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少女は物語を紡ぐ

そう、あれは私が国内や他国でも生徒になることが厳しいと言われている王都国立フルドレ学園に入学して間もない頃の出来事だった。どうやら風の噂によると、入学して正門を潜った直後に監査官(現実世界の教師みたいな職業の人達)にこの学園に入学するに相応しい人物かどうか、自分たちが選んだ生徒の技量は正しいのかどうか、入学してから一ヶ月間の内に選定が行われるらしい。そんなに私達と自分自身の目を疑っているのか、私はこの先どんな出来事が待ち受けているのか、少し怖くなってしまった。

私が正門の近くで体を(すく)めていると、

「ねえ、君の名前は何?」

突然そう質問されて、私は戸惑ってしまった。私はこの六年間の人生の中で、それこそ私の目の前にいる女の子に話しかけられた事が無かった。その女の子は目が大きくて、笑顔が兎に角明るくて、髪を後ろに詰め伸ばしていた。しばらく物思いに耽っていると、

「私の名前はマキ。これから宜しくね」

「私はミサ」

勇気を振り絞ったけれど、そう小声で伝える事しか出来なかった。それから私はその子と不思議な縁で再会するのだが、この時の私はそんな事になるなど、思いも寄らず彼女と話を続けていた。

そうこうしている間に、入学式が始まった。式場はどうやら地下で行うらしい。私は地下と聞くとあまり良いイメージを持っていない。私の自宅にある地下は、薄暗くてジメジメしているからだ。だがそんなイメージはすぐに書き換えられた。辿り着いた地下室は綺麗に掃除されており、何百人も入りそうな程広かった。その様子に私は、いや私達は今から何か一大プロジェクトを行うかのようで、もの凄くワクワクした。そして指定された席に着くと、私の左隣にいるマキちゃんが話しかけてきた。

「ミサちゃん、貴方の両親は来てないの?」

「大事な集まりに参加してるから、来れないんだって」

「そっか。一人で寂しくない?なんなら、私の両親を呼ぼうか?」

「大丈夫。一人は慣れっこだから」

「分かった。そういえば、ここでクラス分けも行われるんでしょう?今年の新入生は、例年より少し少ないらしいよ?もしかしたら、予定より1時間早く終わるかもよ」

「早く終わるのに超した事は無いけど、クラス分けってどんな感じで執り行われるの?」「ほら、黄緑色のローブを着た監査官が見える?あの人の正面にある水晶玉に手をかざしたら、自分のクラスが分かる仕組みなんだよ」

「凄いね。何でそんなに詳しいの?」

「まあ、そこは置いといて。先生の方から更に詳しい説明があると思うよ」

「そっか。ありがとう」

そんな他愛もない会話をしていると、突然私は肩を掴まれた。何事かと思って後ろを振り返る。するとそこには、凄く怖い表情をしている黒色のローブを着た監察官が仁王立ちで立っていた。

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