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黒猫騎士様に懐かれるまで  作者: 鯛焼きさん
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爺や曰く

爺やターン

短めです

坊ちゃんは異世界からの少女と過ごすことで良い方向へと変わられた。


 従者の控室から偶然見えたロイ様がワコ様を抱きしめる姿に、執事長はそう確信した。頬を赤らめて去って行くワコ様の後ろ姿をボーっと眺めているロイ様の顔があまりにも間抜けで、赤子の頃からお世話をしていた執事長でさえ見たことのない顔をしている。そんな抜けた顔のままで貸していた上着を羽織って、突然顔の色を変えた。爆発するように真っ赤になると慌てた様子で上着を脱ぐ。そのまま上着をまじまじと眺めて、少し鼻を近づけた。


「坊ちゃん?」


 挙動不審なロイ様を観察していると、上着を羽織らずに腕にかけて庭から立ち去ってしまった。執事長は必死に頭を巡らせて一連の動作について考え、一つの可能性にたどり着く。


「ワコ様の新しい洗剤に気づかれたのか?」


 先日、買い物に行こうと執事長が準備をしていると遠慮がちに声をかけられた。話を聞いてみると、ロイ様に嫌われないような甘い花の香りの洗剤を使ってみたいそうだ。この国で販売されている洗剤を使ってみたいという、大変可愛らしいお願いを叶えるべく僭越ながら選ばせていただいたアレがロイ様のお眼鏡にかなったようだ。

 あの美しい幼馴染様や国で最も美しいご令嬢様でさえ無視をしたロイ様が、異世界からやってきた年下の可愛らしいお嬢さんに感情を揺さぶられるとは。


「何があるかわからないものですね……メアリー、ワコ様が部屋に戻られているか確認に行きなさ……メアリー?」

「まだ戻って来てませんよ」


 どうやら買い出しから帰って来ていないようだ。ワコ様の専属メイドとして雇ったメアリーは仕事熱心だが、たまに帰ってくるのが極端に遅い日がある。道に迷ったり、老婆の荷物を持っていたと言われると反論はできないが、何かおかしい気がする。


「何かに巻き込まれていないと良いですけど」


執事長が呟いたその一言は誰の耳にも届かなかった。


読んでいただきありがとうございます。

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