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ゲーム・サイド・ワールド  作者: やぎょう
3/11

第3話 仲間との出会い

 おっじゃましまーす。 

 ギシギシいうドアを開けてオレとノヴァは屋敷の中に入っていった。


 あれ? 屋敷の中はまるで新築?

 外から見た時は中こんなんじゃなかったのに……。

「ね! 入ったら分かったでしよ?」


 すると、どこからか声が聞こえてきた。


〝お帰りノヴァ。と勇者殿、名を何という?〟

「ただいま、エビル。」

「オレはライトだ。で、どこにいんの? どっち向いたらいいのか分かんないんだけど。」

〝ああ、すまないな。では、姿を見せるとしよう。〟


 ちょうどオレ達の目の前に紫色の目、銀髪のボブで黒いパーカーの猫耳の付いたフードをかぶっている女の子が現れた。

 背中には大楯を背負っている。

 あれ? よく見たら、浮いてるっ!?

 超能力、スゲー。


「私は、エビル。よろしく頼むぞ、ライト。」

「ああ、よろしく! ところで、この屋敷の説明をしてくれよ。外から見えた破れたカーテンとか、古そーな家具とか全然ないぞ?」

「当たり前だ。私の幻の力でこの屋敷全体の見た目を変えているのだからな。」

「へぇ、おもしろい能力だなぁ。それ。でも、なんであんな怖い雰囲気に?」

「……。」

 

 急にエビルは言葉を詰めた。

 ん? なんか悪いこと言った?


「それは……エビルの趣味なんだよね。」

 

 あはは、とちょっと困り顔でノヴァが捕捉する。 

 がくっ。趣味かーい。

 

「じゃあ、この屋敷丸ごと見えなくすることも可能だということか。」

「そのとおり。見た目を変えるのと変わらないからな。」

「しかし、あえてオバケ屋敷を選んだと。」

「ま、まぁそういうことだ。」

「ところで……みんなはいないみたいだな。」

「エビル、みんなはどこに行っちゃったの?」

「自己紹介も終わったし、オレもみんなに挨拶したいんだけど。」

「みなは、買い出しとか言っていたな。もうすぐ帰って来るだろう。ところでライト。おまえ、ただものではないな。おまえから人間族と魔法使い族の両方を感じる。」

「ああ、そうだろうな。詳しくはみんなが来てから教えてやるよ。あっ、そうだ! エビルさんや、おまえさんは超能力で人の心よめちゃったりするかね?」

「ああ、よめる。ただライトに関しては、人間族が混じっているからか、よみとりにくいな。」

「ふーっ、よかった。もし、よめたとしても、みんなには言うなよ? 恥ずかしいからなー。」

「分かった。言わないようにする。」


(オレの秘密をバラされたらたまったもんじゃないもんな。)


 ガチャ、ギギギギ


「たっだいまー。ったく立て付けわりぃな、このドア。」

「ただいま〜。あ〜疲れた〜。」


 ドアを開けた音の後、2つの声が重なって聞こえた。

 戻ってきたのは男子2人。

 とすると、コイツらが残りの仲間だな。


「お帰り、ジエロとラフ。」

「遅かったな、やっとみんなそろったぞ。」

 と、ノヴァとエビルが声をかける。


「あれ? ノヴァがいるってことは……、勇者サマじゃ〜ん。おうバカノヴァ、ちゃーんと昼までに戻って来れたなぁ。」

「うるさいなぁ。当たり前ですよーう。あと、バカは余計。」


 ノヴァは面倒くさそうに言った。

 この人がジエロかな?

