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私の声は誰にも聴こえないし届かない  作者: 轟 十六夜
漆黒の騎士団
17/20

それぞれの秘密

陸奥がカフェに行くと恭介はもうついていた。

「よっ。」

「ああ。」

陸奥が声をかけると恭介は顔をあげ返事をした。

「それで話ってなんだ?」

陸奥が聞くと恭介は一息つき答えた。

「ああ、俺の兄貴のことだ。」

「お前の兄貴?というと・・・。」

恭介の言葉に陸奥が聞くと恭介はゆっくり頷いた。

「ああ、この前戦った時のだ。」

「なぁ、一つ聞いていいか?」

「なんだ?」

「あの、よ。お前の兄貴は本当に死んだんだろう?そしたら、どうして、」

あの時いたんだ、と言おうとしたが恭介の言葉によって遮られてしまった。

「それは、今から話す。」

恭介がコーヒーを口に入れ続けた。

「俺の兄貴、名前は伊賀白夜という。前にも話した通り数百年に一度生まれる神子という存在だ。そしてバステノの力によって力を吸われ死んだ、とここまでは前も話したな。だが実は死体は見つかっていないんだ。」

恭介の言葉に陸奥はすかさず反応する。

「な、どういうことだ?そしたらどうして死んだなんてわかった、いやそう思えたんだ?」

「ああ、それは状況証拠や数年連絡が無いこと、そしてこの世界の中心地にある天に最も近いといわれる山、ヘブンズロードにあるこの世の生存者名簿に名前が載っていなかったからだ。」

「え?どういうことだ・・・。」

恭介の言葉に陸奥はまた驚いた。

-どういうことだ?ヘブンズロード、死者が通ると言われるヘブンズロードではこの世界で死ねばその山にある生存者名簿から名前が消える、だから・・・。名前がないということは即ち、

「本当に死んでいた、という事なのか?でもそしたら何故あの時・・・。」

陸奥は記憶を掘り返し恭介の言った言葉を思い出す。

『おい兄貴か?兄貴なのか!

-確かに兄貴と言っていた。見間違え?いいや、あの状況なら本当にそうだったんだろう・・・。

 陸奥が考えてると恭介は神妙な顔で言った。

「おそらく兄貴は死んでいる。」

「え、でもあの時確かに。」

恭介の言葉に陸奥は疑問を投げかけるが恭介は首を横にふった。

「兄貴、もとい伊賀白夜が死んだと言うことだ。もしこれから俺が言う推測が当たっていたとするば事態は大きく変わるだろう。」

恭介の言葉に陸奥は首を傾げた。

「どういうことだ?」

「ああ、おそらく兄貴は漆黒の騎士団と結託している。そして名を変えた。」

ガッ

恭介の言葉に陸奥は椅子から立ち上がり驚いた。

「な、」

陸奥は一瞬言葉を失ったがすぐに気を取り戻し、一気に疑問をまくし立てた。

「ど、どういうことだ?結託?それに名を変えたって・・・。」

恭介は陸奥の疑問を聞いてから頷き言った。」

「ああ、まず順に説明しよう。結託というのは推測に過ぎないが操られているにしては意思があった。それにここでは結託していたというのが一番筋が通っていて、辻褄があうんだ。なんせ俺の兄貴は容赦の無い兄貴だったからな、目的の為ならなんでもするような人だった。それに名を変えるのにしたって操られていたからでも確かに話はあうが、奴らは人間を操るという手は使ったことがないんだ。何故なら操るというのはもしそれが解けた時に都合が悪いからだ。それにそれは俺たちの業界でもそうだ。だから結託をして名を変えた、それに名を変えたということだって根拠はある生存者名簿には順番があるだろ?生年月日で、そこに普通なら伊賀白夜の名前があるはずだが無かった。まぁそれは死んでるんだから当たり前なんだが、だがそこには別の名前があったんだ今まで見に行ったときは無かった名前夜叉とな。」

