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集う種族

前の話のあらすじを書こうとしたのですけど、設定練り込んでて疲れました。

でもかなり詰まって来たのでまたあらすじ再開しようとは思います。

何もないよりはいいですもんね


 ミヒトが東の大森林から移住する船を作り終えてから、四日が経った。


 その日の朝は大森林から三百程度の少数のドラゴン達と、その背に乗れるだけの人間とドワーフたちが出てきた。

 四足で歩む岩のようなドラゴン達の背に、荷物を縄で縛り付け、更にその荷の隙間に人とドワーフたちが器用に詰まるようにして乗っていた。

 なんにしても、これでまずドラゴンたちと人、ドワーフがミヒト達に合流した。


 彼らの話では移動中、大火災によってスギタラの湖の周囲から逃げて行った動物たちを見つけたようで。

 急遽、そこに居を構え移住を断念する者とミヒト達に合流して移住する者の二手に分かれたそうだ。

 もともと移住の原因は主食となる肉類の不足だったのだから、新たな狩場を見つければ、手短に解決するならそれでよいだろうとミヒトは思った。

 人間の青年と若いドラゴンの(かしら)が言うには、モウル達、ドラゴンの背に乗れなかった者たちは依然こちらに合流する為に移動していると言う。

 未だ合流できていないモウル達と、すでに合流した彼らの移動時間の差にイェレアスは疑問を口にした。


「どうしてモウル達より、彼らが先に着いたの?ミヒトは空を飛べるとしても、それ以外のドラゴンたちは歩くしかないじゃない。ドラゴンよりも足の速い獣人たちが遅れる理由がわからないわ」


「確かにそうね。イェレーの言う通りドラゴンの皆さんより、モウルさん達の方が足が速いから直に着くと思っていたけれど。もう四日も立っているわ」


 モナとイェレアス、姉妹の疑問にミヒトが答える。


「簡単だよ。モウルさんたちは休憩が必要だけど、ドラゴンは寝ることも休む必要も無いんだ。だから休まずここまで真っすぐ来れた。それに、モウルさんたちなら新しく住処を作る手伝いをするハズ、それも伝えるためと、モウルさんたちの移動についてこれない人たちが分かれて先に来たんでしょ?」


「まさにその通りだ。我らと共にここまで来た者たちは、走る力が乏しい者、足が短い者、いずれも獣人の足、オーガやエルフの体力については行けぬ者たちだ。その落ち着いた思考、あの森の大火災を消し止めただけはある。」


「そうだとは思っていたよ。今まで魔法を使って食べ物を作っていたんだ、折角だから船に乗って休憩してよ」



 そう、ミヒトは彼らが来るまでの四日間、その巨大な手を余していたわけでは無い。

 モウルが到着の目安として二日と言ったが、ミヒトは移住者たちが抱える荷物、集団での移動、何より大森林の悪路などからその倍を見積もった。

 移住者たちが来るまで、魔法を用いて食料をせっせと作っていたのだ。

 ほかにも魔法が尽きて食糧を生み出せない間などは、モナ、イェレアスの姉妹と共に魔法について、今理解してる段階までの理屈を説明する座学の真似事や話し考察を述べたり。

 あるいはイェレアスの特訓に助言を挟んだり、また寝る事を知らないドラゴンの体ゆえに、夜はこの世界と魔法の解読に頭を回していた。

 そうした準備のおかげで、目の前の彼らに食べ物を振る舞うことが出来るのだ。



「感謝する。それにしても、とても、大きな船だ。ミヒト殿も十分に大きな体だが、その倍、いやそのまた倍はあるかもしれん、湖に浮かぶ舟とは比べようもない。ミヒト殿、この船は一体、何と言ったら?」


「この船の名前は箱舟(アーク)。みんなを無事にアムレトの村まで連れていく船だよ。僕がなんとか乗り込めるように中はかなり大きく作ってあるから窮屈さは感じないと思うよ」


