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第12話 準備

「戻りました」

 備品課から戻った葵は、禅に声をかけると、受け取った備品を机に並べた。

 

「使い方は雅からちゃんと聞いたか?」

 と禅が机に並べられた装備のひとつを指で軽く弾いた。

 

「はい、一応は……」

 と葵は曖昧に笑った。

 

 ――全部いっぺんに説明されたせいで頭が追いついてないけど……

 と心の中でつぶやく。

 

「おお、意外と様になってんな!」

 と禅が制服姿の葵を見て豪快に笑った。

 

「……意外とって……失礼な」

 とムッとして禅を睨みつける葵。

 

「あら、私はとっても似合ってると思うわよ。こんな奴の言うことは無視しとけばいいのよ」

 禅の隣から突然聞こえてきた雪音の凛とした声。

 

「こんな奴ってなぁ、一応上司だからな?」

 と禅が吠えるが、雪音は全く気にする様子もない。

 そんな2人の掛け合いを見ていた葵に、ある疑問が湧いてきた。

 

「おふたりは結構長い付き合いなんですか?」

 葵の問いに雪音と禅は一瞬考え込んで、

「そうねぇ……長すぎてもう何年になるか忘れちゃったわ」

 と微笑みながら雪音が答えた。

 

「ここにいるやつらはみんなもう長いこと一緒に働いてる連中だからな……年数なんてもう覚えてねぇな!」

 と禅も雪音と同じ答えだった。

 

 ――2人ともずいぶんベテランってことか……

 小競り合いを続ける2人を見て、憧れに似た気持ちが湧き上がる。

 

「よし雑談はこのくらいにして、そろそろ現場に出るとするか」

 禅はそう言うと、立ち上がり椅子にかけてあったジャケットを羽織った。

 

 葵も雅から受け取った装備品を全て身につけて、準備を整える。

 

「今回はDランクの調査だから、そこまで大きい危険はねぇよ。ただ、気は抜くな。気楽に、気合い入れて行くぞ!」

 緊張気味な葵の背中を禅が軽く叩いた。

 

 葵も大きく息を吐き出して気持ちを整えると、先を歩く禅の後を追った。

 

「いってらっしゃーい」

 と雪音の艶やかな声に後押しされて部屋を後にする。


 2人が乗り込んだエレベーターの扉が閉まり、機械音が廊下に響いた。

 

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