「ということはそれがお前の兄貴なのか?」

陸奥の言葉に恭介は頷いた。

「ああ、そう考えて間違いはないだろう。」

「だけど、どうしてそれを俺に?他の人がいるときでも良かったんじゃ・・・」

「ああ、それはあれだよ。ちょっと気持ちを落ち着かせたかったて言うか・・・。まぁ、あれだ。相談みたいなもんだ。」

恭介は頬を掻きながら言った。

「そうか。」

陸奥はふっと笑い紅茶を飲んだ。

「まぁ、安心しろ。他の奴らにもちゃんと言うから。」

「ああ、そうだな。何時がいいかな?」

「今週の土曜でいいだろ。」

「そうだな、じゃ。」

「おう。」

そう言うと陸奥と恭介は店を後にして帰路についた。


その週の土曜に陸奥たちはカフェに集まっていた。

「それで話って何かしら?」

「伊賀さんのお兄さんの話と聞きましたが・・・。」

榛名と皐月が口を開いた。

「ああ、そうだ。それに伊賀の兄の話は千葉さんのお兄さんにも言えることかも知れないですし。」

陸奥が言うと狂歌が首を傾げた。

『というと?』

「聞いたらわかりますよ。」

陸奥はそう言うと恭介に話をまかせた。


恭介の話が終わると榛名は深刻そうな顔で呟いた。

「なるほどね。だから私の兄にも言えることかも知れない、と。そうね簡潔に言えば()()()()()。」

「そうか。」

やはりか、と陸奥は心の中で呟いた。

「ええ、私の兄の名前は千葉隼人と言ってね。ジェネシス学園の魔法科主席でもあったわ。その強さは普通科主席だった頃のバステノと張り合う位の、そして何より未知を求める人だったわ。だからあの人ならありえる。」

「なるほどな、ならもし俺の推測があってたとするば、ちょっと最悪な状況になるかも知れないな。」

恭介は冷や汗を浮かべながら言った。

「確かに、意思があるという事は考えて私達を殺しに来るという事ですからね。いくら私達が強くなってても相手も闇、の力で強くなってるはずですし・・・。」

皐月の言葉に狂歌が反応した。

『ちょっと待ってください。本当に相手は私達を殺そうとしているのでしょうか?』

狂歌が言うとアーリーが反応した。

「それはどういうことですか?」

『いえ、考えてみて下さい。今まで私達を殺すチャンスは何回もありました。しかし奴らは私達を殺さず見逃してきました。私と弥生さんはまだわかります。暁の晩に力を吸いとるのですから、しかしウルドさんや千葉さんなど、殺せる一歩手前までに来てたんですよ。もしかしたら他に目的があるのかもしれません。』

狂歌の言葉に榛名が頷き答えた。

「ええ、その可能性は高いでしょうね。それにこのトールが言っていたわ。私達も力を吸われる対象かもしれない、と。ねぇ?」

榛名が聞くとトールは反応した。

『ああ、そうだ。ほぼ確実と言っても良いだろう。だがなぜそこの小僧と小娘だけに予告状のようなものがきたかそれを考えるんだ。俺が言えるのもここまでだ神とはいえ下界の者にヒントを与えすぎるのも駄目だからな。』

『なぜ私と弥生さんだけ、ですか・・・。』

トールが言った言葉に一同は声を唸らせて考えた。

 それから数秒立つと皐月がボソッと呟いた。

「試、練?」

「と、言いますと?」

皐月の言葉にアーリーが反応した

「え、ええ、ただ思い出したんです。私の師が言っていたことを・・・。」

「何て言っていたんですか!?」

陸奥はここぞとばかりに食いついた。

「!?え、えーとですね。鵺翔はこの世の生物の中で選ばれた者達だけに試練を与える、と。」

皐月は一瞬驚いたが何とか続けた。

 すると次は狂歌が聞いた。

『選ばれた者、と言いますと、私と陸奥さんという解釈でよろしいのですか?それともここにいる全員、ですか?』

狂歌が聞くと皐月は首を横に振った。

「いいえ、それはわかりません。ですがもしかしたら私達も、と考えた方がいいかと・・・。」

『そうですか。』

すると狂歌は陸奥の方を見て聞いた。

『陸奥さんちょっと良いですか?』

「いいですけど・・・。」

陸奥はくびを傾げながら肯定した。

『それでは単刀直入に聞きます。何か隠し事、していますね?』

狂歌が言うと陸奥は全身に鳥肌がたち、心臓が掴まれたかのような感覚に襲われた。

「な、なぜそれを。」

陸奥は平静を取り戻し聞いた。

『それは、私も秘密があるからです。そして、北条さんにも。』

そう狂歌が言うと皐月は下を向いた。

『では、私から言いますね。私は今力を封印されています。』

「今の状態でですか!」

ダンッと陸奥はテーブルに手を勢いよくつき反応した。

 他の皆も声こそ出してないが目を見開いて驚いていた。

『はい、そうです。そして私はヤマタノオロチを一人で倒しました。』

「な、一人でヤマタノオロチを!?」

次は恭介が声を張り上げて驚いた。

 無理もないだろう。ヤマタノオロチは一つの胴体に八つの頭に八つの尾を持ち目はホオズキのように真っ赤で、体にはコケやヒノキ、スギがはえ、八つの谷と八つの丘にまたがるほど巨大でその腹はいつも血でただれているほどに恐ろしい風貌をしておりしかも神だからだ。