「何から何まで、本当に感謝する―――。」



 ドラゴンたちは瞳を閉じてミヒトに感謝を伝えた。また、彼らの背に乗っている者たちは口々にありがとう。あるいは助かる。と、様々な言葉でミヒトにお礼を言った。

 感謝の言葉を述べ終えると、先頭のドラゴンが声をかける。



「さあ、ここからは地に足を降ろすがいいさ、皆乗り疲れただろう。我らも休ませてもらうとする」


 ドラゴンに言われるままに乗っていた人々は次々に背から降り、荷物を降ろしていった。


「やっとこさ着いたか、儂は疲れてはおらなんだがな。ドーにも足腰が鈍っちまうわ」


「旦那、そんなこと言わずに早く荷物を降ろしましょうよ」


「わかっとるわい。儂らドワーフは短足じゃからな、あの船に荷物を載せるのも一工夫せにゃならん」



 人間達は手に持てるだけ荷物を持ち、箱舟(アーク)にむかっていく。

 だがドワーフたちは荷物を持たずに、船に向かって一列に並び始めた。

 そうして各々ドラゴンの背中から大きな荷物を降ろすと、前の者へ軽々と受け渡していった。軽快に船へと荷物が流れていく。


 ミヒトはいわゆるバケツリレーだと見て分かり、大きな荷物を軽々と持ち上げるドワーフ達に感心するが、モナやイェレアスたちはそうではなかったようだ。

 スギタラから来た者も含めて、人間の人たちは荷物が受け渡され、流れていく様子を物珍しそうに見ていた。



「初めて見ました、荷物を渡すのにそんな方法があったんですね。ニットさんは頭が回る人だと思っていましたが、ドワーフの皆さん自体、知恵が回る方が多いんですかね」


「お姉さまも見たことがないんですか?私もスギタラに住んでいたけど、こんなの初めて見たわ・・・」


「なに言っとるんじゃイェレアス、わしらはいつもやっとったぞ。お前さんがちゃーんと見てなかっただけじゃわい」


「はっはっは、ちげぇねえな。まあいっつも姉様姉様って呟いとったしな、儂らの作業も見る暇がなかったんじゃろ」


「うるさいわね!だったら他の人たちは、どうなの?!」


「いや、確かにドワーフの皆は荷物を手渡しているのをよく見ていたけど、まさかこんな列になって運ぶのは初めてだな・・・」


「ほら見なさい、私以外にも初めて見たって言ってるじゃない!」


「ちゃんと話聞いてんのかイェレアスよぉ。手渡しは見たことあるって言ってんじゃねぇか。まあ、俺たちはこうやって荷物を分けて運んで大変にならん様にしとるわけさ」


「ですって、いいこと聞いたわねイェレ―。これでまた一つ賢くなったわね、すべては神様に捧げる知識。こうしてしっかりとお話しすることを忘れちゃだめよ?」


「わかりました!お姉さま!」



 ―――そうして荷を運び終えるとモナとイェレアスの姉妹は移住する人、ドワーフたちを船の中を案内する。

 荷を背中から降ろすまでじっとしていたドラゴンたちも、ようやく体を起こし箱舟(アーク)に乗り込んでいく。

 ドラゴン一向にミヒトは声を掛けた。



「休息を取り終えてからでいいんですけれど、船の一番上、帆の下までに後で集まってもらえませんか?確認したいこと、確かめたいことがあって。」


「それくらいは易いことだ。我らはまだ育ち盛りだ、ミヒト殿の様に大きくなる為、何か腹に納めたら行こうではないか。なあ皆」



 ドラゴンたちは皆一同、その提案に同意したことを確認すると。ミヒトは軽く礼を言って空を飛んだ。一足先に帆の下で待つことにした。




 ミヒトが確認したいこと。それは魔法がなぜ発動し、何を持って魔力、つまりマナを消費しているのか。そして何故複数回発動すると使えなくなり、気絶するのかということだ。

 モウル、そして彼らを待っていたこの四日間モナ、イェレアス姉妹の二人と魔法を作ったり試したりしていた。

 しかしながら彼女たち二人が気絶しても自分は一向に気絶しない。最初に自身の半身と呼ぶべきエルピスと共に魔法を使い地図やこの星の地球儀を作った時には気絶して二十分ほど気絶したりもした。

 今回はそれが一向に起きなかった。姉妹たちは魔法を使うたびに息が上がっていき、最終的には意識を失って六時間ほど眠ってしまったりした。ミヒトの魔力を余すことなく箱舟(アーク)移そうとも、一瞬視界が暗転する程度。姉妹たちの様に息が上がることは無く、気絶すら起きなくなっていた。

 なぜそうなっているのか、魔法が何を持って発動するのか、何をすればより多く魔法が使えるのか、それらを解き明かすことで大魔法時代とも呼べる一時代が到来するのではないか。などと妄想を膨らませるミヒトであった。

