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俺に戦うためのスキルは無い。残念ではあるが、嘆いてばかりもいられない。一応、生活の糧を得られそうなスキルは持っている。生きていくことは難しくないだろう。何をしていけばいいのかは現地の状況とスキルの使い方次第だろうけど。
鑑定でも使ってみるか。
他人の能力が見れるスキルがあるのだ。使わない手はない。
ということで、先ずは黒髪の美女から。
八木有香 33歳 女
種族 :人間
MP :440/440
筋力 :15
生命力:15
器用さ:21
素早さ:20
知力 :51
精神力:54
持久力:18
スキル:言語自動変換
パラメーター上昇ボーナス
火魔法
土魔法
水魔法
風魔法
雷魔法
闇魔法
無属性魔法
合成魔法
魔力察知
異次元収納
有香さんと言うのですね。
これは完全に魔法使い系だな。それにしても使える魔法の系統が多い。一つでいいから分けて欲しいよ。そうすれば一緒に冒険者をやれたのに。
スキルの詳細は見なくていいか。字面で大体見当はつくし、どうせ俺には使えないからな。
次は女子高生でも見るか。
取り敢えず、緑の髪の子を。
大野麻衣 17歳 女
種族 :人間
MP :120/120
筋力 :34
生命力:28
器用さ:26
素早さ:40
知力 :28
精神力:27
持久力:23
スキル:言語自動変換
パラメーター上昇ボーナス
槍術
体術
身体強化
風魔法
誘引
気配察知
麻衣ちゃんね。
魔法戦士ってとこかな。戦い方は素早さを生かしたものになりそうだ。
次は水色の髪の子。
安岡怜奈 17歳 女
種族 :人間
MP :360/360
筋力 :26
生命力:17
器用さ:24
素早さ:23
知力 :40
精神力:41
持久力:26
スキル:言語自動変換
パラメーター上昇ボーナス
弓術
水魔法
雷魔法
闇魔法
無属性魔法
合成魔法
異次元収納
怜奈ちゃんか。
弓と魔法の後方支援タイプ。麻衣ちゃんとは友達だろうから一緒にパーティーを組むのかな。前衛と後衛でバランスもいいから。
うーん、次はおばさんでも見るかな。これで女性は全て見ることになるし。
山下紗奈江 56歳 女
種族 :人間
MP :220/220
筋力 :30
生命力:52
器用さ:12
素早さ:11
知力 :18
精神力:55
持久力:9
スキル:言語自動変換
パラメーター上昇ボーナス
鎚術
聖魔法
無属性魔法
占術
物品鑑定
山下さんは運動不足だったのかな?持久力が平均以下だよ。生命力と精神力の高さは、おばさんの逞しさの表れと言ったところか?
取り敢えず、僧侶って感じだな。
次は孫を見るか。
山下智弘 10歳 男
種族 :人間
MP :300/300
筋力 :23
生命力:24
器用さ:52
素早さ:60
知力 :21
精神力:25
持久力:33
スキル:言語自動変換
パラメーター上昇ボーナス
短剣術
身体強化
幻術
隠密
罠察知
罠設置
罠解除
忍者?
智弘君か。俺はこの子に瞬殺される自信がある。
十歳の子より確実に弱いってマジ凹む。
次行こう。
酒田拳児 29歳 男
種族 :人間
MP :70/70
筋力 :55
生命力:48
器用さ:22
素早さ:35
知力 :7
精神力:16
持久力:43
スキル:言語自動変換
パラメーター上昇ボーナス
斧術
鎚術
盾術
体術
身体強化
超回復
マッチョは脳筋戦士。
次。
今江岳士 41歳 男
種族 :人間
MP :250/250
筋力 :41
生命力:36
器用さ:33
素早さ:31
知力 :29
精神力:32
持久力:35
スキル:言語自動変換
パラメーター上昇ボーナス
槍術
身体強化
火魔法
無属性魔法
騎乗
調教
気配察知
出来るだけ頭を見ないように確認した今江さんは騎士ってところかな。
年齢の割に頭の状況は酷いけど、能力は高いから頑張って。
残るは一人か。
見ない方が精神衛生上いい気がするのは気のせいだろうか?
