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異世界における革命軍の創り方  作者: 吉本ヒロ
3章 12歳、学園編
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行軍訓練3

「なっ、まさかゴブリンロード!?」



 男に続いて現れた魔物に対し、誰かが、悲鳴にも似た叫びをあげる。



「ヒッ!?」



 ナーシェはまさかこんな大物を呼び寄せるつもりはなかったのか、安全圏にいながら紛れもない悲鳴を漏らした。


 魔物を何らかの手法でおびき寄せ、魔物自身に標的を殺させると言うのは良くある事だ。



 何せ堂々と事故だと言い張れるのだから。ただ標的に対してタイミングを合わせたり、標的の自衛力を上回るだけの戦力を用意したりと、色々と条件が難しく、確実性に欠けるが昔から好まれている手法の一つではあった。


 魔物の側も相手が大勢なら躊躇することもあるが、今は少数。なら、迷う理由はない。新しい獲物を見付け、醜悪な笑みを浮かべる。


 ナーシェの事だ。どうせリヴィアを侮り、中堅冒険者が相手をするような魔物を呼び寄せれば片がつくなどと、甘い見通しでタカを括っていたのだろう。しかし、ナーシェの目論見は外れた事が、彼自身にとって救いとなる。



 半端な魔物では、リヴィア一人で片付けてしまうだろう。



 だが、相手はゴブリンロードだ。


 ナーシェの護衛についている四級の冒険者達でさえ、安全圏にいながら思わず警戒してしまうほどの魔物。


 そして、イザークの計算も大きく外れた。


 保険として、森の中からイザークの護衛としてついて来た五人の孤児達でさえ手こずるような魔物だった。


 それは単純に、ゴブリンを三メートル近くまで巨大化させたような姿。


 醜悪な鉤鼻、歪んだ黄色い眼、エルフのように尖っている、しかしギザギザの耳。引き攣ったような笑みから覗く、欠けた歯。


 そのどれもが、そこらのゴブリンよりも一層生理的嫌悪感を抱かせる。



 だが、たった一つ。



 その見た目にはゴブリン達とは大きな差があった。


 それはゴブリンをただ巨大化させたような見た目そのもの。他を凌駕する巨体と、それに見合った二つの武器。


 その巨体の半分はあろう刀身は、左右一対となるサーベルに似た武器だ。


 何匹もの生物を、何体の魔物を、何人もの人間を殺してきたのか。血によってこげ茶色に染まった刀身は錆つき、まるでノコギリのように所々刃が欠けている。

しかし、あれを軽々と片手で持っている様は、切れ味など関係ないと思い至らせるに余りある。


 あれはもう、切り裂くのではなく引きちぎり、叩き潰す為の武器でしかない。


 そんな武器を軽々と片手で持つ様は、圧倒的な膂力から繰り出される一撃の脅威。そして、よほど上手く防御しなければ防御事粉砕するだろう事を容易に想像させる。


 そんなゴブリンロードの背後からは、ゴブリンロードを追い抜いて此方へと押し寄せるゴブリンの群れ。今見える範囲だけでも、恐らく百はくだらない。



「逃げるぞ!!」



 これ以上はマズイ。

 ここで包囲されれば孤児達を呼び寄せるより他はなく、しかしそれでも分が悪い事になる。更にはイザーク自身も死ぬわけにはいかないので、全力で戦わなければならない。


 このまま進行方向の谷に逃げ込めば包囲は避けられるが、数に圧倒されてジリ貧だろう。

 即座に叫んだイザークの声に残る三人も反射的に身を翻し、ゴブリンロードが出てきた森とは反対側の森へ突入する。


「逃げるのは賛成だが当てはあるのか!?」


