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第11話 備品課

 禅たちが所属する警備課とは別に、朱雀警備には『備品課』という部署がある。

 

 ――制服とか備品の管理をしてる部署らしいけど……

 

 警備課を出た葵は、あたりをキョロキョロ見回しながら、同じフロアにある備品課を探していた。

 しばらく歩き回り、「備品課」というプレートを見つけ扉をそっと開ける。

 

「あのぉ……すみません」

 と中に声をかけるが、棚が邪魔をして奥まで様子を確認することができない。

 

 恐る恐る部屋の中に足を踏み入れ、棚の間を抜けて部屋の奥に歩みを進める。

 やっと視界が開け、机に向かう金髪の人物の後ろ姿を確認することができた。

 

「あの……」

 と声をかけるが、反応はない。よく見るとイヤホンをしているため、何か音楽を聴いているようだ。

 

 ――女の人なのかな?

 金髪で長い髪の見た目から、女性であると感じるが、何か違和感がある。

 仕方がないので、金髪の人物の肩をトントンっと叩く。

 

「ひゃあ」

 と不思議な声をあげて飛び上がり、勢いよく振り返った。

「あぁびっくりした……あら、ごめんなさいね。全然気が付かなかったわ」

 と胸に手をあてて大きく溜め息をつくと、立ち上がり葵の前に立った。

 

 ――うわぁ……おっきい人だ……

 目の前に立った金髪の人物は、身長180cmをゆうに超えていた。背が小さい葵は見上げなければ顔が見えない。

 

「あなた!新人の葵ちゃんね!待ってたわぁ」

 パァンと手を叩くと慌ただしく棚に置いてある箱を持って戻ってきた。

 

 葵があっけにとられていると、金髪の人物はふふっと笑って、

「自己紹介がまだだったわね、私は(みやび)。これでも備品課の課長よ。備品に関することならなんでも私に聞いて?」

 と手を差し出した。


 ――大きな手……

 あっけにとられていた葵は、握手を求められたのだと理解すると慌てて雅の手を握った。

 

「ご挨拶遅れました。本日から警備課でお世話になっている一ノ瀬葵です。よろしくお願いします」

 スラリと伸びた長い足と輝く金色の長い髪に見惚れつつ、遅ればせながら挨拶を済ませる。

 

「よろしくね。はい、これあなたの制服。見たところパンツSサイズでいいと思うわ。シャツとジャケットはMの方がいいかしらね。そっちにカーテンあるからそこで着替えて」

 黒いパンツスーツとワイシャツを受け取り、試着室のような場所で着替えを済ませる。

 

 ――うわ、ぴったりだ

 雅の言った通り、受け取った制服は葵の体にサイズがぴったりだった。

 

「あら!ピッタリね。私の予想通り」

 カーテンを開けると、雅が待ち構えていた。ジャケットの肩の部分を摘んでサイズを確認して満足そうに頷いた。

 

「装備類を渡すからこっち来てくれる?」

 と呼ばれて駆け寄る葵。

 

「これがあなたに渡す装備品ね」

 雅は装備品をひとつひとつ机に並べていく。

 

「まず通常装備が、ペンライト、警棒ね」

 警棒が腰のホルダーに固定され、ペンライトが胸ポケットに収まる。


 ――警棒、意外と重い……

 腰にズンっとした重みを感じ、持ち上げて重みを確かめる。


「いいわね、似合ってるわ」

 と雅がにこやかに笑い先を続ける。

「で、境界警備特有の装備が、捕縛縄(ほばくなわ)、境界規制テープ、簡易境界符の三つ」

 

 ――この三つは、禅さんが使ってたやつだ……

 見覚えのある縄やテープを見て、つい最近の記憶が呼び起こされる。

 

 それから、雅による装備品の基礎的な使い方講座を受けた。

「この子達は、対妖用に私が作った特殊なグッズだから大事に使ってね」

 全ての装備品をまとめて箱に入れて葵に渡す。

 

 「備品課は年中無休だから、何か困ったらいつでもいらっしゃい」

 と言って優しく微笑むと、葵の肩をポンっと叩いた。

 

「ありがとうございます!」

 葵はそう答えると、一礼して部屋を出た。

 

 ――それにしても、対妖用の装備を作れるなんて……雅さんは只者じゃなさそう

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