 まず、魔法を使うには、種族によって魔力(マナ)の消費が違うのではないかと考えたのだ。

 神が言うには、自分は一から全てをマナで構成されているというのだから何かしら特別製なのかもしれないし、ドラゴンという種が魔力(マナ)に対して特別なアプローチがあるのかもしれない。

 それらを判断するために、自分以外のドラゴンに協力してもらう必要があるのだ。



 ―――日は傾き時刻は午後、ドラゴンたちが食事を済ませたようでミヒトが待つ甲板に続々と上がってきた。

 モナも様子が気になったようで彼女の姿もあった。同じくイェレアスもドワーフたちスギタラの人たちもわずかに連れて上がってきた。

 イェレアスの場合、姉、モナの姿を追いかけた結果に過ぎないだろうが。


 ドラゴンたちはまず、食事の感想を言った。どの食べ物もミヒトにとってはかつて食べたレトルト食品や缶詰の中身を想像し、大量に皿に上げておいただけだったが。

 これが異常に美味だった様子。特に出来立ての温かな料理を食べられ、食べても食べても無くならないのが不思議だったと言う。

 それもそのはず、料理も皿も、ミヒト手製の魔法で作り上げたものだ。滅菌と保温、そして料理の生成を箱舟(アーク)に溜め込んである魔力(マナ)の限り実行する物。

 皆が船に魔力(マナ)溜め続けることで永遠に食べ物に困らないという物、なのだが。モナとイェレアスこれをさせた所すぐに気絶してしまった為、事実上ミヒト無しでは成り立たない機能だ。

 ミヒトはその話を彼らにかみ砕いて話すと、さっそく本題に入った。



「確認したいこと、僕が試したいことは、僕以外の、他のドラゴンが魔力を使い果たしたら気絶するのか言う事です」


「なるほど、つまりモナ殿やイェレアス殿と同じように、この船に魔力(マナ)を溜め込めばよいのだな。容易いことだ」



 ドラゴンの四足が蒼白く光始め、船に魔力(マナ)が溜まっていく。前に習う様に、次々にドラゴンたちが試していく。しばらくすると最初に溜め始めたドラゴンに変化が起きた。



「むむ、これは。体が重く、なって、来たぞ」



 言葉を発しても魔力(マナ)を溜め込むことを止めない。気絶するという恐れはドラゴンには無かった。

 彼らの内に湧き出たのは探求心だった、何が起こるのか、この疑問を解決したら次にどんな疑問が湧いてくるのか。好奇心、知識欲が彼らを掻き立てる。

 そうして、その中で最も小柄なドラゴンが床に体を沈めた。その後、大きなドラゴン、中くらいのドラゴンと気を失い、寝込んでいく。

 最初に留め始めたドラゴンはこの中で平均的な大きさではあったが、ドラゴン達の先導に立っていた為か、はたまた気合が違うのか、最後まで意識を保っていた。

 結果としては、ドラゴンは魔力(マナ)の使い過ぎで気絶する。ということが分かったが、すぐにもう一つの事実に気が付く。

 最後まで粘っていたドラゴンの意識が三分足らずで回復したのだ。個人差はあれど、三十分もたてばドラゴン達は意識を取り戻し体を起こしていた。



「なるほど、わかったことが二つ、いや三つある。」


「なにがわかったんですか?」


 モナはミヒトに聞いた。


「一つ、ドラゴンは魔力(マナ)を多く持っていて。そして多く魔力(マナ)を持っているドラゴンは全部使い切っても回復が早いということだ」


「なるほど、じゃあミヒト様があれだけ派手な魔法を使っても私達の様に気絶しないのは魔力(マナ)の量に関連していたんですね」


「そういうことになるのかな。そして二つ目にわかったことは魔力(マナ)の量は決して体の大きさに決して結びつかないということ。と言っても体が一番大きい僕が言う事じゃないけれど・・・」


「確かに、気を失っていった彼らの体格はバラバラでしたし、意識を取り戻したのもバラバラでしたね。ということは―――」



 モナとミヒトが確認している最中、イェレアスが割り込んで話に入ってくる。



「つまり体が小さい私達でも、方法によってはアンタと同じように魔法が使えるようになるって言う事ね!」


「イェレ―、ダメよ。ちゃんとミヒト様とお呼びしないと。この方は神より遣わされた御使い様なのですから」


「いや、僕はミヒトって呼んでもらえればいいんだけど・・・」


「じゃあミヒト!わかったことで三つ目って何なのよ!?」


「三つ目は・・・・そう、明日にでも出発できるかもしれないって事かな」



 箱舟(アーク)の船上から大森林を見つめるミヒトの視界の奥、森の中に色めくマナの光が見えた。意識を取り戻してからというもの、生物や植物が持っているマナの量が視覚化されて見えるようになったミヒトは、大樹の葉に覆われた大森林の中からモウル達一行と推測できるマナの列を見つけた。