 悲鳴に近い声をあげたのはエイグル。

 担いだ荷物などとうに放り投げ、今はハルバートだけを持っている。


「同じく。このままだと不利になるわ」


 口調こそ平静そのものだが、やはりシリルも焦燥を滲ませる。


 ここは彼らのテリトリーだ。


 無闇に動きまわれば体力を消耗するだけであり、弱った所を攻撃されるのが目に見えている。


「…………」


 リヴィアは無言だが、同じ事を思っているのだろう。

 だが、ある程度は事前に察していたのだ。さすがに当てもなく逃げるような愚かな真似をするつもりはない。



「ああ、安心しろ! ナーシェが動く事くらい目に見えていたから、事前に情報を入手してある。襲うならあそこだろうという目星もつけてあった。まさかあんな化け物が相手だとは思わなかったけどな。この先が崖になっているが、降りられない事はない。余程打ち所が悪くない限り、途中で転んでも死ぬことはないはずだ!」



 それでも死ぬよりはマシだろうと、そう言外に告げる。


 自分ならば問題はないだろう。そして恐らくはシリルも。


 残り二人は身軽さはともかく、持ち前の運動能力は高い。恐らくは何とかなるはずだし、最悪死にさえしなければ背負って行くくらいの覚悟は決めている。


 それに崖と言っても、傾斜は七十度程と聞く。


 この条件なら大半のゴブリンは無傷では降りられないし、ゴブリンロードは孤児達に足止めを任せられる。


 更には先に降りた方は下で迎え撃つ事が出来る分、かなり優位に立てるだろう。

 あとは機を見て再び逃げれば、問題なく振り切れるはずだ。



「そこを抜けてすぐだ。跳べ!」



 目印となる木々の切れ目を抜けてすぐ、その先は崖だった。

 高さはおよそ七メートル。

 駆け下りながら、所々にせり出した土塊や岩を足場として活用すれば無傷で降りられないこともないし、最悪転がり落ちても全身傷だらけ程度で済むだろう。


 運が悪ければ骨折、最悪死亡の可能性もあるが、ここに残って戦う方がよっぽどリスクは高い。何より全力を出すのはマズイし、しかも全力を出して尚勝てる保証はない。


 逃げるだけならただ単に足が速い、崖から落ちて無傷なのは運が良かった。言い訳ならそれで済む。


 だから身のこなしを見られないよう、半歩もないほどほんの僅かに足を遅らせる。


 この策は、ここにいる四人全員が最も利益のある形、そのはずだった。



「みんな……すまない……」



「なっ!」

「え?」

「っ!?」



 リヴィアの呟くような声は、しかしここにいる全員の耳に届いた。

 その時、リヴィア一人だけが跳ぶ直前で急停止する。


 そしてそれはリヴィアを除く全員が同時に一際強く大地を蹴る時で、もはや今更この勢いを止められるものではない。


 シリルとエイグルは急制動をかけるも、当然間に合わずに中途半端な体勢で崖へと落ちて行く。


 しかし、イザークだけが逆だった。


 一瞬の迷いを切り捨て、むしろより強く、前ではなく上へ向けて地面を蹴る。


 結果、崖の手前にある木。そこから崖の方へと、空中に伸びた枝の一本を掴み、逆上がりの要領で回転させて勢いを殺し、枝の上へ着地する。


「なっ!?」


 先程とは逆に、今度はリヴィアが驚く番だった。


 あのタイミングなら間違いなく、自分を除く全員が逃げられるはずだった。現に、シリルとエイグルは予想通り停止しきれなかった。当然、彼らよりも劣るはずのコイツも停止しきれず、崖を落ちて行くより他はないと思っていた。だと言うのに、なぜコイツはとっさにこうも対応出来たのか。と言うより、なぜコイツは残ったのか。


