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ドラゴンの力


―――――――――――――――――――――――


 ≪種族≫ セイヴァー・ドラゴン Lv.1

 ≪名前≫ ミヒト・ムー・デュー


 ≪筋力≫ 1107 ≪体力≫  819

 ≪敏捷≫ 1143 ≪知性≫  438

 ≪精神≫  435 ≪魔力≫ 6381

 ≪生命≫ 5034 ≪ MP ≫ 6816/6816


 ≪特性≫

・願い ・救世主 ・神の使い ・観測者 ・浄化 ・竜 ・飛行 


 ≪魔法≫

・《ステータス》



―――――――――――――――――――――――



 なんだこれは。自分の体を数値化するとこのようなバカげた数字になるのか・・・。というか名前はミヒトと神様達の名前なんだな、長ったらしい名前にならなくて良かった・・・。

 というかLv.1なのにこのステータスはおかしいでしょう・・・。種族ごとに値の幅が違うのか?何を持ってLv.なんだ?う~む、わからん。


 それにしても≪特性≫を見る限りあの二人の神様は、この生まれたてのドラゴンに救世主になってもらいたかったみたいだ。

 だってドラゴンにセイヴァーってついてるもん。というより観測してくれって頼まれたハズだったが観測者の前に救世主ついてるよ。

 ・・・・・完全に騙されたな。でも、『願い』か。この世界にとって救世主であって欲しいと言う事だろう。

 それに、生まれたてはあの双子の神様にも言えるのではないか?この世界の空を数時間飛んだだけだが、前世で見た動物ばかりで生態系はそのままといっても過言ではなかった。

 恐らくだが、地球を模倣して作り上げているのだろう。最初の話を聞く限り早急に世界を作り上げたみたいだし。自分たちを、もしくはこの世界を助けてほしかったんだろうな。


 とにかく、やれるだけやってみよう。自分の前世の知識と記憶を頼りにとりあえず基礎となる文化体系を作ろう。



 ミヒトは前世の自分の人生という引き出しを片っ端から引き出した。それこそ豪邸の家にある収納というスペースをすべて開けるような勢いで。あらゆる記憶が鮮明に、一秒を一時間に感じられるほど濃厚な人一人の“人生すべて”である。

 社会人として労働に勤しむ毎日。ささやかな趣味の時間の日々達。17年間という懐かしき学校生活と父の怒号と友人たち。そしてもうその目に映すことができない、愛する母親の微笑み。幼い頃は理解できなかった両親の喧嘩も、今では父の言い分に理解を示せる。温かな母に抱っこされた自分と初めて見る穏やかな父親。



 父さん・・・・あんなにやさしい顔出来るんだな。自分が辿ってきた人生すべてを思い出せるなんてな、走馬灯もびっくりするぐらい全て思い出せるし、この記憶力なら知識に困らないだろう。ん?



「それでぇ♪ドラゴンのステータス?はどうなのさ♪なんかボクからじゃ確認できないんだよね~」



 ミヒトは妖精の質問でハッとした。人の人生を丸々思い返したというのに、現実は一瞬しかたっていなかった。ミヒトはドラゴンの記憶力と思考の回転速度に困惑すると同時に、この妖精の名前がメントであると思い出した。



「《ステータス》だけど、僕はモナよりも腕っぷしが123倍強いし、メントよりも約52倍魔力があるね。それと、どうやら僕はセイヴァードラゴンと言う種族だそうだ。何か心当たりはあるかな?」


「123ばい?52ばい?ってボクよりどれくらい強いかよくわからないけど♪ドラゴンなら天使たちが乗っているのがそうじゃないかな?」


「メント?天使様が乗っているあれはワイバーンって言うんじゃありませんか?それよりも水を管理しているドラゴンがいたはずですが・・・」



 ドラゴンについては、どうやらモナが知っていたようであった。神官であるモナは天使たちから大陸の話を聞いていたようで、川の様に流れるように話が進んだ。天使たちの乗るワイバーンについてだったり、ワイバーンとドラゴンの違いや話に聞くドラゴンの生態や生息している周りの環境。

 しかし、その水を管理するドラゴンまでの距離について聞くと、話は急にせき止められてしまったのだ。天使たち曰く馬で八日は必要だの、具体的な距離が出ない。それだけでなく時間さえも曖昧なのである。

 この世界は数字というものはあっても、時間や距離などは詳しく定められていなかったのである。それどころか数学、というより算数のレベルも無く、学術と呼べるものは唯一“神の教え”というものが有るのみであった。



 なるほどね、メントが僕との強さがどれ位あるか理解できなかったわけだ。さて、どうしたものだろうか「おっ♪また新しい魔法作るの?」・・・んん``。



 白銀のドラゴンは思考の海に沈む。自身が知りうる限りの文明の発展を何枚もすり合わせ、この世界に適応させる。学が乏しい庶民なりにも塾考する。この体になってからは居眠りした授業の時間や流し見した教科書すら何枚もの写真にしてじっくりと見ることができる。記憶の一片とにらめっこしながら考えうる最適を導く。