 当然、ミヒトの報告を受けた皆は一様に船上から身を乗り出して大森林を覗き込むが、見えようもない。ミヒトの《魔力感知(マナセンス)》が付与された瞳、そしてなにより4、5m以上はあるだろうミヒトの巨体故に見つけられたのだ。

 それでもスギタラの湖から来たドラゴンの中にもミヒトの半分程度の大きさのドラゴンもいる。そのドラゴンが首を限界まで高く伸ばすと―――。



「葉の隙間から確かに見えた、モウル殿達に間違いない。あの距離では夜休みを入れて明日にでも着きそうだ」


「ほんとですか?ミヒト様もそうですが、ドラゴンの方たちは本当に目がよろしいんですね」


「ええ、我らの目に映る物ならば全てを明確に捉えられますぞ。それにしてもミヒト殿は格別だ、あの距離でモウル殿一行を瞬時に捉えるとは」


「そうですね・・・自分でも少し困惑しているくらいですよ」


「ミヒト様がそこまで謙遜なさることはありませんよ。何よりも神様からこの世に新たな英知を授けるために来てくださったのですから、もっと自信を持ってください」


「お姉さま!そうやってコイツ、じゃなくてミヒトの事を持ち上げないで下さい!」


「イェレ―ったら、嫉妬?そんなに不貞腐れないで、お姉ちゃんと一緒に明日の準備をしましょう?皆の寝布を用意して、ね?」



 そう言ってモナはイェレアスを連れて船の中に戻っていった。ほかの移住者たちも続いて船内に入っていく。しかし、ドラゴンたちは一歩も動きはしなかった。

 皆一様にミヒトを見つめ、それを待っていた。ミヒトは見当がつかずに困惑し、立ち尽くしてしまった。

 ドラゴン達の若頭が口を開く。



「あるのだろう。三つめが。何を感じ、何を理解したのだ?我らドラゴンの一族ではないか、力になるぞ」


「そっか。僕が本当に言いたかったこと、それはこの船が襲われるかもしれないということです」


 ミヒトの言葉にドラゴンたちは納得という頷きをする。ミヒトは空を、否、何処とも言えない虚空を見つめる。


「嫌な、何か嫌な感覚が続いているんです。きっと、あの大火災のようなことがまた起きる。そんな、それがわかるんです」


「未だ若き我らではマナを正確につかむことはかなわない。ミヒト殿がそういうのであれば、間違いはないだろう」


「なれば、我らに何が出来ようか。ミヒト殿」


「皆には、――――――。」




 ―――翌日。二つの太陽が頂点を射すころ、森の中からモウル達が出てきた。舌を出して息を切らす多様な獣人たち。全く息を切らしていないオーガと荷物と共に担がれたエルフたち。最初の一団と同じように背に荷物を担いだ四足の若いドラゴン達。

 妖精を除いて、カミシュの種族が一様に移住船、箱舟(アーク)のもとに集まった。



「すまねぇ、このモウル様としたことが。こんなに遅れちまって」



 狼の獣人モウルは、真っ先にミヒトに謝罪した。まさか、初めに飛んでくる言葉が謝罪とは考えてもいなかったミヒトは面食らってしまった。

 しかし、その謝罪はモウルの責任感からくるものなのだろう。息子の父として、あるいはここまで移住者たちの先頭に立ってきたからこそ、彼はまず謝った。



「俺様の見通しが甘かった。ここまで五日掛かっちまって」


「そんなことは無いよ。話は聞いているよ、さあ船に乗って。出航しよう」



 全員が船に乗り込む、何千という命をその中に収めた船、箱舟(アーク)が水面を滑り出す。

 その巨大な船体を雲の様に大きな帆で突き動かす。徐々に加速し、海原かと錯覚するような広大な河川を上ってゆく、新たなる故郷を目指して。

ネット小説大賞とかあってちょっと気にはなっていますがなんというか

自信が無くてこうあれですね

でももっと多くの皆さんが見てくれるならと考えるといいなとはおもいます

六月中に三回?四回?くらい更新出来たら応募してみようかなと思います

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