漆黒の騎士団
-な、なんだこの厨二臭がすごいのは!といっても、この炎魔法と防護魔法しかもこの家に進入出来るとなると・・・。かなりの使い手だから油断出来ないが・・・。というかこれ通報した方がよいのでは?
陸奥が天井に書かれてる文字をみてると、フッと文字が消えた。
-それに加え時間指定、か。俺の帰ってくる時間を見越したか、家に入ってからか、ということか。て、・・・あ!通報する証拠がなくなった!いや、でも通報しても悪戯で終わってしまいそうだから、まぁ、いいか。
陸奥が落胆のため息をして考え事をしていると、あることを思いついた。
-よし、そうだ!
*
少しさかのぼり狂歌が頭を抑えながらため息をついていた。
-これ、は?この魔力尋常じゃない。人の頭に直接言葉を焼き付ける魔法。でも、・・・厨二臭い。えーと、確か暁の晩て言ってたよね。よし!
*
陸奥は生徒手帳を手に電話をかけていた。
「もしもし。」
『はいはい。なにかようか?弥生。』
陸奥は忍者である伊賀恭介に電話した。
忍者という事は、情報に強いと陸奥は思ったのだ。
「ああ、そうだ。伊賀よ。漆黒の騎士団て知ってるか?」
『なんだい。その厨二臭いのは。まさか、お前漆黒の騎士団に入らないか。とか言う新しい宗教の誘いかい?ならやんわりとお断りするぜ。』
-まぁ、普通はその反応だよな。
『それとも、』
「ん?何か知ってるのか」
陸奥は恭介がいきなり知ってるかのような口調になったため不思議に思い聞いた。
『ああ、ちょっとな。』
「そうか、じゃあ教えてくれよ。」
『ああ、そのつもりだよ。』
*
『もしもし。』
『はい。こちら北条皐月です。ご用件は何でしょうか』
狂歌は本をよく読み実力も相当ある北条皐月に電話した。
『あ、北条さん一つ聞きたいのですが、漆黒の騎士団て知ってますか?』
『漆黒の騎士団?なんというか痛いですね。んー。漆黒の騎士団・・・一つ心当たりがあるのですが、多分違うと思いますが聞いて見ます?』
『は、はい。』
『それは、』
*
「な、たった一つの騎士団で両国とも半壊だって!」
陸奥は恭介の言った言葉に声を荒げた。
『ああ。そうだ。しかも、その騎士団は漆黒の鎧を纏っていたんだとよ。』
「で、でも。そんなことがあったのなら、もっと公にされてるはずだよな?」
陸奥が聞くと恭介は困ったような声で言った。
『んー。これがだな。不思議な事にだーれも知らないらしい。まぁ、なにせ両国とも全世界共通言語が使えない妖精の国だったし、両国ともプライドがあったんだよ。だから、公に晒されることを拒んだ。こんな感じだろ。どうだまだ聞きたいことがあるか?』
と、きかれ陸奥は大事な事を忘れてた。
-まぁ漆黒の騎士団も大事だが、それ以外に漆黒の騎士団なるものはこう書き記した〈暁の晩にて〉と暁の晩これがいったいなんなのか?
陸奥はそれが不思議でたまらなかったのだ。
「ああ、まだある。暁の晩に心当たりあるか?」
『ふむ、そうだな。暁の晩これまた面白い組み合わせじゃねぇか。暁の晩多分〈暁〉の言葉どうりだろう。』
-暁・・・確か、夜明けの意味だったか、ん?まてよ。そしたら・・・。
陸奥は一つの矛盾を持ち恭介に聞いた。
「暁の晩てどういうことだ?矛盾してるじゃないか。」
『ああ、それは夜明けどきのような空という意味じゃあないか?』
「そうか・・・。」
陸奥は納得したように頷いた。
『だが、もしかしたら〈暁〉てのはお前を困惑させるためのものだったりしてな。』
「ん?どういうことだ?」
恭介がいうと陸奥はさきほど納得したばかりが困惑してしまった。
『まぁ、暁じたいは俺がさっき言ったものだと思うが、もしかしたら、いや半壊させたときの状況を見ると、もう一つ意味がありそうなんだ』
「もう一つ?」
陸奥が問い返すと恭介はああ、と頷いた。
『ただの言葉遊びでひらがなになおして、あかつきから赤月もしくは紅月だったりな。』
「はぁ?おま、それはないだろう。」
陸奥が鼻で笑い言うと恭介は真面目な声で言った。