 青い目もち、左耳にはイヤリングをつけていて、水色のおろしたら肩くらいまでありそうな髪を一本で結っている。

 一見、チャラそうな雰囲気だ。

 腰のところに短剣をぶら下げている。


「ただいま〜ノヴァとエビル。旅に必要なものいっぱい買ってきたよ〜」

「ありがとうな、ラフ。今日もジエロは、しでかしたみたいだな。」

「そうなんだよ〜。店長にケンカ売っちゃってさ〜、大変だった〜。」


 「うんうん」と、うなずいているのがラフか。

 ノヴァに言われた通りみんなよりちょっと小さくて、男の子だけどなんだか可愛い雰囲気。

 自分よりも大きい槍を担いでいて、目の色は緑。

 テンパの金髪で、前髪をうえにあげてピンで止めている。


「勇者サマ、おれはジエロだ。よろしくな。」

「ボクはラフ。一緒に頑張ろうね〜。」

「オレはライト、よろしく! 勇者じゃなくて名前で呼んでくれっ!」

「ライトっていい名前だな。えと、ライトは人間族らしいけど戦いはどーすんだ?」

「心配ご無用! オレはハーフだからな、魔法使い族との。多少の魔力なら使えるんだ。ちなみに雷属性。」

「なるほど。だから、ライトから両方を感じたのか。では、ライトは六年前の聖戦によりゲームの外の世界へ? 記憶があるとは珍しいな。」

「そういうこと。オレの父さんと一緒にな。」

「じゃあ結局、魔法使い族じゃないのはボクだけか〜。ボクだけ妖精族なんて皮肉……。」

「オレも純魔法使い族じゃないけどな。」

「フムフム身長順に並べると、ラフ、ライト、エビル、ノヴァ、俺か。」

「ちょっとぉ〜身長気にしてるんだから、そう言うこと言うなよジエロ〜。」

「身長150センチのオレより低いとはなかなかだぞ?」

「え〜、ライトまで〜? ひどいよう。」

「初日から身長マウントとられてる……。」

 笑いをこらえてぷるぷる震えながらノヴァが言う。



「……こうして、オレ達は全員そろったわけだ。だけど、オレがゲームの中の世界に来る前からおまえ達は集まってた。その理由はなんだ? オレをここに連れてきたのと関係があるのか?」


「それはあたし達にも分からなくて……。」

「おれ達も1週間前、ここにきたんだよ。」

「ボクも知りたいな、教えてエビル?」

「いいだろう。説明させてもらう。」

 と、エビルは真剣に言った。

 みんなも真剣な顔になった。



「みんなは六年前の人間族征伐の聖戦で、全ての人間族がゲームサイド・ワールドから追い出されたのは知っているな?」

 みんなはうなずく。

「私は、聖戦が起きたあの日から、六年前に起きた聖戦がなぜ起きたのか。皆はなぜ人間族をこの世界から追い出したのかをずっと調べてきた。今までの調べにより、聖戦の1週間前、この世界の人間族を除く全ての種族の記憶のプログラムにバグが起きていたことが分かった。」

 バグ?


(さっすがゲーム。記憶のプログラムとか、バグとかアウトサイドでそんな事言ったらただの中二病だわ。)


「で、何の影響があったんだ?」

「そのバグの影響により、人間族が私達、魔法使い族と妖精族に悪事を働いている、というデマ情報がながされた。例えば、当時の人間族の先代国王が、魔物と契約をして王国に攻め込もうとしている、とかだな。」


 そんなのは絶対に、ありえない。

 オレの知ってる国王は、そんなことするような人じゃない。

 そんなこと言ったヤツ、ボッコボコにしてやるっ!

 右目の辺りが熱くなってくる。


(だめだ、こんなんで怒ってたら。みんなびっくりするよな。今は抑えておこう……。)

 

 オレは慌てて感情を抑えて話を聞いた。


「ひどいものだよな。だが、悪事を働いているところを見た、という者まで出てきてしまったのだから仕方がない。人間族はゲームの中の世界を出て行くしかなかった、というわけだ。」

 そうだった、そうだった。

「でもよー、なんでこの四人はバグってないんだ?」

「あ、確かに……。どうして?」

「ボクは人間族のこと一度も嫌だと思ったこと無いよ〜。」

「全く身に覚えがねーんだけども。」

 3人ともキョトンとしてエビルの方を向いた。

「そうなんだ。私達にはバグの力が及ばなかった。それは何故か。理由は簡単、その時ちょうど私達4人は洞窟で、魔物退治のクエストを受けていたからだ。洞窟の奥深くまではその力も届かなかったのだろうな。」

