森の○○
なろうラジオ大賞2 応募作品です。
勢いで書いてみました。
楽しんで頂ければ、幸いです。
サンサンと輝く太陽、白い砂、男は陽気に成らざるをえなかった。連れの事などお構い無し。歌は世に連れ余は歌に連れるらしい。
「あるぅ〜ひぃ〜 もりのん なっかぁ〜」
キレの悪い所で口を開けたまま、両目をどこかに散らばして、顔を空へ向ける。
「俺達は、何に会うんだろうね?」
突拍子の無いことを言い出すのは、今に始まった事ではない。連れに素っ気無い態度をとられる事もお構い無し。
「白い貝殻の小さなイヤリングを落とすと、クマが拾って持って来る。海のモノを落として、森の動物がやって来た。あ〜れぇ。」
空に顔を向けていた陽気な男は、足元に広がる白い砂地と睨めっこを始める。
暫くすると、顔を上へ向けたり下へ向けたり。時折「あ〜れぇ?」と繰り返す。勿論、連れの事はお構い無し。
お連れさんも、陽気な男に何か言うなり、何かしらの態度を示せば良いのですが、そうはいかない。
喋«ら»ないのではなく、喋«れ»ないのです。
動«か»ないのではなく、動«け»ないのです。
ソレを連れて、男は彷徨い歩くのです。
かつて【森】であったその白い砂地を。
何故、陽気に成らざるをえなかったのでしょうね。
ソレと男はいつから連れ立っていたのでしょう。
何か言うなり、態度に示すなり、すれば良かった?いつから?
空からの落とし物、地面から届くでしょうか。