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黒猫騎士様に懐かれるまで  作者: 鯛焼きさん
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番外編1 とあるお嬢様の独り言

番外編です

お嬢様ですわ!

 皆様ごきげんよう、私は今、騎士寮の前でとある人を待っているの。もう少しで討伐部隊の人が戻って来るから、きっとあの人を見ることが出来ます。しばらく草叢に隠れていると帰って来ました。鍛え上げられた筋肉の男性が多い中で、私のお目当ての男性は涼しそうな顔で颯爽と戻って来られました。


 彼の名前はロイ様。騎士団の中で最も美しい顔立ちの男性で、私が大好きな人です。引き締まった体なのに中性的で目を離すことが出来ない、そんな魅力で一杯の男性で。そして騎士団は既婚者が多いにもかかわらず彼は結婚をしていない。噂によると、そもそも女性に興味が無いどころか騎士団のメンバーとも話していないとか。私以外の追っかけも多いけれど、私より綺麗な子はいないから問題ないと思っていました。


 しかし、状況は変わっているようで…とある女の人が騎士団に入られたようです。聞き耳を立ててみると異世界から来た聖女様とか。見た感じは別に普通に地味な女の人で、特にお召し物が地味で地味で…貸してあげようかしらと思うほどに粗末なものを着ていらっしゃるわ。だから油断していたの。だって最初はロイ様も一切気にしていないどころか目の前を通ってもスルーするくらいお二人は他人でしたから。バレないように窓から覗いておりましたので、絶対に私は間違えていなかったはず。これからロイ様の好きなものを贈って、お茶に誘って…あわよくば良い関係になることを毎日夢に見ていましたわ。


でも、それがつい最近絶対に無理と気が付きましたの。


 あれほど関心のない顔をして聖女様の前を素通りしていたロイ様が、聖女様から片時も離れないようになっていらっしゃったから。他の騎士様が聖女様と話しているのを見てる時の顔が恐ろしすぎて、とんでもない独占欲ですわ。聖女様も他の騎士団の皆様も慣れているのか視線を無視して盛り上がられている。


 痺れを切らしたロイ様は無理やり聖女様を引っ張ると後ろから腕の中に抱きしめてしまって。先程まで話していた騎士様は笑うと助けを乞う聖女様を放ってどこかに行ってしまいました。モガモガしていた聖女様が諦めたように動かなくなると、ロイ様は満足そうに笑われて…そのまま首筋に顔を埋めて何かをした。私の角度からは見えなくて、でも何故か色気の感じるその動きに唾を飲んでしまう。聖女様も顔を真っ赤にして何かを言っているようです。


 もちろん私は一連の光景を見て呆然としました。ですが同時に思いましたの。ロイ様の可愛らしいところを引き出してくださった聖女様は素晴らしい方だと。これから私はロイ様に恋する女から、ロイ様と聖女様の恋路を見守るファンになると誓いますわ。とにかく、これからも変わらず騎士寮は見守らせていただきます!


読んでいただきありがとうございます。

もしよろしければ評価のほうをよろしくお願いします。

明日の番外編で本当にラストです。

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