少女、使い魔に出会う①
文章が拙い所がありますが、生暖かい目で見守ってくださると嬉しいです。星5にしてくださった場合は、主人公が飛んで喜びます。
そんな期待と共に迎えた交流会は、まるでこの世界の娯楽を一心に集めたかのような楽しさだった。その交流会で私は少し仲良くなった子がいた。名前はナナといい、ふっくらしたほっぺたと、はっちゃけた笑顔が特徴的な明るい生徒で、ノリが良かった。そんなナナちゃんも踏まえて話をする事にした。
「そういえば、ミサちゃん。入学式が始まる前の時にミサちゃんを別室に連れて行った監査官いるじゃん。あの人もの凄く怖かったでしょ?」
「えっ!そんな風に見えなかったけど」
「嘘だ~。初対面の人は絶対最初怖がるけど仲良くなるとファンになる子が多いもん。それに比べてミサちゃんってあんまり物怖じしないんだね」
「ナナちゃんはあの人が怖いの?」
「いや、怖くはないけど・・・」
「マキちゃんはあの人についてどう感じた?」更に詳しく聞こうとすると、フミちゃんが、
「あのねぇ、ミサちゃん、あんまりアキ監査官について話題にしない方がいいと思う」
「なんで?」
「あの人のファンが多いし、それにファンの中でも派閥が出来てるから、新しいファンがいるってなると、執拗な口撃が始まるの」
「マキちゃんの言うとおり。あの人は毎回生徒からお菓子や手紙を貰うし、なんならアキさんを独身と勘違いして言い寄って来た生徒や大人もいるぐらいだし。もう、ウチの身にもなって欲しいよ」
「なんでナナちゃんはそんなに嘆いてるの?」
「実はここだけの話、ナナちゃんはアキさんの一人娘なんだ。(小声)」
「成る程ね。で、この机に置いてあるお菓子はその口止め料って訳?」
「いや、ただ単にお菓子の感想を聞きたくて」
「分かった。で?話の続きは?」
「実は、この交流会の後に実力試験が控えてるみたいで」
「その実力試験って何をするの?」
「一言で言えば競争なんだけど、色々と複雑で」
「ん?どういうこと?」
「お前ら、そろそろ指定席に座れ。実力試験の説明を始めるぞ」
そう声を掛けたのは、なんと先程まで話題にしていたアキ監査官だった。
そして、私達は席に着くと、アキ監査官の説明を聞いた。
「準備の時間が迫っているので簡単な説明を行う。後ほど行う実力試験で君たちのランクを測らせて貰う。ランクの説明は実力試験が終わってから説明する。そういうものがあると頭の片隅に置いといてくれ。実力試験の会場は天空競技場だ。内容はまあぶっちゃけると競争みたいなものを行う。制限時間は1時間30分だ。行き方は、自分の翼か羽を出して、遊び場の所から真上に飛べ。遊び場は入学式を行った会場の丁度真上にある。自分の翼や羽が出せない場合は、周りの友達に連れて行って貰え。それでは、会場で会おう」
そういって、アキさんは嵐のように去って行った。この喋り方の何所にファンがいるような要素があるんだ?と一瞬思ったけれど、すぐにその考えは頭の隅に追いやった。
私達は天空競技場からほど近い遊び場にて羽を出す練習をしていた。といっても、羽を出そうとしていたのは私だけで、他の皆はもう既に飛び立っていた。
「ミサちゃん、どうしても翼が出せないのならウチが連れて行こうか?」
「う~ん、でも後もう少しでコツが掴めそうなんだよね。もうちょっと頑張ってみる」
「まぁ、試験開始まで後二十分だし、ゆっくり行こうよ」
「あっ!翼が出たよ」
「ほんとだ。天使の翼みたいで綺麗だね」
「・・・・・・それじゃ行こうか」
そして私達は試験会場に飛び立っていった。この遊び場の丁度真上にあるらしい。とはいっても全然それらしき建物が見えない。昔天空競技場で遊んでいた生徒二人がそこから落ちて怪我を負ったらしいので、競技場が見えないようになっている、とナナちゃんが情報をくれた。
少しして試験会場に着くと、そこはまるで雲の上に浮いているかのような島が浮かんでいた。成る程、天空競技場と名前が付いているのも頷ける。まるで学び舎3.5個分の広さだ。因みに学び舎一個の広さは、生徒や教職員を含めて3000人が入れるほどである。この学園の施設はどれも広いのか?そう思ってしまうほどどれも驚く事ばかりだった。
ふと正面に目をやると天空競技場の真ん中に椅子が置いてあり、そこにアキさんが座っていた。