『状況が状況だからな。そいつらが現れたときそれまでは夜明けのような、まさに暁のような晩だったが、そいつらが現れた瞬間じょじょに空が赤くなり月が赤くなったとか。あと、年内にでも天変地異が起こるという噂があるからな。そして、漆黒の騎士団は暁の晩しか現れない。こんとなところか。』
「ああ、そうか。ありがとう。」
ここで、恭介は嘘をついた。実は暁の晩のことは、他にも情報を持っていたのだが、それを隠した。それ以上の情報を喋ることは情報屋、否、忍者のモットーである相手に半分情報を与えこちらも何かを得る、に反するからだ。
こう言う形で恭介はある仮説にたどり着いた。
-最近は少し騒がしいからな。それに漆黒の騎士団と暁の晩とでアレか。こりゃ面白くなりそうだ。
だが流石新入生代表その頭もさることながら、少しの違和感を感じていた。
-あいつまだ隠してるとこありそうだな。明日にでも聞いてみるか。陸奥はそう思って時計を見ると色々話したからか9時になっていた
-ああ夕飯食べなきゃ。
とまた30分ほど遅れるのであった。
ちなみに電話賃は大体学校側が負担するので何も心配することはなかった。
*
ここにもまたその秘密を知ってしまったものが一人。
『ええ!歴史上最強とうたわれた騎士団ですって!?』
『はい。そうです。まぁ正確には、その騎士団が漆黒の鎧を纏っていて国民や他国から敬意と畏怖をこめられて漆黒の騎士団と言われてたそうです。』
『へぇ、そうなんですか。あっ。後1つ聞いていいですか?』
狂歌は頷きながら相槌を打つと陸奥と同じような疑問を持ち聞いた。
『はい。』
『暁の晩て知ってます?』
『暁の晩ですか。そう・・・ですね。その最強といわれた漆黒の騎士団は夕暮れの真っ赤かの時に現れてたそうです。ですから暁の晩とは暁じたいの意味と赤いつきか紅い月という事でしょうか。その漆黒の騎士団は暁の晩もとい月が赤く轟くかのような時には狂ったように敵国を壊滅していき翌朝敵国は無くなったそうです。しかもその時謎の天変地異が起きたとか。』
皐月がいうと狂歌は腰が抜けたのかスポンと椅子に座った。
『そんなことが。』
『ええ。ですが。それからは何も無いんです。何かを隠してるような感じがするのですが。嘘を書いてるようにも見えない。と、言うことはそれまでに何かがあった。隠さねばならなかった、何かが、あったということでしょうか。』
うーむと皐月は一瞬自分の世界に入りうなった。
『そうですか。ですがそれだけ聞けただけで十分です。ありがとうございました。ではまた今度。』
-はぁ漆黒の騎士団、暁の晩どちらもただの厨二というわけではない、か。
*
-はぁ、一回外に出て頭でも冷やすか。
と、陸奥は外に出る。
外にでると言っても、陸奥の家はマンションなのでベランダだ。
「『はぁ~~~~』」
と、大きなため息をすると同じタイミングで聞き覚えある声がした。
隣の家のベランダを見るとそこには狂歌が陸奥をみてビックリした顔でたっていた。
-ええ!ど、どうしてここに!
陸奥があたふたした様子で狂歌を見ていた。
『えーと弥生さん?』
狂歌も驚いたように陸奥を見ていた。
「は、はい。そうですけど・・・。」
『こんなところで奇遇ですね。』
「そうですね。」
-ああ、思いだした。
陸奥はあることを一つ思いだした。
それは陸奥がジェネシス学園に入学するためにこの家に引っ越しをして、隣の家に挨拶しようとしたらその時留守だったのだ。
しかも、入学するため色々忙しかったから結局何もできなかったのだ。
『それで大きなため息をついてましたがなにかあったのですか?』
「はは、新藤さんこそ何かあったんですか?」
陸奥はため息をしていたところをつかれ乾いた笑いをして聞いた。
『まぁ、そうですね。あの漆黒の騎士団て知ってますか?』
「っ!?」
-え、今漆黒の騎士団ていった、よな。
陸奥は目を大きく見開き聞いた。
「あの今なんて?」
『あ、漆黒の騎士団t』
「ええええ!」
-・・・今日はよく言葉がとぎられる日だ。まぁ、いい。あの反応は何かあったのかな?
