電車内より
初です。
ふらっと見て頂きたいです
電車に乗り込む。何気ない日々のワンシーンだが、その日は何かが違っていた。
イヤホンから流れる控えめな音楽とやけに大きく聞こえる電車の音。目はまっすぐに向かいのドアの窓を見つめている。
いつもポラロイドカメラのように1回1回景色を切り取る瞼さえも、この景色を楽しちたいのか、少し仕事が遅いようだ。
電車に乗り込んだ時間も、次の駅に着く時間もいつもと等しく流れている。
だが自分には少しずつしか流れ込んでないような気がしていた。目を離すと急に進んでいる時、意識したら遅い、この時。
しかしながらそんなことを面白がるようなことも無く、着々と電車は進んでいる。
何があったのだろうか、いつもこの駅で乗ってくる女子学生が駆け込んできた。
軽く息を荒らげながらも、電車に乗り込んで控えめに辺りを見回す。目が少し大きく開いて、男子学生の方へ歩を進める。相手は見たことがない男子学生だった。
あぁ、なるほど、今日は彼女にとっての新たな日常の始まりなのだ、と自然と笑みが零れた。
姿勢を直した僕は音楽の音量を上げてもたれかかっていたドアの窓から外を見上げた。
ありがとうございました。