 いや、今はそんな事に構っていられる時間はない。



「今のは…………いや、それよりも何をしている!? ここは私が食い止めるから、お前も早く逃げろ!」



「…………はあ、正直、前からバカだバカだと思ってたけどやっぱり真正のバカだな、お前は。お前こそ何してるんだ、今すぐ逃げるぞ」


「それはお前だ! 誰かがここに残らないといけないのは分かっているだろう。だったらその役目は、全ての原因である私以外にいないだろ! お前はすぐに逃げろ!」


「……だったら俺がここに残った意味がないだろ。それに原因って言うなら、俺だってナーシェから狙われている。逃走ルートを確保していたんだから、逃げる為の算段がある事は分かるだろ。いいから、さっさと降りるぞ」


 リヴィアの手を引き、崖下へ飛ぼうとするもすぐに振り払われる。


「ふんっ、それこそ知ったものか。言っただろう、お前の言う事なんて信用しないと。嫌なら今すぐに降りたらどうだ。ああ、それとも提案したお前が怖気づいているのか?」


 試論している時間も惜しいと言うのに、これは平行線をたどる事になるだろう。


 計画はとことん狂わされるし、もっとこうすべきだと打算的な穿った思考で考えてしまえば色々と言いたいことがあるけど。


 それでも、こんなバカを死なせるのは少々惜しい。


 今だって、下手な演技で必死に嫌われようとしているのが分かってしまうから見捨てられない。



「…………はあ、俺も甘いな」



 それに、こんなバカだからこそ案外貴族にもまともな奴はいると見直したところだし、だからこそ守ろうという気にもなれたのだから。


 最優先すべき目標は革命だし、当然ながら余計なリスクはそれこそ斬って捨てるべきなのだが。


 ああでも、この程度乗り越えられないようでは何も成せない。

 そんなバカげた理論を引っ提げ、己自身に発破をかける。



「ほら、来るぞ。俺にかまってないで構えたらどうだ?」


「っ、とにかくお前はそこにいろ! この件は後で話し合うぞ……」


 ぶつくさと言いながらも、迫るゴブリン達に意識を集中させる。


「お前達は先に逃げてろ。俺は別ルートでリヴィアと逃げる!」


 下から、崖を登ろうとしている二人に向けて声をかける。

 シリルは跳び下りる前と変わらない格好で、無事に降りられた事が分かる。


 エイグルはやはり途中で転がって落ちたのだろう。全身土塗れになり、色々な所に擦過傷を折ってはいるが、他に目立った傷はない。


 しばらくは二人とも逡巡していたようだが、やがて納得したのかシリルがエイグルを説得している。



「ちゃんと二人で帰ってこないと承知しねえからな!!」


「いい、リヴィアだけでも生きて帰りなさい!!」


 ……ほんと、容赦のない言葉に嬉しくて涙が出る。

 涙の代わりに再び溜め息一つを吐き出し、気分を一新させて迫りくるゴブリン達に向き合う。


 その中間にいるリヴィアは盾を前面に押し出し、剣を持ち上げ、肩の上で構える姿はまるでサソリの尾を連想させる。


 先頭にいたゴブリンの頭を貫き、次いで現れたゴブリンには盾で頭を打ち据え、たたらを踏んだ所を横薙ぎに払った剣で首を飛ばす。


 瞬く間に二体を仕留めた後でさえ一切動きを止めることなく、新たな相手を翻弄する。


 リヴィアに斬りかかったゴブリンの攻撃を盾で受け流し、そのまま盾で顎をかちあげ、半ば浮くような状態で棒立ちになったゴブリンを横合いから殴り飛ばし、別方向から棍棒を振るったゴブリンの攻撃に対する盾として使う。


