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追放されかけた召喚士、ラスボスを召喚して英雄になる  作者: マックロウXK


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1/3

前編・召喚士、追放されかける

家紋 武範様 主催の「知略企画」参加作品です!

「ジン、キミはクビだ!」

「えーっ!?」


 赤髪の少年『召喚士ジン』は冒険者御用達の宿屋で、『勇者ショウ』の部屋に呼び出されて、いきなり戦力外通告を告げられる。


「何だって!? 僕はこの勇者パーティーに、さんざん尽くしてきたというのに!?」


 あまりにも急な話に、ジンは驚きを隠せない。


「なぜも、へったくれもありゃしねえよ!」

「あんたはあたし達の足を引っ張ってばかり! 正直、存在が邪魔なのよ!」

「あなたは実力不足です。勇者パーティーの汚点です!」


 『魔法使いステップ』『女格闘家パピー』『女僧侶ナオレ』からも、ゴミを見るような視線を向けられるジン。


「そんな……、僕はみんなの事を仲間だと思っていたのに……。炊事も、洗濯も、どんな雑用だって頑張って来たっていうのに!」

「世界を征服しようとする『超魔王オメガバーン』を倒すという崇高な目的を果たすため、キミには今すぐパーティーを抜けてもらう」

「嫌だっ!」

「は?」

「なろうテンプレみたいに追放されるのはごめんだ! 僕は絶対、勇者パーティを辞めないからなーっ!」

「おいっ、こらっ! ジン!」


 呼び止める声に耳を貸さず、召喚士ジンは勇者ショウの部屋を飛び出した。


「くそーっ、僕は役立たずなんかじゃないぞ!」


 自分の部屋に籠ったジンは、床に複雑な魔法陣を描く。


「こうなったらスゴい奴を召喚して、僕のスゴさを思い知らせてやる! エロイムエッサイム、出でよ『スゴい奴』ッッ!!」


 ドッカーン!


「フハハハハッ! (われ)の名は『オメガバーン』。(あまた)の魔を統べる『超魔王』とは我の事だ」

「えーっ!?」



 *



 魔法陣から現れたのは、頭の両サイドに黒い角を持ち、王様のような白いローブを纏った、自ら超魔王オメガバーンと名乗る人型の魔族。


「えっ、う、うそっ! オメッ? ちょ、マジでっ!?」

「まさか下賎なる人族に、我が召喚されるとは夢にも思わなんだが……」

「いやーっ! いやっ、何で、そんなっ、まさか!!?」

「しかしながら仮初めの主とはいえ、召喚()ばれたからには応えねばなるまい。主よ、(なんじ)は我に何を望むか?」

「ぎゃあっ! たすっ、オメガッ、助けっ、ア゛ーーーッ!!」

「うるさい!」

「ぶぎゃっ!」


 オメガバーンのチョップが、ジンの脳天をとらえた。


「あわて過ぎだ。落ち着いて我の話を聞け」

「す、すいません……」

「そもそも、貴様は何者だ?」

「あ、勇者パーティーの召喚士をやってる、ジンと言います」

「なにい? では先日、軍団長の『獣王シロコダイン』と『不死身のユンケル』を倒したのは貴様らなのか?」

「あー、2人ともバカみたいに打たれ強かったんで、24時間戦ってましたね」

「それは、ユンケルではなくリゲインだと思うが、まさか勇者の仲間に召喚されるとは思いもよらなかったぞ」

「それはこっちのセリフですよ。まさかラスボスを召喚してしまうなんて……」


 ジンとオメガバーンは、揃って頭を抱える。


「まあ良い、汝は我に何を望む? どんな願いも、我の出来得る限り叶えてやろうぞ」

「じゃあ、『超魔王オメガバーン』をぶっ倒して、世界を平和にしたいです」

「貴様、本人を前にして良くそんな事を言えるな」


 オメガバーンが不死鳥を(かたど)った炎の魔法を放とうとすると、ジンは慌てて部屋の隅っこに逃げ隠れる。


「えーっ、どんな願いでもって言ったじゃないですか!」

「ダメに決まっておるであろうが。ビビリなのか、肝が太いのか分からん奴だな」

「じゃあ、勇者パーティーに目にモノ言わせて、鼻を明かして、開いた口がふさがらないようにしてやりたいです」

「急にどうした? 貴様も勇者パーティーの一員じゃないのか?」

「実は、これには色々とありまして……」


 ジンはオメガバーンに、自分が勇者パーティーをクビになりそうな事を話す。


「そんなにモメるぐらいなら、いっそなろうテンプレみたいに辞めてしまえば良いのではないか? やめるにやめられぬ事情があるのか?」

「いやあ、これが勇者パーティーに在籍しているだけで商店街の買い物が3割引に、あと老後に勇者年金がもらえる予定なので、やめるにやめられないんですよ」


 チャリーン!


「ずいぶんと俗物的な理由だな。しかし、勇者パーティーといえば、強大な敵を仲間の絆とチームワークで撃ち破ってきたのではないのか? なぜ、そこまでこじれる事になった?」

「こないだ、『バハムート』と間違えて『カラムーチョ』を召喚したからですかね?」

「それはまあ、怒るだろうな」

「久々に食ったらすげえ美味かったんで、今度買ってこようと思ってます」

「そういうところじゃないのか?」


 ゴンゴン!


 そこへ、乱暴にドアをノックする音が。


『おい、ジン! カギを開けやがれ!』

「む、誰か来たみたいだな」

「げ、マズい! ステップだ!」

「ぬぬっ、『魔法使いステップ』か?」

『開けねえなら、爆発魔法(イオン)でブチ壊すぞ!』

ラスボスを召喚してる(こんな)ところを見られたら、僕のクビが飛んでしまう! どうにかごまかしてもらえませんか?」

「それが、主の望みならば叶えてやろう」


 ガチャッ!


 ジンが扉を開けると、そこには短髪にバンダナを巻いた、魔法使いらしく軽装の男が立っている。


「や、やあ、ステップ。ごきげんよう」

「ゴキゲンな訳あるか! まだ、お前をクビにする話は終わってねえぞ……って、なんだその美少女はーっ!」

「!?」


 ジンが振り向くと、頭の両サイドに黒髪ツインテールを下げた、メイド服を纏った巨乳美少女がいた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「じゃあ、『超魔王オメガバーン』をぶっ倒して、世界を平和にしたいです」 「貴様、本人を前にして良くそんな事を言えるな」 このやり取り好きです。
[一言] まさかの!まさかの!まさかの! (ネタバレ防止のため以下略しております) これは続きが気になるー!!!
[一言] 相変わらずのマックロウさん節が光る! 続きが気になります!
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