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カスカラ_01

 僕はカスカラ。平凡なシュール国民。

 だけれど、今は召集されて軍隊にいる。それは、僕だけじゃない。この国で、僕と同世代前後からちょっと上までの、いわゆる若くて年頃の男たちはほぼ全て、だ。王女様の反乱を収めるために。

 反乱が起こってすぐ、僕たちは取り敢えず掻き集められた。取り敢えず荒れ地の境に集められて、後追いで決められた組織編成に沿って部隊に割り振られ、維持のための物資が慌てて運び込まれ……

 ああ、王女様配下の女の人たちは〝反乱軍〟と呼ばれている。他に言いようがないから。僕たちはそのまま〝派遣軍〟。あくまでも、鎮圧軍や制圧軍ではない。

 そうして僕は、防具こそほとんど着けていないけれど剣を佩き、荒れ地手前の陣地から出撃を繰り返している。

 基本行動は、牽制と撤退。反乱軍に行き会ったらなるべく接近しないで牽制して、攻撃されたらすぐ撤退。どんな時でも反撃は絶対禁止。だから、全軍、弓は自粛。〝逃げるのに邪魔だから〟って理由で、槍さえ自粛。女の人たちを傷付ける訳にいかないし僕たちが傷付く訳にもいかないから、こんな場当たり的な行動しか取れない。解決に、どれだけ時間が掛かるか判らないし。

 まるで戦争ごっこみたい。

 生命、懸かってるけど。

 これまでの出撃で、何度か王女様配下の女の人たちを見ている。大体が間隔を置いて対峙するだけだったんだけれど、内の二度は魔法が飛んできた。あれ、当たったら、確実にヤバい。

 どうしてか、女の人たちは全員が、魔術を行使できるようになっている。

 普通なら、魔術って、とても特殊な才能だ。魔術士になれる人はとても少ない。だから、どの国でも素養がある人は慎重に探し出される。子供のうちにね。それくらい魔術士は希少なんだ。

 なのに全員が魔術を使えるようにするなんて、王女様はどんな強力な魔法を使ったのだろう? やっぱり、悪魔に魂とか、売っちゃったんだろうか? 伝説にある古王国の遺物を使った、なんて噂も流れてるし。僕等みたいな平民には、見当も付かない。

 残念ながら僕等には、偉い魔法師様が真相を突き止めてくださるのを、祈って待つしかない。日々逃げ回って、時間を稼ぎながら、ね。

 焦りは禁物だ。うっかり近付いちゃいけない。

 だけれど、僕はあちらに駆けていきたい。

 駆けていって、片っ端から顔を確認して、手当たり次第に捜したい。

 ゲトーシュ。

 僕の幼馴染。

 今は王女様の反乱軍にいるはずだ。黒い衣装と角の飾りを身に纏って。


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