 容赦なく味方の頭を殴って殺してしまったゴブリンは、その事を後悔する間もなくリヴィアの剣に頭を貫かれて絶命した。


 リヴィアは盾さえも武器として扱っているが、これはかなり合理的な戦略だ。


 魔物のいるこの世界は推測の部分が多々あるが、話に聞いていた前世の武器よりも頑丈に出来ている。


 これは恐らく素材の差なのだろうが、しかしやはり、消耗品という概念は変わっていない。弱いゴブリンといえど何体も斬っていてはいずれ刃が鈍る。


 しかし盾は鈍器だ。


 よほど何度も強力な攻撃を受け止めない限り壊れる事はしないし、一戦の内に盾が壊れるような攻撃を受ければ、どの道受けた人間も無事では済まない。


 イザークもまた、リヴィアの後ろから全体を見て隙をカバーするように、そしてリヴィアの視界には極力留まらないよう右へ左へと動き回り、ゴブリン達を迎え撃つ。


 リヴィアの連続する剣閃と盾のコンビネーションは、まるで最初からそのように約束された型に嵌めた演目のように滑らかに、そして舞のように優美な舞踏のようだ。


 容赦なく、しかし華麗な芸術のような動きで、次々と現れるゴブリンたちを倒していった――。





 イザークがゴブリンを屠った数は十を超える。


 リヴィアに至っては、とっくに二十は超え、三十に迫る勢いだろう。

 それも、部隊長クラスのハイゴブリンも一体、僅か数合のやりとりで屠っている。

  それでもリヴィアの息は上がらず、その姿は盤石そのもの。


 しかしなぜだろうか。イザークにはその姿が、到底安定しているとは見えなかった。


 そして、再び近づく地鳴り。

 いや、そんなものなどなくとも、接近には気づいていた。

 ハイゴブリンを倒したことで乱れた統制が、再び半円を描くような分厚い包囲網を形成していたからだ。


 ゴブリンだけでは埒が明かないと察したか、地響きと共に前線へと繰り出すのは統率者であるゴブリンロード。


 モーゼの事例の如く犇めき合っていたゴブリン達が左右へ避け、リヴィアとゴブリンロードとの間に一筋の道を作る。


 言葉はなくとも、待ち受けるかのように上段に構えられた大剣はリヴィアに対する露骨なまでの挑発。



「大将がノコノコと顔を出すとはな。その軽率な判断をあの世で悔いるがいい!!」



 千載一遇のチャンスにリヴィアは気勢を吐き、ゴブリンロード目掛けて疾走を開始する。


 だが、その姿は自信や勝利を確信した姿からは程遠い。まるで、焦りに急かされるかのような、死地へと向かうかのような悲壮感さえ滲ませている姿だ。


 それは、分からない事もない。


 たとえ百体いようと、ゴブリンだけなら四級に値する冒険者達一パーティーで誰一人欠けることなく勝てるだろう。だが、そこにゴブリンロードが加わると、それこそ五級が相手にしないと無理だ。


