに、積極的に恋のアドバイスをくれるし! とんとんと、階段を上がりながら思いを馳せていると、脱衣所へと通じるステンドグラスのドアが現われた。アレンが後ろから押すと、ゆっくりドアが開いてゆく。
「……メイベルはあいつのこと、一体どう思ってるんだ?」
「えっ? ヘンリーのこと? 優しくて便利なお父さん、かな!」
「やっ、優しくて便利なお父さん!?」
「うん。最近のヘンリーはそんな感じ~」
「えっ? じゃあ、俺は? お母さんか?」
「うっ、ううん! アレンはえーっと、一番仲が良い男友達かな!」
「へ~。ああ、まぁ、うん。俺もそれはそうだな。メイベルと一緒だな」
二人で広々とした脱衣所に入って、笑い合う。ああ、楽しい。持っているタオルや水着を抱え直し、嬉しそうな表情のアレンを見上げる。
「やっぱり私、アレンと一緒にいたいかも! 今度、バニラちゃんを連れてピクニックにでも行かない?」
「なんだよ、やっぱりって。まぁ、機嫌が直ったみたいで良かったけど……」
「予定空いてる? 空いてないのならカイルさんを、」
「いや、空いてる。大丈夫だから。ぜんぜん空いてるって」
「なら良かった~! 行こうね、今度一緒に!」
「おう。晴れるといいな」
そのあと、一緒に入ってアレンが私の頭を洗ってくれた。温泉に浸かっている間中、ずっとご機嫌で、薔薇の花びらのシャワーを降らせてくれたし、私とヒヨコで遊んでくれたし、すっごく楽しい一日の終わりだった。
「ふふふっ、でも、たまにはアレンに冷たくしようっと~」
「や、やめた方がいいって、だからそういうのは……!! あと、どうだった? どうだった!?」
「別に何も無かったよ? も~、ヘンリーってば心配症なんだから!」
「ああ。自分でもまさか、ここまで心配症になるとは思ってもみなかったよ……」
「そうなの? へ~、変わっちゃったんだねえ」
「うん……」




