表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/61

カスカラ_03

 かくして僕は、今日も牽制に出撃している。

 ――反乱が勃発して、三週間以上。僕が派遣されてきて二週間以上が経ったな……

 漠然な思考をしていた時、周囲がザワめく。僕も釣られて、そっちを向いた。

 ――あ、あれは……

 僕たちの隊が進むちょっと右手に、目を惹く人が立っている。

 確か、グリューンって人だ。ちょっとした知り合い。僕がここに派遣されてきた時、ほんの二日ばかり上官だった。

 職業軍人で、センス良く整ったお顔と奇麗に鍛えた長身。「やあ」と笑った貌は性格良さそうで同性から見ても好感度高め。なにより、少し年上なだけなのに余裕があって〝大人〟な感じ。何ていうか、規格外すぎて僕等一般人はもう嫉妬心も湧かず「ああいう人が上官で、良かったな」と言い合った人だ。

 その矢先に、グリューンさんは〝特別任務〟とかで僕たちの前から去って行ったけど。

 改めて観察すると、グリューンさんは、同類の装い二人と佇んでいる。その二人も、職業軍人なんだろう。戦場姿が板に付いているから。

 でも、三人は僕ら召集兵の指揮を執ってる職業軍人とは違う感じだ。部下を率いてないし。軍装も、ちょっと違うし。何より、武器が違った。

 僕には剣や槍のことは、よく解らないけれど。三人の主武器は、どれも凝った装飾が施されている。武器なんて壊れる物で、つまり消耗品なのに? あんな飾り立ててあるって、どういう事情だろう?

 グリューンさんを含めた三人は、彼方に目を遣っている。僕も、視線の先を追ってみた。この荒れ地は、なだらかな隆起の繰り返しだ。植物はせいぜい灌木まで。だから、場所によってはけっこう先まで見通せる。

 反乱軍と派遣軍が対峙しているのが、小さーく、辛うじて見えた。

 パッと、遠目にも砂煙が上がったのが判る。誰かが威力のある魔法を使ったのだ。

「ママレートちゃん頑張ってるな」

 ――え?!

 すぐ側の呟きに、ビックリして振り返る。グリューンさんの傍らを過ぎるところだ。

 今の、確かにグリューンさんの声だったよな? でも〝ちゃん〟って、すっごく印象とそぐわないけど……それに、ママレートって誰?

 考えている内に、グリューンさんを通り過ぎた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