 神ではなく最近では魔物としても扱われている程の凶悪な神だからだ。

『ええ、ですが今は勿論そんなことできませんよ。いくら神の力があろうがね。』

狂歌はゆっくり息を吸い続けた。

『まぁそのヤマタノオロチを倒したことで村の英雄のような扱いをされました。が、そのなかには、というより村の者達は皆私の力をおそれていました。英雄といわれる陰では化け物と言われていたのです。そんなとき、ある事件がおきました。私の力が暴走してしまったのです。今思えば、漆黒の騎士団のせいだったのでしょうか。まぁそれで村の者達は皆私の力を封印しようとしました。それからははやかったです。私を何も無い所へ閉じ込めて封印の儀式の準備をしたのです。そして、私の力は封印されましたが、それでも私の力を全て封印する事はできませんでした。それで私はずっと何も無い部屋から出る事を禁じられていたのです。そこは私の封印を強化するための部屋で、その部屋は外からしか、開けれず。特別な鍵が無ければ入れませんでした。ですが、その持ち主が死ぬと、自動的にその扉がこの世界に戻ってきて中からも開けれるようになるのです。』

すると陸奥が聞いてきた。

「ちょっと良いですか?もしかして新藤さんがここにいるのって・・・。」

陸奥が言おうとすると狂歌は頷いて答えた。

『はい、その持ち主は死にました。私が出た頃には村が壊滅していました。そして最後に、私は新藤ですが実際は神の道とかいて神道なんです。私の一族は数百年に一度神と同等の力を持つ子が生まれるのです。それが私です。これで私の秘密は終わりです。』

「そうだったのか。」

恭介は納得とばかりに頷いた。

 すると皐月が決心したように口を開いた。

「それでは、次は私といきましょうか。端的に言えば私は人ではありません。まぁ正確に言えば人の遺伝子を組み上げられて作られた人工人間と言ったところですか。」

「人工人間!?」

アーリーが声を張り上げ驚いた。

 狂歌は予想できていたのか、やはりかという顔をしたがほかのみんなは言葉をうしなった。

「はい。私が何時も師匠と言ってる方は確かに師でもありますが。正確には博士です。後、私が色んな魔法を使える事に驚いてましたよね。陸奥さん。」

「え?ええ、はい。」

陸奥は突然話をふられ驚いたが何とか返すことができた。

「それを今から説明します。魔法には全ての魔法の素となる五つの属性がありますよね。通称五大元(ごたいげん)と言われてるものです。そしてその五つのどれにもあてはまらない。世界を構成するうえでは大切な三つの属性通称三元素があります。その全てを極める事はほぼ不可能と言われています。ですが、私は遺伝子を組み上げてそれらを可能としたのです。」

「だから・・・・・・・。」

陸奥は納得したように頷いた。

「そして、ここからが大事なんですが、おそらく私の師匠は漆黒の騎士団に関係しています。」

「な、それは一体どういうことかしら?」

榛名は睨むように皐月を見て聞いた。

「ええ、私の師は昔から鵺翔を知っているような口振りで教えてくれたんです。」

「そう、なるほどね。」

榛名は完全に納得こそしはしなかったが、一旦は納得した。

「じゃあ、次は俺ですか。そうですね。俺には咲耶さん、神以外の強大な力が眠っています。としか言いようが無いですね。咲耶さんが教えてくれた事なので。」

「そうなんですか。」

『ええ、陸奥さんの持つ力、それはとてつもないものです。そう龍神の暴走を止めた時の力、それは陸奥さんの中に眠る凶悪な力の一片でした。』

「まじかよ・・・・・・。」

恭介が苦笑い混じりに言った。

「あ、そうだ弥生一つ聞きたいことあるんだがいいか?」

すると恭介が突然何かを思い出したかのように聞いた。

「ん、なんだ?」

「ああ、お前の家族についてだ。」

恭介が言うと、陸奥は予想していたかのように呟いた。

「俺の家族、か。」

「ああ、そうだ。俺の情報が正しければ、弥生家は女子一人しか子供がいないんだが・・・。」

その言葉にアーリーは首を傾げて言った。

「それはたまたま名字が同じと言うわけでは無いのですか?」

アーリーの疑問に答えたのは陸奥だった。

「いいや。多分伊賀の言っている弥生家であってますよ。」

「それは、一体どういうことなんだ?しかも弥生家と言えば物凄い魔法家系じゃねぇか。」

その言葉に陸奥は頷いて答えた。

「ああ、それは俺が弥生家を追放されたんだよ。魔法を使えないからな。そしてその女子が俺の妹で弥生卑弥呼だ。卑弥呼は絶対的な魔力の量とその能力で弥生家の看板を中学生ながらにして背負ったんだ。」

「なるほど、そう言うことだったのか。」

恭介はスッキリした顔で納得した。

『それではもう遅いですし帰りますか?』

狂歌が言うと一同は頷きそれぞれ帰路についた。





属性の説明

五大元

火···火を操りマグマなどの物もこれにはいる。水に弱い

水···水を操り氷などもこれにはいる。雷に弱い

雷···雷を操り電気関連の物はこれに入る。土に弱い

土···土を操り岩など大地や草等もこれに入る。風に弱い

風···風を操り衝撃波や重力などもこれに入る。火に弱い


三元素

光···光を操り世界を明るく照らしている。闇に弱い

闇···闇を操り世界に夜を与えている。光に弱い

癒···今までの物とは根本から違い、アンデット系以外には癒しを与える

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