小学生‐1
小学一年生 5月6日
初めて島岡君と会いました。
その日、私が学校から帰ると、家の中が騒がしかった。新しい生活で神経をすり減らす毎日。もともと人付き合いが苦手だった私は、友達とどう接していいのか分からず、騒ぐ友達を前にして少し気後れ気味だった。そんな学校から帰って、家の中が騒がしいと、誰だって嫌な気分になるだろう。もちろん私も例外ではない。
「ただいま」
「おかえり〜」
少し遅れてお兄ちゃんが返事をしてくれた。お兄ちゃんは私の二個上で、当時小学三年生。まだまだ背は低かった。
狭いマンションの中に、笑い声が響く。私はその声に向かって歩き出した。お兄ちゃんの友達を見てみたかったのだ。それに、自分の部屋に一人で閉じこもってられるほど、私は大人ではない。
私はその笑い声に戸惑いながらも、ゆっくりとリビングのドアを開けた。
「…こんにちは」
私がリビングに入ると、いきなり声をかけられた。お兄ちゃんの友達と分かっていながらも、反射的に声の方に顔を向けてしまった。
「……」
言葉を失った。なにせ、お兄ちゃんよりも小さかったから。
でも、よく見たら可愛い顔をしてるなって思った。
お兄ちゃんはひょろ長く、キリンみたいな人だ。それに対して彼は、当時の私にとっての王子様像にぴったり当てはまったのだ。
そう、それが島岡君との出会い。
「あ、こ、こんにちは」
私が戸惑いながらも返事すると、島岡君はニッコリ笑って返してくれた。私の顔が熱くなったのが分かった。
それから、私もお兄ちゃんに誘われて、一緒にゲームをした。3人でやるゲームは、どこか新鮮で、どこか恥ずかしかった。
この出会いが、私の運命を少しずつ変えることになるとは、思ってもみなかった。
新作です。またまた恋愛ものになってしましたが、あきない様に頑張ります。よろしくお願いします。更新するたびに、私の作品を読んでくださる方がいれば光栄です!