『えっとぉ。どうしたんですか?』
「ああ、すいません。」
狂歌が聞くと陸奥は軽く頭を下げた。
「ただ漆黒の騎士団と聞くと悪いものが思いだしてしまうので。」
『はは、奇遇ですね。私もです。と言うことは知ってる、のですか?』
狂歌が陸奥の言葉を聞くと狂歌と同じ心境だったため苦笑した。
「ええ。まぁ。といっても知ったのはついさっき何ですけどね。」
『私もそうなんです。』
「そうなんですか。あのすいません一つ聞いていいですか?」
『はい。いいですよ』
「帰ってきたとき何かありました?」
陸奥の、なんてこともない質問に狂歌は身構えた。
『っ!?』
「ああ。いや。ただ『気』が慌ただしかったので。まぁ帰ったとき何かあったのは自分も何ですけど。」
『ええ。まぁ、そうですね。・・・誰にも言わないで下さいよ。』
「はい。」
『暁の晩に私の魔力諸とも漆黒の騎士団に奪われるそうです。』
「っ!?」
陸奥がほぼ陸奥とおなじメッセージが狂歌にも与えられたのに驚いた。
『ああいえ厨二病というわけではありませんよ?』
狂歌は陸奥が驚いて一瞬身じろぎしたのを引かれたと思ったのか、言うと、陸奥は首を横にふった。
「あっ、そうじゃなくてですね。俺も暁の晩で眠ってる力が開花して奪われるらしいんです。漆黒の騎士団からのメッセージにそう言葉が綴られてました。」
『そうですか。とんだ偶然もあるもんですね。』
-本当に偶然なのだろうか。
陸奥は密かにそう思った。
-偶然にしては出来すぎている。
だが陸奥はそう思いながらも口には出さなかった。
「まぁここで悩んでても何も始まりません。そうだ!明日の放課後にでも話し合いしませんか?俺の友人にそう言う情報には詳しい奴がいるんです!」
『そうですね。私にも少し博識な友人がいるので図書室でどうでしょうか。』
「はい。わかりました!ではまた明日。」
と陸奥がいい狂歌と陸奥はベランダから中に入った。
-そうだ伊賀にこのこと伝えようっと。
「もしもし」
『なんだ?言っとくけど俺は何時でも暇だぜじゃなきゃ今出ねぇしな。』
と恭介がいった。どういう意味かと陸奥が時計を見るともう夜の10時を回っていた。思った以上に
話し込んでいたらしい。
「なんだもうお見通しか?」
『ん?なんのことだ。』
陸奥が言うと恭介は首をかしげた。
陸奥はその雰囲気を感じ取り苦笑した。
「適当かよ。ま、いいか。明日も暇なんだろ?どうせさ。明日の放課後図書室な。早くこいよ。」
『え?まぁいいけどよ。なんかあんのか?』
「それは明日話す。んじゃまた明日」
『あ、おい』
陸奥はそのまま電話を切り寝た。
*
ここに謎の2人組がいた。
「おい◆◆◆あれじゃあただの厨二病だろ。」
「ああ分かってないにゃあ。◆◆◆は、あれには相手を油断させるという意図がこめられてるのにゃ。」
「はぁ。全く。」
「しょうがないにゃ。◆◆◆は頭が硬いということにゃ。」
「その口調うざいから止めろと何時もいってるだろ。」
「あ、話しを反らしたにゃ。」
「う、うるさい!」
*
チュンチュン
「ん、朝か。」
陸奥はすぐ準備をして家を後にしようと扉を開けた。
そしたらちょうど隣もあき狂歌が出てきた。
『おはようございます。』
「あ、おはようございます。」
『ちょうどですし、一緒に行きます?』
「は、はい。」
陸奥は狂歌と一緒に学校に向かった。
-だがまぁ予想通りというかなんというか。
陸奥が学校に向かってると、商店街のおばさんやおじさんから茶化されたりと色々大変だった。
それでも何とか無事に学校についたのはいいものの生徒からは驚きの目で見られたり軽蔑の眼差しで見られたりと陸奥は自分のではなく狂歌の心配をした。
-こんな普通科の生徒と歩いてていいのかな?クラスで浮くんじゃ。
そう思っていると狂歌が口を開いた。
『では私はこっちなので。』
「は、はい。それでは。」
陸奥が上履きをはいて特別棟に行こうとすると後ろから声をかけられた。
「あなたは親に人の言うことは聞きなさいと習わなかったのかしら。」
「お前か。えーとたしか千葉さんでしたっけ。何か?用でも。」
陸奥はこの人もこの人でよく俺に話し掛けるなぁと思っていた。
「用もなにもあんなに散々言ったのに守らないなんて。」
「え?あ、ああ。いや今日のはたまたま家が隣だったので、一緒にきただけですよ。家というか部屋?」
「そう、かしらね?ま、いいわ。私はあなたがどうなっても知らないから。」
タッタッタッタと榛名は歩き消えてしまった。
陸奥は首を傾げながら、そのまま真っ直ぐ教室へと向かった。
教室に入るとまだ人は少ないみたいで、数人しかいなかった。
「あのぉ。」
と声をかけられたので振り返ると昨日のエルフの子がいた。