 そうして自身の知ることを必要最低限にまとめて教科書として出して教養を深めることにした。神が言うように、本当に魔法が万能であれば教科書として生成できるのではと思ったからだ。いや、真に万能であるならば一つ試すことがあるだろう。そう思い立ったミヒトは妖精を見つめ魔法を唱える。



「そうだな・・・知恵や記憶を預けるから教育というより継承か?英語だとインヘリター・・・まあいいか、分かりやすくここは《継承(インヘリタンス)》!」



 そう唱えるとミヒトの頭から一筋の綿のような橋がメントの頭に架かる。それからメントの頭部にベールへと形を変える。

 最初に妖精は、ドラゴンから延びる白いモヤに少し怯えを見せるが、形と比例して理解に変わっていく。メントは驚嘆の声を発して新しい知識を喜び、偉ぶってモナに教鞭をたれたり、高らかな声で覚えたての言葉を言いながらモナと無理やり踊る。

 かと思えば興覚めし、ミヒトに振り向き真っ青な顔で見つめてくる。



「123倍って言ってたよね・・・。モナの123倍ってことわ1107も筋力があるんだよね?それでいてボクの53倍の魔力って桁違いじゃないか・・・・・。桁違いじゃないかァ!!!!!」



 次第にパニック状態になり慌ただしく八の字にビュンビュン飛び回り、ついには地面にポトリと墜落した。

 びっくりして、メントにされるがままだったモナが心配し、恐る恐るメントを拾い上げる。



「メント!?どうしちゃったの?え、何この熱、風邪でも引いたみたいに熱いわ・・・・・・。いったいなにが?」


「いや、メントに僕の持つ知識を分け与えてみたんだけどね・・・どうやらパンクして知恵熱でも出してしまったみたいだね。あはは・・・・・・・」


「ぱんく?とにかくミヒト様が知恵をお授けになったということですか?」


「そうだね、モナさんにも教えたいけどメントみたいになっちゃうと大変だから本にして渡すよ・・・・」


「本当ですか?新たな教典が増えて感激です!!」


(教典って・・・)「そうだ!今までの教典を見せてもらってもいいかな?」



 ミヒトの頼みにモナは快諾した。その後、モナに教典を開いて見せてもらったが、やはりというか言語が違うのだ。

 この世界の住人として、ミヒトは言語を理解するために、モナに教典を読み聞かせてもらいながら大陸の言語。カミシュ語を習得するべくモナの読み聞かせを聞いているのであった。

 内容は実に簡単でシンプルなものだ。神は別世界から溢れすぎた生命に形を与えるべくこの世界を作り、この世界の生命の感情や文化、知識によって力をつける。知識と世界と種族を重んじ、全ての他者を愛せよ。神の愛に感謝し、また神を愛せよ。というもの教典らしく堅苦しい表現かつ回りくどく説明している。

 基本的には平和的で博愛主義。ラブ&ピースであり、それでいて縛りはしないが食物連鎖に準じろというのだ。禁忌は知恵ある7種族達が7種族達を殺めること。神に反旗を翻すこと。の二つだけでかなり少ない。



 回りくどい内容で少し複雑だが、言語に関してなら明日にでも教科書は作れそうだ。あとは挿絵が無くてわかりずらいから作る教科書には多く挿絵をつけることにしよう。

 理解しやすい分発展も早くなる。言い方は悪いが、馬鹿でも解るようにまとめたり単純化することで次に進みやすい。それに理解は意欲に繋がる。そういった好意的、ポジティブな精神の方が次に進めやすいし踏み出しやすいからね。


 次に魔法の発展を行う。伐採や運搬、精錬や建築などを魔法で行えば何世紀とかからず何十年かで発展するはずだ。

 もちろん、そういったことに魔法が万能であることが前提だが。これも教科書かな?挿絵をつけたり、連想できる単語?詠唱?をつけて普及させるのが一番かな?



 こうして白銀のドラゴンは今後について考えながら、神官が説明する教典の内容を入れるのであった。

 モナが教典の読み聞かせを終えた頃には日は暮れ、夕方になっていた。太陽は沈みかけ、村の人たちが取れたての野菜や魚を交換しモナと会話する。今日の出来事を一通り話し終えると、村人はミヒトに手を振り家に帰っていく。

 一人、また一人と帰路に着くそんな中、慌ただしい様子で神官とドラゴンに駆け寄ってくるドワーフが一人。


 

「あわわ、ニットさん?どうしたんですか、そんなに慌てちゃって・・・」


「どうもニウリも無いわい!今すぐ来てくれ白銀の!でか鱗が化けおったんじゃ!!!」

なんかブックマーク登録されていたので少しだけ頑張りますね

頻度高くないですけど、気が付いたらいい感じの暇つぶしになったらいいですね


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