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私の声は誰にも聴こえないし届かない  作者: 轟 十六夜
戦いの幕開け
2/20

新たな道

今日は待ちに待ったジェネシス学園の入学式だ。

「いただきます。」

陸奥は簡易的な朝食を食べ登校の準備をする。

「よし、いくか。」

昨晩念入りに確認したが、念のため忘れ物がないか一つ一つ確認した。

「えーと生徒手帳は持ったな。あとは...。」

「と、アレを忘れるとこだった!」

陸奥は何かを思いだし、駆け足で部屋の奥から一刀の刀をだした。

 学園も生徒に武器を持って登校させることは許可している。と言うのも陸奥や普通課に通ってる生徒には魔力が無いため護身用という意をこめて学園が進んで持たせてるのだ。

 だが、ジェネシス学園の普通科は個々が武器を持たなくても自分の身は守れるので武器を持っていく生徒は珍しい。

「このご時世何があるかわからないからな。」

陸奥はそう言うと刀を一なでして腰にかけた。

 正午になる前に陸奥は誰もいない部屋に向かって行ってきますといい、登校した。

「あー楽しみだなぁ。」

陸奥は今日から始まる新生活に期待をよせながら、一歩一歩気をつけて歩いて行った。


陸奥は学園につくと寄り道せず体育館へとむかった。

 座る場所は指定されていないため、陸奥は一度周りをみて、そこで陸奥は座る所を決めた。陸奥は若干人見知りのため人気の少ない所に座った。

 ここでは普通科と魔法科のコミニケーションタイムでもある。なによりの理由は異種族間の親交を深めるというのが学園側の狙いだ。

 そんなとき後ろから声が聞こえたので陸奥は少し首を後ろに向けた。

「あの、ここ空いてますか?」

と、おずおずとした感じに眼鏡をかけた少女に聞かれた。

「空いてますよ。」

陸奥は返事をしてから目を見開き驚いた。

 何故なら少女が着ていた制服の中に魔法科生の証ともいえる印が刻まれてたからだ。しかも魔法科の生徒が自ら普通科の生徒に話しかけるとは珍しいことだからだ。

-まぁ隣になったんだし名前くらいきくか

「あの名前は何て言うんですか?」

「ひゃいっ!」

陸奥が聞くと少女は予想していなかったのか肩をビクッとあげ、おかしな声をだした。

-うっ、やはり唐突過ぎたかな?

陸奥がそんな事を考えていると、少女がおずおずとした感じに名前を言った。

「ええと、名前は北条皐月(ほうじょうさつき)と言います。」

少女は皐月は笑顔で答えた。

「へぇそうなんですか。て、ことはもしかして極東の方ですか!」

「は、はいそうですけど···。」

陸奥は自分と一緒の国出身の人と知り合いになれたことで歓喜のあまり立ち上がりそうになったが皐月がちょっとひいていたのでなんとかギリギリでとめ自己紹介をした。

 他人から見れば何かを我慢しているみたいで一緒にいる皐月まで奇異な目で見られてしまうところだったが幸いにも人気が少なく、人もあまり通らなかったので、そんなことは起きなかった。

「俺は弥生陸奥といいます。俺も極東出身でこんなところで会えるなんて思っていませんでした。」

そう陸奥も自己紹介すると後ろから近づいてきた足音が途中でとまり陸奥に向かって明らかな敵意を表した。

「おい、そこの普通科の生徒。普通科の分際で魔法科の生徒にナンパとはいい度胸ではないか。」

-周りからみればやっぱりそう見えるか、だが男弥生陸奥としてそれは聞き捨てならないな。よしここはガツンと言ってやろう!

と陸奥が勢いよく立ち上がろうとすると意外な助け船がきた。

「あ、あの弥生さんはただ私が隣に座ったから自己紹介をしただけで別にナンパという訳ではないとおもいます。そ、それに今ここの時間は普通科と魔法科のコミニケーションタイムとして許可されてますしぃ...。ええと、なんというかそのぉと、とにかくべ、別に弥生さは悪くないと思います!」

皐月が力強い語気で反論したのだ。

 女は面くらったように目を見開いた。

「なによ。あんた魔法科なのに普通科の肩を持つ気?ま、いいわ。だとしても普通科の分際で魔法科の生徒と仲良くしないことね。」

その女は魔法科にはそこまで強くなれないのか、陸奥を睨みながら注意だけをした。

「あ、ああ。」

陸奥はたどたどしく返事をした。

「それじゃ。」

女はそれだけ言うとたったったと歩いて魔法科の生徒がたまっているとこにいった。 

「あのさっきはありがとうございました。」

陸奥は皐月に座りながら礼をする。

「いえ、私は思ったことを言っただけですから。」

皐月は笑顔で答えた。

-いやそれにしても見た目によらずよく喋る子だなー。やっぱこういうトップクラスともなると皆こう言う感じなのかな? 