 ゴブリン相手に多少なりとも体や武器が疲弊した所を、単体で四級クラスの冒険者一パーティーでさえ勝利は五分五分と言われるゴブリンロードを相手にしなければいけない。


 だからこそ、ゴブリン相手に疲弊する前にゴブリンロードを相手に出来るチャンスがあるなら、それに飛び付くのもある意味では仕方がない。


 だが、リヴィアの焦りはそれとは違う。


 好機だから動いたのでもなく、まして挑発されたからでは無論ない。


 そこにはまるで、そうしなければならないとさえ言えるような義務感と責任感を感じさせる。


 しかし、幾ら人よりも知性がないと言われている魔物とはいえ、仮にも指揮官が文字通りの無能であるはずがない。


 むしろ、常在戦場とも言える自然の生存競争を生き残った彼らは、そこらの人よりも狡猾でさえあった。


 ゴブリンロードは、リヴィアがどう考えていたのかはともかく、結果としてそんな稚拙とさえ言える対応こそを狙っていた。


 左右に分かれたゴブリン達により道は制限されている。


 下手なルートをとれば、彼らに狙われるだろう。

 彼らに気を取られ、構えばその隙を逃さずゴブリンロードが動く。


 だから直線を行くより他はなく、そして直線ならば人間にとって防御不可能の一撃の命中率はより高くなる。


 リヴィアの接近に合わせて真上より振り下ろされる一撃。



「っ!?」



 それはリヴィアの想像以上の速さだった。

 防御は不可能と判断して即座に踏み込みを切り返し、真横へと跳ぶことでその剛腕から繰り出された一撃を逃れる。


 しかし、跳んだ先にいるゴブリンの間合いに入らないよう至近距離で避けたのが返って仇となった。


 叩きつけるような一撃で爆ぜる地面が撒き散らす大量の土砂に埋もれ、土の地面からなるとは思えない轟音が容易く傍にいたリヴィアの三半規管を揺さぶる。


 その一撃はまるで爆撃のようだった。



「…………あっ――!」



 崩れそうになった足、ふらつく体。辛うじて立ってはいるが、その体はいつ倒れてもおかしくない。誰がどう見ても限界なのは分かり切っている。

 これはこんな化け物を相手にしたことがないので仕方がないと言えるが、経験不足からくる致命的なミスだ。


「チッ」


 その姿を見た時には舌打ち一つをその場に残し、イザークは駆け出していた。

 視界を覆う大量の土砂など気にも留めず、むしろ好機とばかりにゴブリンロードへナイフを投げ、傍にいたゴブリンにも続けて投げる。



「ギッ!?」


「ゲギャッ!」


 粉塵の中から突如現れた複数の投げナイフによって連続する金属音、そして悲鳴が上がる。ゴブリンロードは予想通り防ぎ、ゴブリンはそれに気付くことさえなく喉元にナイフを突き立てて絶命する。


「ッツア!」


 ナイフを防いだ事で遅れたゴブリンロードの一撃を、走る勢いそのままにリヴィアを抱え込んで跳び、その間合いの外へと脱する。


 直後、背後からは空を切る音。

 それは、回避が間に合った事の証明でもあった。


「…………あ……お前……」


 リヴィアは抵抗するかのように身じろぎするが、今はまだ体がしびれて動けないのだろう。


 それは普段のリヴィアからは想像も出来ない程に弱々しいものだった。


「今は黙ってろ。舌噛むぞ」


 先程、ゴブリンロードだけでなくゴブリンにまでナイフを投げて殺したのは、合図の一つだ。殺されたゴブリンの後ろにいたゴブリン達は、潜んでいた孤児達の投げナイフで数体が死に、そこに細い道が出来る。ゴブリン達は思わぬ攻撃がもたらした動揺から、イザークの突破を防ぎきれない。


 粉塵が目くらましとなり、リヴィアの目を気にする必要を失くさせた。


 四方から襲いかかったナイフの全てを、ゴブリンロードもまた防ぎきれていない。ほとんど全てをその巨大な武器で防いだが、計三本のナイフがその身に突き刺さり、更にはその中の一つ。肩に突き刺さった一つのお陰でその一撃のスピードが落ちたのだ。


 ゴブリンロードにとってはかすり傷同然のダメージではあったが、関節を傷つけられたのは大きかった。


 ゴブリン二体が辛うじて攻撃を仕掛けるも、動揺から太刀筋は鈍く、そのままでさえ掠る程度にしか捉えられていないため、イザークは軽い左右へのステップで簡単に躱す。


 包囲網を抜けるや否や木に付けられた傷、折られた枝、時折残る足跡。


 よほどこの森を知る者か、事前にその事を知っている者だけが気付く目安に、イザークは事前に現地の情報を集めていた案内役を務める孤児の一人の足跡を追い、森の奥へと一目散に逃走する。


 ゴブリン達は周辺に潜む何者かの存在を警戒し、安易にイザークの後を追えない。


 しかし、ナイフを投げた直後には、孤児達もまた音もなく撤退をしていた事にゴブリン達が気付いたのは、それからしばらくしての事だった。



 森には虚仮にされたことに気付いたゴブリン達の怒りの咆哮が木魂していた。





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