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私の声は誰にも聴こえないし届かない  作者: 轟 十六夜
戦いの幕開け
16/20

「お帰り、と言った所ですか。」

とヴェルダンディが帰ってきた六人に言った。

「はい、ありがとうございます。」

陸奥は修行の場を用意してくれたヴェルダンディ達にお礼をした。

「礼は無用ですよ。」

「ああ、そうだ。私だって私の生活、使命のためにやってるんだからな。」

ヴェルダンディの言葉にウルドがここぞとばかりに食いついた。

「はは、そうですか。ですが俺たちはこの二日、いや二年で本当に強くなりました。」

そう陸奥が言うと刀が力強く頷き誇るように喋った。

『ええ、本当に強くなったのですよ。』

そう咲耶が言うと狂歌の髪飾りになったポセイドンが声を張り上げて否定した。

『いいや。我が育て上げたこの狂歌のほうが強いな。』

そうポセイドンが言うと陸奥の刀が真っ赤になり蒸気のようなものを出した。

『い・い・や、この陸奥さんの方が強いに決まっています。』

『なにおう。』

いまにも二つの物体が勝手に動き出し喧嘩をせんといった空気になったとき陸奥がそれを制した。

「ちょっとたんま!」

『お二人ともちょっと落ち着いてください。』

そう陸奥と狂歌が言うと二人は何とかおさまった。

「はっはっは。まぁいい。おい陸奥これからどうすんだ?」

恭介はそのカオスな状況に笑いはしたが陸奥に何とか聞けた。

「ん?あ、ああ。そうだな。まずはジェネシスさんに返してもらわないと駄目だな。」

「そうじゃのう。では帰るとするか。」

陸奥が恭介に言うとジェネシスはそう返し杖を地面に叩こうとした。

 が、

「これはしくじってしまったわい。」

そうジェネシスが言うと陸奥たちに物凄い殺気がふりかかった。

「な、これは!」

「ああ、漆黒の騎士団じゃろうな。」

そのジェネシスの言葉に全員息を呑み心を落ち着かせた。

「これは、今までに感じた事の無いような殺気ですね。」

皐月が言うと榛名が返した。

「おそらく、今回は本当に私達を殺す気なんじゃないかしら。」

そう会話をしていると全員が思った。

 来る、と、

『◆◆◆◆◆◆◆』

この世のものとは思えない声がした。

 魔物の声だ。陸奥たちは魔物の群れに囲まれたのだ。

「ちょっとヤバイかもな。それじゃ私達は洞窟のなかに隠れてるから終わったら呼んでくれ。」

そうウルドが言うとウルド、ヴェルダンディ、スクルドが洞窟に隠れていった。

「それじゃあ俺たちも戦うか。」

「うむ、儂は世界樹を守っておるよ。」

「ありがとうございます。」

そう陸奥が礼をすると陸奥たちは魔物の群れの方に走っていった。

「ちょっとこいつらの相手は辛いかもな。名刀桜吹雪」

-横一閃

陸奥が刀を横に凪ぎ払うと陸奥の前にいた魔物の殆どが蹴散らされた。

『では私達も。』

-汝、永遠の時を・・・

フリーズ

-氷よ割れろ!

パリィン 

そう音がなると凍っていた魔物たちがバラバラになった。

「いきます!」

-大地よその聲よ壁になれ

大地の壁(グランドウォール)

そう皐月が唱えると魔物たちの下の大地が一気に天へと昇るかのように膨れ上がり、魔物たちがその力と空気の圧迫で潰れた。

「なら、俺も!伊賀流忍術」

-闇

そう恭介が言うと周りが闇に覆われた。

-煉獄

魔物たちはその炎に焼かれ骨もなくならなかった。

「ミョルニル、その力試させてもらうわよ。」

雷神の槌(ミョルニル)

