01
「さて、十六夜貴也。貴君にはこの世界で害をなす異世界人達を処分していただきたい。それにあたり給与、権限は貴君の世界での役員相当の待遇を与えよう」
え?
「悪くはない条件だと思うのだが?」
何この状況・・・・。
たしかに就職先を探して、いろいろな企業の募集に応募したけど。
何で異世界にいるんだ、僕は?
募集の中にこんなこと書いてあった企業なんて一つもなかったのにどうして?
「お断りした場合はどうなるでしょうか・・・・・・?」
恐る恐る尋ねると、意外な返事が返ってきた。
「その場合は致し方ない。また他の者を捜すだけだ。もちろん貴君にはすぐに元の世界にも帰還してもらう。本来、我々で解決できないことを無理やり召喚し、頼んでいるのだから当たり前であろう」
洗脳やら、帰還できないとか言って強制的にやらされると考えていたが・・・・・。
目の前にいるスーツを着た男はさらに続ける。
「いろいろと混乱しているようだが、貴君がここにいるのは我が必要としているからこの世界に召還したのだ」
「でも、自分は戦うことなんて出来ませんよ。喧嘩してもいつも負けてましたし、部活も文化部で運動も得意ではないのですし、それに人を殺しはしたくありません」
「その点は問題ない。君は異世界人の持つ能力を使えなくすればよいだけだ。戦闘は他のものに任せればいい。それと、能力を封じた者達には自分たちの世界に帰ってもらう」
「封じるといっても、どうやってですか?特殊な能力を持っているわけでもないですし、なにか特別な訓練をしたって、身に付くとも限らないでしょうし」
そして、男は一つの金色の腕輪を出す。
「この腕輪の使ってもらえば問題ない。ただ、この腕輪を扱える条件を満たしているのが貴君であったというだけだ」
首を傾げ、男に尋ねる。
「どうやってその条件が満たしていると分かったのですか?初対面ですよね?」
次の瞬間ドアが開き、一人の少女が現れた。
「彼女のアンケートに答えてもらったことは覚えているかな?」
確か2週間前に駅前でアンケートに答えたことを思い出す。ただ、やたらと質問数が多かったので、面倒くさかったと・・・・。
誤字脱字、その他おかしいところや改変した方が良い場所がありましたらご指摘、お願いいたします。
ちなみにこの作品は自分が書いている、もう一つの作品と同一世界という設定になっております。
興味がありましたら、そちらの方もよろしくお願いいたします。