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プロローグ

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 シュール国でいきなり反乱が起こった――俺としては〝本当に反乱か?〟と思うが。世間は反乱と言っている。言葉を揃えなければ話が通じないので、取り敢えず、俺も〝反乱〟と言うことにする。

 首謀者は、エーメリカ王女――当日から行方不明なのは、確かだ。

 確証を込めて語れるのは、実際に起こった現象だ。

 突如、王都の外れに巨大な光の柱が出現し、衝撃と轟音が続いた。建物が全壊したのは発生地と周辺だけだが、煽りは王都の半分の及んだ。死者数はまだ不明だが、数百人に至るのは確実だろう。

 何よりの現象は、その後だ。

 その夜の内に、王国中から年頃の娘が消えた。揃って、「王女様!」と叫びながら西方の荒れ地へ向かったそうだ。俺は寝ていたから、見ていない。

 次の日から、娘たちは荒れ地の境に現われた。一様に、黒い衣装で角飾りを付けて。しかも、熱波を放ち冷気を迸らせ烈風を巻き起こす、魔術の使い手として。全員が一晩で魔術を行使できるようになるとは、なかなかにミラクルだ。

 で、娘たちは、無差別攻撃を始めた。老人、子供、さらには友人、家族。どんな相手にも、躊躇うことなく魔術を浴びせる。目付きが狂信的だし、〝誰か〟ないし〝何か〟に操られる、とまでは言わないが、影響されているのは確かだろう。

 以降、半月後の今日まで、毎日と襲撃がある。熱心なことだ。本気でシュール王国の制圧とか、企んでいるのだろうか?

 娘たちの拠点は、荒れ地の砦だ。あの土地、あそこしか、籠もれる場所ないからな。接触した商人から証言が取れてるし、これは間違いない。

 確かに、妙な事態だよな。御陰で、国の上から下まで、憶測が飛び放題だ。俺にも、〝悪魔〟だの〝伝説の遺産〟だの、幾つも幾つも、愚にも付かない質問が入る入る。阿呆か。

 俺が一つだけ断言できるのは、〝このような事象、魔法でなければ実現できない〟。

 当然、シュール国は対策を取った。これには、俺も関係する。

 娘たちの襲撃が明確になってから、荒れ地の境に軍隊が派遣されていたのだが。さらに、国中から若い男を召集して規模を大きくした。俺も〝王女の魔法を解明する〟ための責任者に任じられた。反乱勃発から二週間でそこまで漕ぎ着けたんだから、早いものだ。〝共通の敵〟の威力は、凄い。

 しかし、ここからまた、情勢は膠着するだろう。

 鍵が、見付からない。この魔法の理屈は、何だ? どんな情念を元に、構築されている? 何をぶつければ、相殺できる? ……エーメリカ王女に関する情報が、少なすぎる。

 男どもは、出撃しては逃げてを繰り返している。娘たちを傷付ける訳にいかないからな。さて、時間を稼ぐ間に、考察を進めよう。何が、切っ掛けになる……?


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