「静かに。これから学び舎内で出来なかった説明の補足を行う。先程競争のようなものだと言ったが、実際は競争と何一つ変わらない。ただこちら側で少しアレンジを加えて貰った。内容は天空競技場スタートで、向こうの方に見えるここと同じような建物が見えるか?あそこまで競争して貰う。更にスタートからゴールに着くまでに3つのコースがある。因みにどのコースも魔物が出てくるぞ。1つ目が近道になるが魔物が多いコース。2つ目が遠回りだが魔物が少ないコース。3つ目が立ちはだかる魔物の数が丁度いい一直線のコースだ。俺としては1つ目のコースに挑んで欲しいがな。道中色々なトラブルがあるかもしれんが、頑張ってくれ」
「いや、魔物がいるなんて聞いてないし。しかも全部のコースに配置してるじゃん。鬼かよ」
「フミちゃん、しょうがないよ。アキさんはそういう性格なんだ」
「それでは各々飛びやすい位置につけ!よーいスタート! さて、俺はゴールで待っていようかな」
そういうと、アキ監査官は転移魔法で去って行った。
一気に飛び出した私達以外の生徒は突然酷い竜巻に襲われた。偶然にもナナ、フミ、そしてミサは竜巻の来る方向が「何故か」分かっていたので回避することが出来た。そしてその後の雷も避ける事が出来た。なんで避ける事が出来たのか私が考えていると不意にフミちゃんが、「実は私ね、固有魔法:回避が使えるんだ。」固有魔法、なんと素敵な響きだろうか。私も使ってみたいと思ったけれど、やめておいた。いずれ授業で習うかもしれないからだ。
そうこうしていると、目の前にコースを選ぶ掲示板が見えてきた。
「ミサはどのコースを選ぶ?あの人は近道を推してたけど。」 「私は一直線のコースにするよ。」「なんで?」「だって、近道とか遠回りってなんか怪しい気がするし、私は一直線のコースが魅力的だと思ったから。」「分かった。じゃあそれにするね?」「うん。それじゃ先に進もう。」
――――
そんな会話を横目に、私ことナナは、ミサちゃんに 少しだけ関わりがあるあの人の会話を覗いてみることにした。そこでは、アキ監査官と赤いローブを着た監査官が話し込んでいた。(まあ、私はあの赤いローブを着てる人も「よく」知っているんだけどね。)「アキさん、本当にいいんですか?あの二人を一緒にして」
「あれでいいんだ。マキとナナは幼なじみだからな。それに、あの二人の固有魔法は伸ばせば光る。そういえば二人がこの学園に入学してから仲良くなった生徒の名前はなんと言ったかな」
「ミサと言います」
「あの子の家族構成と家庭事情を調べておいてくれ」
「分かりました。でもなんであの子をそんなに気にするんですか?」
「あの子、ミサは何故か放っておけないんだよ。それに、いや止めておこう。君にも期待させておこうかな」
「えっ!気になります!」
「まぁまぁ、それは後のお楽しみで。それよりそろそろ離れてくれないかな。俺達の関係がばれたらどうなるか分かるよな?」
「それは、」
「な~んて、冗談だよ。俺のお姫様」
「もう、意地悪!」
――――
「ナナちゃん、どうしたの?呆けた顔をして」
急にナナちゃんが飛ぶのを止めたから、びっくりして2人との距離が少しというか私が寝そべって二人分入れるぐらいの距離が開いてしまった。
「マキちゃん、何でもないよ。気にしないで」
「ナナちゃん、今の事ミサちゃんに話した方がいいかな?」
「マキちゃんそれは止めておこう」
「でも」
「マキちゃんも見てきたでしょ?ウチの固有魔法を話した途端に離れていった人達、沢山いたよね?さすがにミサちゃんは離れないと思うけど今はまだその時じゃないと思う」
「分かった」
そんな会話をしていると、私達の前方をぐんぐん進んでいたミサちゃんが急に止まった。
―――――
どうやら私は思った以上にスピードを出していたらしい。振り返ると、マキちゃんとナナちゃんの二人が点になって見えていた。
(先に進みすぎたかな。少しだけ待とう。)
そうやってボーッとしていると、突然頭の中に声が聞こえた。
「そこの御仁、もし私の声が聞こえているのであれば、正面に見えている雲の中に入ってきて欲しい。頼みたいことがある。」
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