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細切れ投稿で申し訳ありません。

読みにくいとは思いますが、これからも読んでいただけたら幸いです。

「いや。見ませんでしたけど」

そっかあといって鬼頭は頭を乱暴に掻き毟る。

「どこかで追い抜いちゃったかな?弱ってたみたいだし」

弱ってた?

女の子?

この親父は何を言っているんだ。


「まあいいさ。王手とまではいかないにしても、あの鬼が積んでいるのは間違いない」


鬼。

海老塚。

美紀。


「ああ。ご歓談中、話しかけて悪かったね。そろそろ僕も仕事に戻るよ。もし僕が言ったような女の子が歩いてたら教えてくれるかな?僕の電話番号わかるよね」


礼は弾むからさ。

鬼頭はそう言って立ち去ろうとする。


僕から視線を外したその刹那。総毛立つような殺気が鬼頭から迸った。


「おった!」


「美紀!!!」

鬼頭の言葉にかぶせるように僕は走った。


駈け寄らずにはいられようか。

そこには右腕を押さえる美紀の姿があったのだ。

「美紀!大丈夫か?」

「ん・・・・・・ああ。雲母兄ちゃんか」

「僕がわかるんだな。美紀!大丈夫か?すぐに病院に連れてってやる」

僕は美紀に肩を貸す。

うめき声とともに僕の首にはぬるりとした液体が絡みつく。


「雲母君。邪魔せえへんでくれるかな」

隠すこともせず、鬼頭は殺気をまき散らす。

「鬼頭!お前!美紀に何をしたんだ!」

「はっ!そんなもん話してどないなるねん。俺は大事な仕事をこなしてるんやで」

「仕事!?女の子を傷つけるのがお前の仕事か!?」

「わかっとらんなあ。俺は真贋師。嘘か真かを見極める仕事や。それはどんなものでも見極める。そして、その女の子は・・・・・・嘘もんや」

「噓って」

「雲母君。お前、ホンマは気づいておるんと違うか?その女の子が嘘もんって」

「美紀が嘘だなんて事があるか!美紀は美紀だ」

うつわはな」


鬼頭は不機嫌そうに前髪を掻き上げた。

「ええか?そりゃ鬼や。見た目はお前の言う美紀ちゃんだったとしても中身は鬼なんやで」

「美紀は美紀だ!」

「まあ、100歩譲ってそうだとしよう。しかしな雲母君。今は美紀ちゃんでなく、鬼に取り憑かれた女の子や」

「祟られたって・・・・・・祟られていたとしても目の前に傷ついた人がいたら助けるのが当たり前だろう」

「わからんなかなあ。ええか?今の俺は悪性腫瘍を取り出そうとしてる医者や。医者が患者の体を傷つけたたかてそれを責めるもんがおるか?放っておけば、美紀ちゃんの魂は鬼に食われて無くなる。本物の鬼になってしまうんやで」

「だからって」

僕は言葉に詰まる。


鬼頭の話が本当だとしても。

いや、昼間、時流も美紀の事を鬼だと言っていた。

そうなんだろう。

きっと美紀は鬼に取り憑かれている。

そして今はその鬼を退治する為に、この怪しいおやじは戦っているんだろう。

「それでも僕は!」

「雲母君。あんたはきっと希望に殺される側の人間なんやな」


鬼頭は呆れたように笑うと、突如僕の力が抜けた。

美紀が僕の首筋にかみついていたのだ。


「助かったよ!雲母お兄ちゃん!これで私は元気100倍だ!」


美紀はすっくと立ち上がり人間とも思えぬ脚力で闇夜に消えていく。


意識を失う僕の耳元で「愚か者」という時流の声だけが響いていた。








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