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『…とりあえず、お手並み拝見とするよ。そうしたら、俺らは何を?』
『必要に応じて援護をお願いします』
ジャックと赤銅で話がついたようだ。
移動する音が聞こえる。
ゆかりはその流れのまま犯人のいる銀行の扉の前まで行ってしまったようだった。
『近付くな!誰だ!』
力強い男の声が通信から聴こえる。
『交渉人のアザリアと申します。中へ入れてもらっても?もちろん、何も持っていません。何も要求がないのですか?』
『要求……おい!そこの女来いっ!あの女調べろ!』
「ふーん…だいぶ、ガタイの良い男だね。顔は見えた!これから顔認証かけてくね!はじめちゃんとガンさんの方にも映像まわすね!」
「この映像は…ドローンですか?」
砂東が送られてきた、ゆかりがボディチェックされている映像を見てマノンの方を振り返る。
「yes!情報収集の為にね!何台か飛ばしてるよ!あたしの可愛いドローンちゃん達よ!」
『何が目的です?』
『お前には関係無いだろ。裏に車3台用意させろお前に要求することはこれだけだ。後は外に出ていろ』
『おい!あと5分だ!』
ガタイの良い男以外の声。
『奥に3人…何を?』
『うるさい。外に出ろ!要求は通せあと5分だ』
『私を人質に。他の人は外へ』
『出すわけねぇだろ!要求は?通したんだろうな』
『要求は通したわ、もう外にあるはずよ』
『はっ!?早すぎんだろ!おい1人裏見てこい!』
「ゆかりさん大丈夫なんですか…?」
砂東が心配そうにマノンに尋ねる。
「んー…交渉人自体はあまりやったことないよ!でも潜入捜査での頭の回転の速さはチームいちだね!」
『おい!確かに、2台は来てるぞ!』
男の声。
「え!?なんでこんな早いんです!?」
『何でも何も、そこら辺の警察車両パクってきたっつーの!!あとで何とかしといて!』
この状況にはそぐわないほど明るい声。
「アルバだ。ホワイトって呼んでやれ」
吉田が砂東に教える。
それにしても、状況に全く合わない。
「ナイス!ホワイト!」
マノンが楽しそうに笑う。ナイスなのだろうか…。
『よし。女、信頼はできるみたいだな。だが出ていってもらう。早く行け』
『ホワイト、撃ち込んじゃって』
ゆかりの不穏な一言が聴こえた。
『はぁ?何言って…』
“シュバッ!…シュバッ!”
何かスポンジか何かに穴を空けるような音が響く。
そして、すぐにうめき声。
『……っう!!』
『てめぇ!どうゆうこと…“ドスッ!!”
ガタイの良い男が騒ぎはじめた瞬間に鈍いぶつかる音。
『行けっ!出ろっ!』
ゆかりの声が響くと同時に出口から人質達が走り出してくる。
『ふざけやがって!!』
『ッチ!右腕まで改造してたか!グリーン!情報収集が甘いっ!』
男の怒声と共にゆかりの舌打ち混じりの声。
「sorry!今顔認証で名前とかわれた!でも改造した情報は左腕だけだ!右は違法かも!名前はダグ!ダグ・メイスン!元傭兵!近接気を付けて!」
マノンの手がより一層素早く動き出す。
「…この感じからすると…逃げるか…ドローンちゃん!なるほど…じゃあ、警備ドローンを使って…」
ブツブツとつぶやきながら手を動かし続けるマノン。
『ブルー、イエロー準備。そちらに誘導します。フェイズ2です』
赤銅の声が響く。
『…待機部隊移動です。グリーン位置は頼みます』
「了解、BOSS!はじめちゃん、ここまで移動!」
“…ピコンッ”
《目的地ヲ設定シマシタ。指示ニ従ッテクダサイ》
「えっ!出番です!?」
「急げ、急げ、はじめちゃん!」
「頑張れ、砂東くん」
マノンは楽しそうに、吉田は無気力に砂東を励ます。