第16話 会議室
禅の指示通り30分後、会議室に集まった4人。
「よし、全員揃ったな。ミーティングを始めるぞ」
と禅はホワイトボードの前に立った。
他のメンバーはそれぞれ好きな場所の椅子に座る。
「今回の依頼者は藤峰善三郎、任務はBランク。藤峰の爺さんの知り合いの家で怪異が起こるから調査してほしいということだ」
と禅が説明をしながら、印刷した依頼詳細が書かれた書類を配る。
「あのじじい、全部こっち任せなんだから」
「あのお爺ちゃん善意だから厄介なんすよね」
机に頬杖をついて大きなため息をつく雪音に、快もうんざりした表情で同調した。
そんな中、葵は藤峰がどのような人物なのか思い出せずにいた。
「あの、藤峰善三郎って何者ですか?」
思い思いに藤峰の悪口を言っていた快と雪音、それをうまく受け流していた禅の動きが止まった。
「あら、葵ちゃん藤峰のこと知らないの?朱雀ホールディングスの大株主よ?」
意外そうな表情を浮かべた雪音は携帯で調べた藤峰の画像を差し出した。
雪音の答えを聞いた葵はやっと思い出した。朱雀物流で働いていた時に噂を聞いたことがあった。
――たしか、無類のオカルトマニアだったはず……
「もしかして、オカルトマニアなことと関係が?」
葵が恐る恐る尋ねると、禅は意外そうな顔をして頷いた。
「おお、そうだ。よく知ってるな?オカルトマニアだかなんだか知らねえが、友人知人の怪異の相談に乗るだけ乗って、あとはこっちに丸投げってわけだ」
――なんて迷惑な……
肩をすくめて迷惑そうな表情を浮かべる禅に対して同情する葵だった。
「で、任務の詳細はなんなのよ」
「……わかんねぇ。いつも通り爺さんの家で依頼を仰せつかるらしい。めんどくせぇが行くしかねぇ」
と禅は雪音の問いに対しわずかに決まりが悪そうな表情を浮かべた。
「あのお爺ちゃん暇なんすよ。話したいだけっす」
快がみんなの気持ちを代弁するかのように声高にそう主張する。
一方葵は、これから起こるランクBの任務が不安で気が気ではなかった。
――Dランクでも必死だったのに……私大丈夫かな
「とにかく、藤峰の爺さんに対する不満はあるが、任務は任務だ。気ぃ引き締めて行くぞ」
禅はメンバー全員に気合を入れた。
そして、葵に視線を向けると、
「あまり気負うな。雪音と快がいる。何かあれば俺とあいつらがあんたを守る」
と優しく声をかけた。
葵は、ふぅと息を吐くと、禅の目を見て頷いた。
それから、ミーティングを終えた4人は、藤峰邸へと向かった。