陸奥はそうかんがえると一瞬間をあきため息をついた。

-······それはそれでいやかもな。というかさっきの女の子は何だったのだろうか?ちょっと怖いな。

陸奥は背筋に登る寒気さを我慢した。

 そんなことを考えていると皐月が陸奥の肩を叩いた。

「あ、あのもうすぐ入学式始まりますよ。」

「え、ええ。」

-もうそんな時間か少し喋り過ぎてたみたいだ


学園長の挨拶が終わり、次は新入生代表の挨拶だ。

 新入生の代表は普通科と魔法科で二つある。普通科では成績のトップで選ばれるが、魔法科はその魔力と成績(普通科とは少し違う)で選ばれる。

「魔法科代表新藤狂歌。」

『はい。』

それと同時に一人の少女が立った。

その少女は見るもの全てを魅了させるくらい美しく長い髪に整った顔立ちその顔からはどこか儚さも感じた。

 それに声が人の声とは違うような機械と人が混ざったような声だった。だが、その声も不思議と少女の魅力を引き立てていた。

『私は喉に障害を持っているため上手く話すことが出来ません。ですがこの魔法を使って皆さんと仲良くなりたいと思っています。』


それからも狂歌は話してたがその美しさのあまり途中から聞いてなかった。

――これが狂歌と陸奥の出会い。

「普通科代表弥生陸奥。」

普通科代表は陸奥だ。

 陸奥は成績が良くてほとんどの教科がほぼ満点だ。それに武道の心得があるため実戦も得意としていた。

 狂歌のことで頭がいっぱいだったため一瞬間が空いたが、気を取り直し返事をした。

「はい。」



「ふぅ終わったー。」

陸奥は入学式が終わると大きいため息をついた。

「弥生さんが代表だったんですね。」

入学式の時は話せないため、皐月は今聞いてきた。

「まぁな。こうみえて実は頭いいんだぜ。」キリッ

「はは。」

陸奥がキメ顔で冗談半分に言うと皐月は苦笑いをした。

「じゃ入学式も終わったことだし教室いくか。」

陸奥が椅子から立ち上がり、そう言うと皐月は座ったまま頷いた。

「そうですね。」

「それじゃあまた今度な。」

「はい。」

陸奥はそのまま皐月と分かれ教室へと向かった。

 10分くらいたったとき教室が見えた。

 ガラガラとドアを開け陸奥は適当な席につく。

 この学園では生徒の自由というのを掲げており、自分たちの席は入学式当日に座った場所がそのままその席に保存される。

-人数はざっと30人くらいか。

「おい、お前。」

-!?

「っ···なんだ。」

陸奥は後ろからいきなり声をかけられ驚いた。

-こいつ、今まで気配あったか?

驚いたのも無理はないだろう。何故ならこの男陸奥が教室に入ると同時に気を張り巡らせた時には感じなかった気を纏っているからだ。

 その気配に一瞬警戒した。

「さっき一緒にいた子あれ魔法科だろ?どうやってたらしこめたんだ?秘訣教えてくれよ。」

だが、その男はふざけた事を言った。陸奥は一瞬きょとんとしたが、警戒していた自分を馬鹿馬鹿しく思い、ため息をついてから男に言った。

「ちげぇよ。つか誰だよお前。」

そもそもの部分を聞くと男はわざとらしく手をうち口を開いた。

「おっと、そういえば言ってなかったか。俺は忍者一族の次男坊伊賀恭介(いがきょうすけ)だ。」

その言葉に陸奥は嘘を感じなかったため一瞬驚いた。

「へぇ忍者か。」

「ああ忍者だ。」

陸奥は一瞬間を開け顎に手をやると恭介の疑問を抱いた。

「なんか忍者てそんなに軽く言っちゃていいの?」

陸奥は恭介が忍者である、と軽くいったので疑問に思い聞いた。

「そんな軽ささえどっかにいっちゃう位の能力を持っているってことだ。つかお前さんもそうだろう。そんな大業物を腰にぶら下げてんだったらよ。」

「っ!へぇ気づいてたか。」

陸奥は一瞬驚いたが何とか平静を取り戻した。 

 驚いたのは陸奥の刀は腰に差して分かりやすいもののその刀が大業物であるというのはただ見ただけじゃ分からないからだ。

 そしてその刀が纏っているモノを感じることができなければ大業物であると言いきるのは不可能に近い。

-やはり、それくらいの実力はあるか。

「さっきお前さんといた嬢さんも気づいてたみたいだがな。どうだ?これでもさっきみたいに〈軽く〉なんて言えるか?」

陸奥は恭介が言うと首を横に振り苦笑してから答えた。

「前言撤回だ。でもま、流石は忍者···いや暗殺を糧にした忍びといったところか。」

「気づいたか。」

恭介は片目を瞑り笑みを浮かべた。

「まぁ、な。確かに軽くではないらしい。でもお前からは殺しの匂いがあまりしない。」

「まぁ、な俺は何かを殺るときは殺りがいのある奴にしてんだ。お前みたいな、ね。」

恭介はそう言うと一瞬狂喜の笑顔を浮かべた。

 が、すぐなんともないという風に話題を変えた。

「いやぁ。それにしてもさっきお前といた子も可愛かったが、魔法科の代表も可愛かったよな!」

「ああ。そうだなそれにしてもこの学園て極東や東洋の国出身多いのか?」

陸奥はその恭介の急な話題を変えたことに何も言わず、話しを続けた。

「いやそういうわけじゃ無いらしいぜ。ただ極東や東洋の国の奴らが普通科には多いて感じだ。」

「ふーん。まぁ、そんなものか。」

ガラガラと陸奥と恭介が話をしていると教室のドアが開いた。

 そこからきたのは幼女だった。

 何から何までもが幼女としか言いようがない人がきた。



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