榛名の手元にトールが授けたミョルニルが現れた。

-地響き

榛名がミョルニルで地面を叩くと地響きがなり魔物たちの下へ電流が流れていった。

「いきます。」

-地割れ

アーリーが大地を蹴ると地割れが起こり魔物たちが落ちていった。

-氣よ大地の氣よ。なおりたまえ

そうアーリーが言うと大地は元の形に戻っていった。そのおかげで魔物は潰された。

「はぁ・・・はぁ・・殺った、か?」

陸奥は殆ど居なくなった魔物たちを見てそう呟いた。

 だが、

「にゃはははは。やはりあの程度じゃ君たちを倒せるほどじゃなかったか。」

いきなり現れたバステノに全員目を見張った。

「お前は!」

陸奥は叫び飛びかかろうとしたが、

「おっと、私もいますよ。」

そう声が聞こえた方を見るとそこにはオーディがいた。

 そしてその手元を見るとウルドが捕まっていた 。

「くそ、しくじちまった。」

「「「「「『な!』」」」」」

六人は声を張り上げ驚いたが、榛名と恭介だけは別の事に驚いた。

 それはスクルドとヴェルダンディを捕らえていた人物・・・それが、

「兄、さん?兄さんなの!」

「おい、兄貴か?兄貴なのか!」

二人はその兄らしき人物を追いかけようとしたが、

「動くなといっただろ。」

そうオーディが今まで聞いたことの低い声で言うとウルドの首を締めた。

「がっ」

「姉さん!」

「あ、あ、ああ。」

ヴェルダンディが叫びスクルドが今にも失神しそうになった。

「おい!伊賀どういう事だ。お前の兄は死んだんじゃ・・・。」

陸奥が恭介と榛名の言った言葉に疑問を向けた。

「あ、ああ。そうだ。だがあれは間違いなく兄貴だ。」

その疑問に何とか平静を取り戻し恭介は答えた。

「え、どういう事ですか?」

「そんなの私達にはわからないわよ。ただ一つわかるのはあれが本当の兄さんだということよ。そして今は私達の敵、ということよ。」

『そんな。』

六人が絶望の縁にたっているときジェネシスが口を開いた。

「お主たちよ。一つ良いことを教えてやろう。」

ジェネシスの言葉にだが榛名は牙を向けた。

「良いこと、ですって?こんな状況でしかも兄さんは強いわ。私の何千倍も、恐らく今の私よりも・・・それでも良いことなのかしら。」

榛名のジェネシスへの暴言に陸奥たちは何も言えなかった。

 こんな状況で良いこと(・・・・)なんてなかったからだ。

「酷い言われようじゃな。だがこんな状況だからこそ、じゃよ。」

だがジェネシスは榛名の言葉を軽く受け流した。

 ジェネシスは杖をつくと続けた。

「奴らは今ここにはいない。」

「!どういう事だ。」

恭介がジェネシスに聞いた。

「言葉通りじゃよ。奴らは今クローンを儂らの前に放っておる。声はその放ってる場所から儂らの下へとやっているのだろう。」

その言葉に一同は顔をあげた。

「そしたら!」

「ああ、今のお主らなら勝てる相手だ。」

「にゃはははバレてしまったにゃ。」

「くっ、死に損ないがいらない入れ知恵を!ですが、まぁ倒せばいいだけの話ですよ。」

そのバステノとオーディの言葉に陸奥は笑って答えた。

「どうかな。」

陸奥はそう言うと駆け出した。

「な、速い!」

「俺もいるぜ。」

恭介は立ち直ったのか全力で走り出した。

「く、」

オーディは陸奥と恭介のコンビネーションになすすべがなかった。

「にゃははは、何をしているにゃ。」

バステノが加勢しに行こうとすると四人が立ちふさがった。

「あなたの相手は私たちです。」

「そうかにゃ。そしたら僕を楽しませてくれにゃ?」

 