「なるほど、じゃあそのバグを起こした原因を探して壊せばいいってことか。でもなんでオレが? オレが連れてこられたのは、間違いだったって。」

「そのバグまで行く途中の封印を解くには、人間族の力が必要なんだ。しかも普通より何倍も、力のある者でなくてはならない。その条件に当てはまる者をずっと探していた。そこで見つかったのがライトなんだ。全然間違いなんかでは無いぞ?」

「ん? 元からオレを連れてくる予定だったってこと? じゃ、ソウが神様にお願いしてたのは関係無かったの?」

「確かにそのお願いを理由に、ライトを連れて来い、とノヴァには言った。難しい事を説明しても、どうせ伝わらないと思ってな。」

「えぇ!? あたしやっぱり間違えて無かったんだぁ。ちゃんとライトって子を連れて来るって、言われたもんね。」

「封印を解くってたってどうするんだか……。」

「大丈夫だ。封印の解き方は、私の方で調べておく。」

「それは安心できるな。でも、倒すのきらいなんだけど。」

「でもさっき、魔物にと戦った時はすごーく強かったよぉ?」 

 とノヴァが言う。

「あ? ノヴァおまえライトに助けられたのか?」

 ジエロが嬉しそうにノヴァをいじる。

「えへへ、ちょっとヘマした。」


 ノヴァが笑って答える。

 口調は笑っている様だが、怒りに満ち溢れてるぞ……顔が。 

 だって人を守るのはとーぜんだ。

 あの時は、急に力が出てきたんだよ。

 たまにあるんだよなー、こういう事。


「私が話せることはこれくらいだ。これからこの事態を解決するには、まだまだ我々が強くあることが必要だ。そのためにはもっとレベルを上げなければな。そこで、レベル、能力が分かるアクテという記録書を用意した。みんな受け取ってくれ。」


 と言ったエビルはオレ達に一人一冊、手のひらサイズの小さな手帳を手渡した。

 ページをめくると何も書かれていない。

 これがアクテ……?

 なーんにも書いてないぞ。


「最初は呪文を唱える必要があるからな。〝アピア〟と唱えてみてくれ。」


〝アピア〟


 それぞれが自分のアクテに向かって呪文を唱えた。

 すると、一番最初のページが淡く光り、文字が浮き上がってきた。

 書いてあるのは……名前から経歴などの個人情報、レベル、魔力、武力、スキル、あとは使える魔術などなど細かく書かれている。

 ちなみにオレのはこんな感じだ。

 だいぶ端折ってるけど。

【名前】 森本 光 (ルシフェル・レビン)

【種族】 人間族&魔法使い族

【役割】 勇者

【レベル】35

【魔力】 120

【武力】 157

【称号】 稲妻のレビン

【スキル】なし


 スキル……なし?

 スキルないヤツなんていんの!?

「スキルは訓練しないと得られないからねぇ。えーとあたしは……レベル27、魔力130、武力40、スキル魔法耐性」

 とノヴァ。次にラフが、

「ボクは、レベル26、魔力84、武力55、スキル毒耐性だよ〜。」

 今度はエビルが、

「私は、レベル32、魔力77、武力103、スキル変身術、気配感知、だな。」

 変身術? なにそれカッコいい。

「私は何にでも変身可能なんだ、ほら。」

 と言うと、目の前に1匹の黒猫が……。

「こんな感じのスキルだな。結構役に立つ。」

 元に戻ったエビルが言う。

 ス、スゲー。

「おれは、レベル29、魔力87、武力95、武器破壊だぜ。」

 と、最後にジエロ。

 ん? なんかオレ、1番レベル高いんだけど……?

 壊れてるんじゃない? これ。

「記録書は、壊れてないぞ。それが本当のおまえの強さということだ。」

 え、ホントなんだ……。

「でも、すごい人ってレベル100以上ばっかりだから、もっと訓練が必要だよねぇ。」

 ノヴァがちょっと困って言った。


 レベル100以上って、めっちゃ強いじゃん。

 もっともーっと頑張んないといけないのか。

 この先、どんな敵がいるのかな。

 何はともあれ、オレも強くならねーと。

テスト勉強がしんどい……

今知ったんですけど、思ったより読んでくれた方がいて嬉しかったです! また読んでくれるといいな……


誤字脱字がありましたら報告していただけると有り難いです。


来週は土曜日に投稿しようと思ってます!

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