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ある教師の夢

作者: 小雨川蛙
掲載日:2026/06/15

 

 私には夢がある。

 その夢を果たすためには教師になる必要があった。

 ――ので、私は教師となった。


 さて。

 期末試験。

 私の夢に欠かせない一幕。


 生徒達が教えた内容を思い返しながら慎重に問題を作っていく。

 全てを知っている側としては中々に難しい。

 Aの次はB。

 Bの次はC。

 Cの次は……なんて次に来るのが分かるのは私が全てを知っているからだ。

 Dまでしか習っていない生徒にEを予想させるのなんて試験ではない。


 期末試験は引っかけ問題で意地悪く生徒達の点数を落とすのが目的ではない。

 あくまで学んできた事柄が身についているかの確認の場なのだから。

 理不尽は厳禁だ。


 ――だからこそ、これが出来る。



 *



「はい。では。試験を配ります」


 緊張した面持ちの子。

 普段通りの表情の子。

 既に諦めているのかどうでもよさそうな子。

 皆、私の大切な生徒だ。

 だからこそ、最も大切なことを伝える。


「落ち着いて。ゆっくり考えれば出来るはずです。ちゃんと勉強をしていればね」


 答案用紙を配る。

 私の夢のために。


 開始から30分後。

 私語厳禁の試験中でもあるにも関わらず明らかな動揺が生徒達の前に走る。

 不安げにあたりを見回そうとする子供もいる。

 必死に問題用紙に何か書いている子もいる。

 クラスで一番の優等生は全て問題を解き終えているはずなのに何度も何度も問題用紙を見返している。


 私は確信した。

 夢は叶ったのだ――。



 *



 試験後。

 皆の答案用紙を持って教室を出た私の耳に生徒達の動揺する声が聞こえてきた。


「ねえ!? 最後の10問くらいの選択問題どうなった!?」

「それ俺も知りたかった!」

「だよね? 流石におかしいよね!」


「「「全部が①なんて!!!」」」


 さて。

 夢は叶えたし、次は何をしようかな――。

 そんなことを考えながら私は疑心暗鬼に塗れているであろう答案用紙を大切に抱えた。



お読みいただきありがとうございました。

どうでもいいですが、これは私の小学校の頃の夢は教師でした。

これやってみたかったです。


どうでもいいですが、現実でこんなこと出来るんですかね。


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