「伊賀流忍術」

-闇

一面が闇に覆われた。

 その瞬間陸奥と恭介はスクルドとヴェルダンディを恭介の兄と榛名の兄から取り返した。

「はぁ・・はぁ、ありがとうございます。」

「あ、ありがとうございますぅ。」

二人は礼をしてジェネシスの所にいった。

「はっはっはっは。まだ私の手元にはこいつがいるぞ。」

そうオーディが言うとウルドを無理やり引っ張って陸奥たちに見せた。

「かっ、はっはぁ」

そして恭介と榛名の兄たちがオーディの所に行き陸奥たちの前に立ちふさがった。

-三対二か不利だな。

 陸奥がそう考えていると、その時、

「私も混ぜてもらえるかしら。」

榛名が陸奥たちの横にいた。

「千葉さん!あの、バステノは?」

「あの三人に任せたわ。それに兄さんの目は私が覚まして上げないとだめだと思ったのよ。」

「そうですか。」

「そしたら俺は兄貴を殺る。弥生あいつお前一人で大丈夫か?」

「ああ、なんとかな。お前らこそ大丈夫か?強いんだろ?」

陸奥が心配になり聞くと恭介は満面の笑みで答えたがそれは何かを誤魔化してるようだった。

 陸奥はあまり言及せず自分の敵に集中した。

「貴方一人で私の相手ですか。私もなめられたものですね。」

オーディはすぅと目を細めると邪魔だと言わんばかりにウルドを投げ捨てた。

「かっ」

ウルドは傷を何でもないと言うふうにヴェルダンディたちの方へと歩いていった。

「これでやっと本気がだせます。」

-グングニル

「はぁっ!」

オーディはグングニルを手に持ち陸奥に向かって駆け出した。

「はぁっ、名刀桜吹雪」

-滝上り

陸奥も助走をつけてオーディを迎え撃った。


と、オーディと陸奥の戦いが繰り広げられてる頃、

 榛名と恭介は苦戦していた。

-く、やはり強い、でも負けない!

「兄貴!目を醒ませ!」

恭介は兄との距離を詰めながら言葉を放った。

「・・・・・・・」

だが兄は何も反応はしなかった。

「・・・・・・・」

だが体を不気味に揺らすと、その姿を消した。

「な、何処に行った。」

恭介が辺りを見回したが兄の姿はなかった。

「くっ。」

が、恭介はいきなり膝をつき頭を抑えた。

「これ、は?っが、はっはぁ。」

恭介は突如何者かに蹴られた。

「がっ、はっはぁ、ぐふっげふっ、かっはぁ・・はぁはぁ・・・。」

一回蹴られたかと思えば恭介は何回も蹴られ、まるで何人もの人物に蹴られたかのような感覚に襲われた。

-っ、分身の術!しかも俺のより練度が高い、だが。

「うおぉぉぉ。」

恭介は雄叫びをあげるとたちあがり、その姿を消した。

「!」

その行動に恭介の兄は一瞬目を見開いた。

「伊賀流忍術」

-咆哮

恭介は大きく口を開き龍の雄叫びのような咆哮を繰り出した。

 すると分身は消えのこりは本体だけとなった。その咆哮に思わず恭介の兄は耳を塞いでしまった。

「隙あ!」

恭介はその瞬間を逃さなかった。

一瞬にして恭介の兄の下へと駆け出した恭介は、恭介の兄の動きを止め心臓をクナイでさした。

「はぁはぁ。何とか殺ったか。」

恭介がそう呟くと月読も頷いた。

『そのようですね。それにしても兄を倒すとはあなたも強くなりましたね。』

「いいや。あれでまだ本気じゃないんですから、まだまだですよ。」

月読の言葉に恭介は否定した。

『それで、どうします?加勢にいきますか?』

月読は恭介の問いかけた。

「いいや、止めときます。そこら辺で警戒してますよ。」

恭介は疲れきっていたためそれを断った。

『そうですか。』


一方榛名はまだ隙を見つけれずにいた。

-あっちは終わったようね。

 榛名は恭介の方を見やりふぅ、と息をついた。

「兄さん、貴方に何があったかは知らないけど、早く目を醒ましてちょうだい。」

「・・・・・」

榛名の言葉に榛名の兄は何も反応をしなかった。

「無視、ね。いいわ。私もそろそろ本気をだそうかしら。」

-雷よ我に力を

雷神の情け(サンダーマーシー)

すると榛名の周りで静電気のようなものがパチパチとなり始めた。

「行くわよ!」

-雷よ、その怒りをあの者へ!