「はい。なんですか?」
「あ、いや。自己紹介がまだだった気がしたので。」
エルフの子が言うと陸奥は顎に手えをやりながら言った。
「えーと、たしかアーリー·フロスト·ゼロさんでしたっけ。」
「はい。そうです。ですが、どうして私の名前を?」
「いえ、昨日自己紹介していたのを聞いていたので。」
「あ、そうですか。」
陸奥が言ったのをきくとアーリーは頷いた。
「はい。それでは。」
と陸奥がいい。席に向かった。
そしたら恭介が先についていた。
「よう。」
「ああ、おはよう。」
「それでよ。お前さんあの新藤狂歌と一緒に来てなかったか?」
「ん?ああ家がというか部屋が隣なんだよ。」
恭介は陸奥の言葉で察し納得した。
「ああ、そう言うことか。」
「それでよ。伊賀お前なんか隠したよな。違うな。隠したというよりは言わなかったよな。」
「ほうなんでそれを?」
恭介は笑みを浮かべ陸奥に聞いた。
「聞いたからだよ。それになんか違和感もあったしな。」
「なんだ気づいてたか。けど俺だって聞きたい事があるぜ。昨日いきなr」
「お前何時も暇なんだろ?」
「お、おう。まぁ、そうだけどよ。」
「なら、いいだろ。」
と陸奥は無理矢理押し通した。
そんなこんなやってるうちにチャイムがなり先生がきた。
これから楽しい楽しい授業の時間だ。
授業といっても最初はガイダンスやオリエンテーションなどだが。
*
遡る事数分前。
狂歌は皐月に放課後の事を聞いた。
『あ、北条さん今日の放課後あいてます?』
「はい。あいてますけど。」
『なら図書室にどうですか?』
「はい。いいですよ。というか私は今日も図書室へ行こうと思ってましたから。」
こちらは平和にことが進んだ。
*
昼休み陸奥が外の風に当たるため、校舎の回りなど外を歩いてたら、前から見覚えのある人物がきた。
-何処かで見たことあるな、あの人。何処だっけ。
「こんにちは。」
「え、ああ。こんにちはです」
その人はよくみるといや遠めでも綺麗だったが近くから見ると、ものすごいきれいだった。
金髪で青色の瞳スタイルも良かった。
-それにしても何処かで見たことあるなぁ。
と陸奥が思っていると相手から自己紹介してきた。
「あら見とれていましたか?」
「え、えええっとぉ...。は、はいすいません。」
陸奥はいきなり言われ戸惑いのあまりへんな声をだしてしまった。
「別に謝らなくて良いのですよ?ほんの冗談ですから。」
「そう、だったんですか。」
よかったぁ、と陸奥は心の中でそう呟いた。
「たしか自己紹介がまだでしたね。私は会長を努めさせているウリエル·ヴァルキューレと申します。」
-そ、そうだ!思い出した入学式の時挨拶していた人だ。
「え、ええとじ、自分は、」
「ふふ。そう改まらなくても良いのですよ?どのみち知ってますし、弥生陸奥さんでしたわよね。」
「ええと。は、はいそうです。」
「それにしても私は知っていたのにあなたが忘れるとは酷い人ですね。」
今までの陸奥の反応からウリエルのことを忘れていたと察したのか、ウリエルが冗談めかして言うと陸奥は頭を下げた。
「あ、ああと。す、すいません!」
「ふふ、冗談ですよ。」
陸奥は思ったこの人怖いと。
「それではまた今度。」
「は、はい。」
陸奥はウリエルがいなくなったのを見越してため息をついた。
*
放課後になると陸奥はめんどくさがる恭介を引っ張るように図書室へ向かった。
「だーっ。痛いって言ってるだろ。」
「なら歩け。そもそもお前が黙ってたから悪いんだろ。」
「それは謝っただろう。」
「うるさい。」
そうこうしてるうちに図書室についた。
陸奥が狂歌を見つけるとそこへすぐさま駆け付けた。
「ま、待ちました?」
『いえ私達もいまきたとこです。』
と狂歌がいって狂歌の隣を見るとそこには皐月が座っていた。
「北条さん!?」
「ヒッ、て弥生さんですか?」
皐月はいきなり声をかけられ一瞬悲鳴のような声をだしたが、陸奥だとわかって安堵した。
『あ、二人は知り合いだったんですか?』
「ええ、まぁ。入学式の時に。」
『へぇ。と、そういえば、ずっと気になってたんですが、そこに寝てるのは・・・。』
「ああ、めんどくさがってたので無理矢理連れてきたんです。」
『そうなんですか。』
「ハッ。んだよ弥生水くせぇじゃねぇか。合コンだったらそういってくれればいいのに。」
恭介は狂歌と皐月の姿をみるとスッと立ち上がり陸奥の肩をたたいた。
「ちげぇよ。」
「それじゃあ。何だよ。」
「漆黒の騎士団と暁の晩のことだ。」
「ほう。」
恭介は漆黒の騎士団と暁の晩のことを話すといったら急に顔つきが変わった。
「それを今から伊賀お前とそこにいる北条さんに話す。」