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異世界における革命軍の創り方  作者: 吉本ヒロ
3章 12歳、学園編
66/112

偵察行動

卒論で死んでました。。。

一週間で仕上げる予定が、規約とか確認しながらだったから予想以上に手間取ったorz




「さて、と。先ずはここを拠点に一日だ。日が暮れる前には戻って来いよ」

「りょーかい」



 そこは街道から大きく外れた森の中だった。


 三級の冒険者四人が、何の気負いもない言葉をやりとりして散開する。


 それは、状況次第でないわけではないが、冒険者の常識からすれば危険な行動であり、慎むべき行動だ。


 どこの森にも必ず三級相当の魔物が住んでいると言われている。


 それは三級相当の冒険者一パーティーで油断や致命的なミスをしなければ、無傷で倒せるというものだ。つまり、今ここにいる三級の冒険者達は散開をするべきではなく、最低でも二人一組で動くべきだった。


 だが、もし彼らの動きを見た人間がいれば驚いただろう。


 少なくとも走る事に関して、彼らは五級の斥候に比するほどだからだ。


 そして当然、それほどの身のこなしであれば、間違いなく四級相当の実力はあると見て間違いないだろう。


 尤も、当然ながら彼らは人の気配に敏感で、周辺に誰もいないからこそ本来の力を見せているのだが。



 そう、あの地獄の日々を生き抜いた自分達なら、この程度ハイキングに出かけるのと何ら変わりはない。


 事実、彼ら全員が鼻歌交じりに森を駆ける。


 ゴブリン程度ならば相手にもせずその頭上を易々と跳び越え、森の中だからすぐに追跡を振り切り、己の足に匹敵する犬型の魔物ならば足を止めることなく手投げナイフで息の音を止める。


 時折手に持った紙に何かを書き込みつつ、しかし明確な目的地などないが故、大まかな方角は保ったまま、一貫性のない動きをとってふらふらと走り続けた。


 しかし、どこまで行っても景色は変わらず、何の変哲もない森の中。


 これ以上時間をかけても無駄だろう。


 目的の半分は達している。しかし、ついででもあり本命でもある目的は成せなかったがこちらは仕方がないと、彼は元来た道を引き返して行った。








 そんな彼らとはまた別の冒険者達。


 彼らは平原を抜けた渓谷の底にある川に沿って走っていた。


 川と言うのは、おおよそあらゆる生物を引きつける命の源だ。だからこそ、離れては生きていけないが危険も多い。



 そしてそれは、魔物とて例外ではない。



 どの生物も一定期間で川に立ちより、そしてそんな生物を喰らわんと水棲の魔物が息を潜める。


 だから川に沿って、とは言ったが、何があっても対応できるよう川からは常に一定の距離を置いていた。


 視線の先にいたゴブリン相手なら、武器ももったいないとばかりに小石を拾って投擲する。


 鍛え抜いた人間ならば、投石でもゴブリン程度は容易に殺せる。


 そしてたった一石を投じただけで、その小隊のリーダー格のゴブリンの顔に穴が開いた。


 慌てたように四散するゴブリン達には目もくれず、彼らは再び疾走を開始する。



 こういった場所なら高確率で目当ての場所が見つかるだろうと、主であるイザークは言っていた。


 故に警戒を厳にし、見落としがないよう目を光らせながら走る。


 それは人が登るには少々手こずるような崖の中腹さえ例外ではない。



 そのままどれほどの時間が経ったか。



 大きな洞窟を彼らは発見した。


 試しに石を投げ込んだが、音はどこまでも深く潜っていく。


 その場所を地図に書きとめ、密かに安堵の息を吐く。しかし立ち入ることはしない。



 これほどの場所にはたいてい、ここを棲みかと定めた魔物が潜んでいる。それも、そこを守りとおせる程相当に厄介な魔物が。



 偵察するべきだという思いもあるが、今はまだ余計なリスクを冒すべきではないだろう。まずは発見の報告をしておくべきで、偵察するなら食料や人員等のあらゆる準備を整え、万全の状態で臨むべきだ。



「今日は引き返すぞ。後でここの事を知っている人間がいるかどうか、近隣の村をそれとなく聞いて回るからそのつもりでいろ」



 全員が頷いたのを確認し、再び元来た道を引き返す。


 ここはイザークが継ぐ領地ではないので、この洞窟の存在を知られていては困る。



 尤も、知っていた所で手に負えずに放置しているのだから、そう問題ではないのだろうが。しかしこの手の工作に関して言えば完璧主義で、僅かなミスも許されないのだから気が抜けない。



 もし知られていれば、結果として不幸にも山賊に襲われることになる場合も充分にある。


 さすがにこういった手段はあまり使いたくないのが本音だが、命令とあらば実行するだけの覚悟ならある。願わくは、そのような事態にはならないでほしいものだと祈るばかりであった。




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