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異世界における革命軍の創り方  作者: 吉本ヒロ
4章 15歳、王国内乱編
111/112

開戦

話しの都合上、かなり短めです。

連続でそうなってしまいましたが、続きを書くと中途半端になるのでご容赦を。



https://kakuyomu.jp/works/1177354054889244190


とりあえず宣伝をば。

上記URLがカクヨムサイトになりますが、新作になります。

一応一章で完結させてありますので、暇つぶしがてらにでもよろしければ読んで頂ければ嬉しいです。

現代のトレジャーハンター物で、映画を意識した作風です。・・・そのはず。




「さて、皆の者。改めて遠路はるばるよくぞ来てくれた。今日集まってもらったのは他でもない。エシュトル様とヴェルナス様の不和に関して、皆の意見を聞きたいのだ」



雑談が一巡した後、頃合を見計らって本題を切り出す。

近隣の領主を招いての会議を開いた。



「皆の知っての通り、恐らく継承権を巡る戦は避けられないだろう。故に一人ずつ、位の低い者から順にどちらへ付くか意見を表明してもらいたい」



案件は第二王子ヴェルナス暗殺未遂事件についてだ。

その激震が王都を襲ったのは、フィオナが告げた時から一年と少しが経った頃だった。

ヴェルナスが自身に下賜された領地の視察に趣いていた時に、一行が道中で暗殺者の集団に襲われたのだ。



幸い、問題なく返り討ちにし、事なきを得た。

それだけならば日常的に在りうることだが、そのうちの一人が第一王子エシュトル直筆の命令書を持っていた事から、事件は大きくなった。

信憑性を高めたのは、命令書の内容の一部にあった。

視察のルートや護衛の詳細に至るまでの最高機密、この国でも最高権力者か、それに近い者しか知り得ない情報が含まれていたのだ。



そして、その情報はあっという間に広まった。

関係者の口を止めるよりも早く、国内全土に。

ヴェルナスはそのまま自領に篭もり、エシュトルに向けて遺憾の意を表明。

対応次第では戦も辞さないと、強硬姿勢を見せた。

それに対しエシュトルは身に覚えがない、ヴェルナスの妄言であると一蹴し、王位を狙う姦計であるとすら断じた。



折悪く国王は病の床に倒れ、もはや歯止めの利かない状況は悪化の一途を辿る。

王都では衝撃的な内容に噂が噂を呼び収集不可能な状態だ。

そして地方でも緊張が高まっていた。



「そ、その、私はやはり、第一王子であるエシュトル様に従うべきかと……」



視線を受けておずおずと、末席にいた男爵が発言する。

無難であるし、代々がヒューゲル公爵と縁が深い。

つまり、エシュトル派だと思われているためだろう。

案の定、周囲の反応、そして続く他の当主達も同様の答えだった。



「そうか……」



誰もがわざわざこうして意見を聞いた意味を図りかねているための無難な回答と言えなくもないが、それが本音でもあるだろう。

事実、兵力差はかなり大きなものになるはずだ。

だが、それでなんとかなるならこんなに頭を悩ませる事はない。



「一つ、聞きたい。誰でも良い。ロザン公爵をなんとか出来る方法に思い当たる者は?」

「「「…………」」」



誰も、何も答えなかった。

戦場での働きは誰もが知っている。暗殺者を数え切れないくらい返り討ちにした事も。

だからこそ、軽々しく誰も物を言えなかった。

直接言葉にして聞けば、無言という体たらく。そのくせ彼らの胸の内にあるのは、最大の不安要素であるフィオナとロザンは帝国がなんとかしてくれるという他人任せな思いだけは、今もまだあるのだろう。

今まで仕留め切れなかった帝国が今回は仕留めてくれるなどという妄想。或いは疲弊したところを襲えば、挟撃を行えば倒せるだろうと、自分ではなく他の誰かがやってくれる。

そう思っているのだ。



「なるほど。まあ、いい。これだけの数で押すのだ。無理に倒す必要もあるまい」

「そ、そのとおりです。イザーク様!」



この中では次に爵位の高い、側近として取り入ろうとしているエント子爵が声を上げた。



「先にヴェルナス王子の身柄さえ確保出来れば、我々の勝利は確定する」



現実を見せて揺さぶった後、希望を見せることで彼らはそこへ縋り付いた。



「我々は第一王子であるエシュトル様に味方する。いつ戦が始まっても良いように、各々準備だけは怠るな」

「「「はっ!」」」



誰もの目にも楽観だけが浮かんでいる。

僅かに抱かされた不安を打ち消すよう、既に勝った時の事ばかりを思い、浮かれている事だけは良く分かった。










「イザーク、始まったぞ!」



あの会議から更に一月が経過した時、執務室にノックもなく入ってきたエミリオが第一声でそう言い放った。



「ついに動いたか」



フィオナから事前に報告を受けていた通りのタイミングだ。

関係が悪化したまま時が経ち、ついに耐えきれなくなったエシュトルはヴェルナスの討伐令を発布。

ここに国が二分される内乱の火蓋が切って落とされた。





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