まあ、一応見るけど。
進藤和也 16歳 男
種族 :人間
MP :600/600
筋力 :40
生命力:40
器用さ:42
素早さ:45
知力 :41
精神力:40
持久力:42
スキル:言語自動変換
パラメーター上昇ボーナス
剣術
短剣術
盾術
体術
身体強化
火魔法
土魔法
水魔法
風魔法
雷魔法
聖魔法
無属性魔法
気配察知
魔力察知
異次元収納
鑑定
「・・・・・・」
見るんじゃなかった。何このチート。全能力値40オーバーで、スキルは豊富。もう、嫉妬以外の何があると?
ていうか、戦闘スキル無いの俺だけだったし。
「・・・」
「・・・」
嫌なものを見たと思っていると進藤と目が合った。
こいつも『鑑定』持ちなのだ。やっていることは同じだったのだろう。
「えーと、凄い能力だね」
俺はじっとこちらを見詰めたままの進藤にそう声を掛けた。
自分から視線を逸らすのは何か嫌だったし、黙ったままで見詰め合うのも嫌だったからだ。
「田坂さんのMPも凄いです」
「ああ、まあね」
進藤の言葉に舌打ちしそうになるのを堪えながら言葉を返す。
確かに、お前から見れば俺の能力で凄いと思えるのはMPくらいだろう。知力と精神力でも上回ってはいるが、圧倒的ではないからな。
「ねえ、ちょっといい?」
嫉妬全開の俺と、進藤に、麻衣が声を掛けてきた。
「「何?」」
あ、ハモった。
進藤とハモるなど心外以外の何ものでもないが、タイミング的に仕方ないと自分に言い聞かせながら、麻衣に顔を向ける。
「あなたたちってお互いのステータス見えるの?」
「ああ、うん」
「『鑑定』ってスキルで他の人のステータスを見ることが出来るんだ」
「そうなんだ。見える人も居るんだね」
「それって、私たちのステータスも見えるってことだよね」
「うん」
「ずるい。私たちは見えないのに、そっちは私たちのステータス見放題なんだよね。やっぱりずるい。私たちも見たい。見せて」
話に入ってきた怜奈がそう言った。
やっぱり他人のステータス知りたいよな。
「見せてと言われても・・・」
「口で言うのじゃダメかな?」
「それでいいよ」
「うん。どんな能力持っているのか知りたいだけだから」
「それじゃあ・・・」
「あ、ちょっと待って。どうせなら他の人のも知りたいし、みんなで自己紹介するようにしよっか」
「あ、それいい。すみません、みなさんちょっといいですか?」
そう言って麻衣と怜奈は他の人にも声を掛けていく。
結局、拒否する人は居なかったため、全員で自己紹介をすることになった。
お互いが競争する間柄ではなく、パーティーを組む可能性が高いからだろう。みんな正直にステータスを話していく。そして、聞いている者たちは真剣だった。それぞれの長所と短所。誰と組めばいいのか思案しているようだ。
まあ、俺にとっては彼らがこの世界に来る前に何をしていたかを聞く時間でしかなかったのだが。
そしてやってきた進藤の番。語られる能力には驚嘆の視線が向けられていた。
まあ、そうなるよな。あの能力なら。
加えてあのルックスである。女性陣がロックオンしたのは間違いない。
ああ、もう、嫉妬で心が満たされる。
今の俺なら闇魔法くらい使えるんじゃないかと思ったが、生憎とスキルに変化はなかった。
そうそう、俺の時はと言うと、MPの高さに驚かれたものの、スキルを伝えると微妙な顔をされてしまった。
まあ、そうでしょうね。戦えないもの。