第五話 彼の知り合い(お姫様)
うう、背中が痛い……。
いや、背中だけじゃない。全身が痛い。
私が面を上げると、そこには絵が写った箱があった。
「ん?何ですの?これ」
どうやら私、いや彼は机の上で伏せて寝ていたらしい。
「痛い……」
と私が腰をおさえながら立ち上がると。
ブー!ブー!ブー!
「なななな、何ですの!?」
いきなり、机の上の小さい板が震え出した。そこには何やら『ケンタロウさん』と上部に書かれていて、その下には『応答』と『拒否』という文字が書かれていた。
私はその『応答』というものを無意識にポチッと指で押した。
『アルカリー!大変だ!今、総合ランキング見たら二位に落ちてるー!』
と言った声がその板から鳴った。
「何ですの!何ですの!この板!」
『ん?どうしたアルカリ。悪役令嬢のアニメでも見たのか?』
「これは、この板は何ですの?」
私は狼狽えた。しかし、この声の主はそんな私を嘲笑った。
『なんだよその口癖。明日までには直せよー。高一なのに厨二病発症しちゃってー。って学校の連中に笑われるぞ』
「さっきから何ですの?そのいかにも私を見下したかのような口は!」
すると、声の主は「ん?」と何か異変を感じたような声を発した。
『ちょっと悪い。今からお前ん家行っていいか?』
すると、板はしばらくガサゴソ鳴った後ピロリンと音が鳴って後音が消えた。
*****
しばらくして玄関のベルが鳴った。一回経験しているため難なく私は玄関のドアを開けた。
すると、そこには前とは違った男性が息を荒くしてそこに立っていた。
「いきなり邪魔して悪かったな。一つ質問いいか?」
そう彼は尋ねたが、その応答が来る前に彼はまた話した。
「お前、何者だ?」
「えっと、プリュシレランス王国第二王女。フリッシセス プリュシレランスですわ」
私は正直に自分の情報を話した。
「………………へ?」
帰ってきた返答はそれだった。
「へ?」
と私も思わず返す。
「あ、いやごめん。そんな正直話してくれるとは思ってなくて……」
「こんな異世界に来たら流石に何も隠さないほうが楽だと思いましたので」
普通、私のような身分の大きな人はこんな時素性を隠すのが一般的だ。それは、誘拐などの被害に合わないようにするためである。しかし、ここは異世界。こんなところに来てまで、私を人質にして金を巻き上げる輩はいないと思うし、何かと面倒なので正直に話したのだ。
「ところで、なるほどお姫様か……。本当にそんな話し方するんだな」
「何ですの?そんなジロジロ見て……」
彼は何かと私を凝視してきた。
「うん。やっぱりいつもの雄二だ」
「ユウジとはこの身体の主の名前ですの?」
「うん。まぁそうだけど、とりあえず上げてよ。こんなところで立ち話は疲れる」
彼がそういうので、私はとりあえず彼を部屋に上げた。
*****
「お姫様的にこの部屋見てどう思う?」
「第一印象は豚小屋でしたわね」
「酷いなぁー日本ではこんなのが一般的だよ」
彼を部屋に上げるなり、そのようなつまらない会話が続いた。
「さて、つまらない会話はやめにして、とりあえず僕の自己紹介をするか。僕の名前は嶋田健二。嶋田が苗字で健二が名前ね」
「分かりましたわ」
嶋田健二。苗字が前な名前なんて珍しい。この世界では普通の名前なのだろうか。
「さて、君のこともいろいろ教えてよ」
「何か……怖いですわ……」
私は目をギラギラ輝かしながら迫ってきた健二にそう言った。
調子乗って連続投稿です。