vol.1
地球は多くの争いの中、たび重なる兵器の使用で大気は汚れ、森は燃え、虫や動物もいなくなり、どうしようもなくなって初めて、たった1人の少女によって争いが終った。
時は3XXX年。UN5年。(UN=宇宙歴)
少し鈍いベルの音と共に扉が開く。キラキラと輝くイエローブロンドをサイドテールにまとめてメガネをかけた子が入ってきた。
「Hi!元気?」
「まぁまぁだね」
店主の言葉と同時にカウンターに寄りかかり、笑顔でその子は注文をする。
「某有名店風フラぺ1つお願い!もちろん新作ね!」
「あんたねぇ、通り沿いに本物があるんだからそっちで頼みなさいよ」
「やぁだよっ!ティナさんの作る方が美味しいし、こっちのが安いもんね!」
その子は店主のティナに楽しそうに笑いかける。
「全く…本当はメニューに無いんだからね…」
そう言いながらも、カウンターの奥の方へ移動するティナ。
“ピピピピッ…”
その子の胸元から高い電子音がなる。眼鏡の右側にそっと触れる。
「…あぁ……ティナさん!追加でアイスコーヒー2つと、ホットコーヒー1つ!フラぺ以外はテイクアウトにしてもらえると助かる!」
奥の方から、返事が聞こえる。
「忙しいんだねぇ、マノンちゃん」
店内で一服していたおじぃさんが話しかけてきたのに対して、少し困った表情をするマノン。
「…本当だよ、うちに来たから今日は休みなのかと思ってたわ。これ、ホットとアイス分ける?」
そこに注文を用意し終わったティナが紙袋を持ってやって来た。
「んー…休みだったんだけどね…急用なんだってさ!そんな遠くないし一緒でもいいや!ありがとね、ティナさん!おじちゃんも!また今度ね!Bye!」
マノンは片手に紙袋とフラペチーノを持って、颯爽と扉を開けて出ていく。背負っていたリュックサックに突き刺さるように入っていたスケートボードの様な物を引き抜く。
そのままそのボードに立ち、左足で何やらボタンを操作する。するとボード下の塵が巻き上げられて10センチ程浮かぶ。
マノンはそのまま歩道から道路に出る。
“シュィン”
《…感知…軌道制御シマス…》
機械の案内音の後マノンの乗るボードは勝手に動きだし他の車と同様に走り出した。