雷神の怒りフュゥアリィスサンダー

雷が怒り狂ったように榛名の兄の下へと放たれた。

「・・・・・・」

だが榛名の兄はそれを難なくかわした。

 が、

「掛かったわね。」

そう榛名が不適に笑い言った。

 すると榛名の兄の足下が光り雷が地面から天へよ昇る勢いで榛名の兄を襲った。

 榛名の兄はかすりはしたがなんとかそれをかわしたが、その時には榛名に後ろを突かれていた。

「殺ったわね。」

『ああ、そのようだ。よくやったな。』

「そんな、私はまだまだよ。」

そう榛名が言うとその場に腰をおろした。


バステノとアーリー、狂歌、皐月の戦いはまだ終わってはいなかった。

「にゃははははは。そんなんじゃ僕にかすり傷すら与えることはできないにゃ。」

バステノは挑発をするかのように攻撃をかわしていった。

「いいえ準備は出来ました。」

『はい!』

「では私が足止めを!」

そう言うやいなやアーリーはバステノに飛び掛かった。

「にゃ、これからが本気ということにゃ?」

「そう、なりますね!」

-回し蹴り

アーリーはバステノに向かって回し蹴りをしたがバステノには当たらなかった。

-粉砕

バステノはアーリーの一撃で吹き飛ばされた。

「にゃ!」

がすぐ空中で体勢を取り戻しアーリーに向かって飛び付いた。

-突き落とし

「うぅー、痛いにゃー。」

アーリーの一撃で地面に落とされたバステノだがかすり傷しかついていなかった。

「今です!」

「『はい!』」

-氷よ、大地よ、水よ、天よ、その力を此処に!

森羅万象

二人が繰り出す合体魔法にバステノはなすすべなくやられた!


キィーン

とかん高い音が鳴り響いた。

「はぁはぁ、どうやら決着をつけなければならないようですね。」

オーディはバステノの方を見やりそう呟いた。

「ああ、それがいい。」

陸奥はその言葉に肯定した。

「名刀桜吹雪奥義」

-龍斬り

陸奥は龍をも斬らんという勢いでオーディを切りつけた。

「ふ、」

-アイスドリル

オーディが不適に笑うとグングニルが氷を纏いドリルのように回転した。

「はぁ!」

陸奥は力一杯刀を振り上げ斬る。

 がそこにはなんの感触もなかった。

「な、」

陸奥は驚いて辺りを見回すがオーディの姿は無かった。

 すると、

「ちょっとここは一旦退散させてもらおう。」

そうオーディが重傷を負ったバステノを持ち上げ言った。

「な、待て!」

陸奥は追いかけようとするが疲労で足が動かなかった。

 それから動けるようになると陸奥たちはウルドたちの様子を見に行った。

「大丈夫ですか?」

「あ、ああ。何とかな。」

「この度は誠にありがとうございます。」

ヴェルダンディがそう言うと頭を下げた。

「そんな、頭をあげてください。修行させてもらったんですからそのお返しですよ。」

陸奥が言うと他の五人も頷いた。

 するとジェネシスが口を開いた。

「さてと、では帰るとするか。」

ジェネシスの言葉に全員頷いた。

「それでは、達者でな。」

そうジェネシスが言うと杖を突き七人は学園長室に着いた。

「お主たちよ。今回はどうじゃった?」

「いい経験になりました。」

陸奥が言うと他の五人も頷いた。

「そうか、それなら結構じゃ。まぁ儂としてはなるべく生徒手帳などを改造してもらっては困るのじゃが。」

そうジェネシスが言うと陸奥たちはハハ、と乾いた笑みをこぼした。

「それではそれぞれ帰りなさい。今日はもう遅いからのう。」

「はい、ありがとうございました。」


学園長室を後にした陸奥たちはそれぞれ帰路についた。

 すると陸奥は恭介に呼び止められた。

「おい、弥生。」

「?なんだ」

「明日の放課後用事あるか?」

「いいや、ないけど。」

「そうか。じゃあ、カフェに来てくれないか。大事な話があるんだ。」

恭介はそう言うと陸奥に返事をさせないまま帰っていった。

 それを見ていた狂歌が口を開いた。

『ではいきますか。』

「あ、はい。」

あまり状況が掴めていない陸奥だったが明日わかると思いあまり考えなかった。


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