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異世界における革命軍の創り方  作者: 吉本ヒロ
2章 10歳、王都へ行く
30/112

夜姫2

2話の予定でしたが、本日3話目です。




 ターニャは来訪者の少年と相対し、話してみてすぐに感じた。


 このちぐはぐな感じは何なのか。


 まだ幼いのに、時として老獪。


 平凡だと思わせて、時に鋭い。


 精神的に弱いのに、何故か強い。


 一人なのに、背後に複数人の影を感じる。


 その姿はまるで背中を支えてくれる戦友がいるかのようで、どれだけ攻めても最後のひと押しで崩れない。


 しかもそれらが、全て演技などではない。


 これほどまでに極端な両面を持ち合わせている人間が、かつていただろうか。


 矛盾、矛盾、矛盾だらけだ。


 それが底知れぬ深みを醸し出す。


 こんな相手は初めてだった。


 目の前の少年は演技には騙されてくれているようだが、頭の中では久しぶりに混乱しそうになっていた。


 そうなのだ。


 演技には騙されてくれているのが、反応で分かる。

 勿論、そこらの相手に見破られるような甘いものではないが、私に混乱をもたらしたような相手が、それも混乱しているせいでいつもよりも少しながら雑な演技を見抜けないとなると、その違和感がどうやっても拭いされない。


 そしてまた始めに戻る。


 あまりにも噛み合わない。


 最初から別々のナニカを強引に噛み合わせようとしているかのような、だからこそズレが出てしまうかのようなそんな印象。

 なまじ経験が豊富なだけに少しながら正体を見抜いてしまい、故に今までにない例外に対処出来ない。

 この少年は何なのか。おおよそなら分かるが、完全に理解出来そうにはなかった。しかし、だからこそ興味を抱いている自分がいる。


 だったら、そんな相手なら試してみてもいいのではないか。

 私ならばコントロールできるだろう。

 わざと隙を見せ、喰らいつかせ、そして此方の想い通りにいかないのであれば、最後には此方が支配する。

 この隙に気付けないようならその程度の相手だったと言うことで縁がなかったと諦めればよい。


 年齢相応のこの必死さがたまらない。


 大切な事を知っているからそれなりに感情をコントロールしようとしているのは分かるが、まったく隠し切れていない。

 そういった辺り、少年なりに頑張っているのが手にとるように分かる。

 この辺りはまだまだ経験不足だろう。

 ああ、あの必死な表情を隠し切れていないこの少年に、そういった事をゆっくりと教え込むのも面白そうだった。


「ふふっ」


 知らず、その時を想像して笑みが零れる。

 それに、最後の一撃。

 あれは本当に痺れた。

 あのかわいらしい子が魅せてくれた最後の意地とも言える言葉。


 あれはたまらない。


 だったら、ゆっくりと味わい尽くし、骨の髄まで溶かしてしまうのもいいかもしれない。

 そうだ、そうしよう。

 しばらくは力を貸そう。

 この子になら、利用されるのも受け入れよう。

 でも、私も従うだけの女では終わらない。


 いつまでもは待たない。


 振り回し、連れ回し、遊びつくす。


 歩みが遅いようなら、後ろから火でも点けよう。


 炎に呑まれて死ぬならそれまでの事。


 今は味方でも、飽きれば敵に回ってみるのも面白そうだ。


 だから、今はとにかく、早く私と対等の場所まで上り詰めなさい。



 私は、その時を楽しみに待っているわ。


 知らずなめた唇が、淫靡な光を放っていた。



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