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公園バトル2(改)

「いまの・・・・・は?」

僕以上に驚く顔が目の前にある。

時流だ。

絵に描いたように目を丸くしている。


「・・・・・驚いた。あまりの風圧に我の顔を飛ばされたのかと思ったぞ」



僕は今、生きている。


たぶん。死んだ。

間違いなく死んだはずだ。

でも今は生きている。


強い睡魔から目覚めた僕の目にははっきりと時流の顔が見えるのだ。

「・・・・・・僕は?」

「雲母。よかったな。生きておる」


時流は目を細めた。


「生きているって?なんで?」

「禁じ手ではあったのだがな。お主の生への執着が強かったのか運が良かったのかはわからぬが、生きているのは確かじゃ」


時流は満面の笑みを浮かべている。

僕はハイタッチをしようと手を伸ばした。

時流は素早く胸を隠す。

「パイタッチはさせぬ!」

「オヤジギャグを言うのはやめろ!」

「ほうほう。今のをオヤジギャグというのか?このオヤジギャグを放ったオヤジの大多数はセクハラで訴えられると思うがのう」

「ごめん」



少しだけ空気が緩む。

どうやら僕は生き残った。僕は死なずに済んだのだ。


時流とのやりとりの中、雅までもが胸を隠したように思えたような気がするが気のせいであってもらいたい。


「おい!時流」

「おいとはなんじゃ!あるじ!いや。命の恩人に向かって!」

「時流様」

「なんじゃ?」


嬉しそうに笑う時流。

まあいい。

なぜ僕が生きているか聞きたいところではあるが、目下の問題は雅の事である。


「なんだあれは?雅はどうなってしまったんだ?」


「ふふん。やっと真面目な空気になってきたのう」

「殺されかけて真面目にならないほうがおかしいだろう」

「あれは。狐憑きじゃ」

「狐憑きって!じゃああれは狐に祟られた姿だっていうのか?」

「わからん」

「わからんって?」


「貴様等・・・・・・いい加減にしろよ」


僕の手によって時流の首から引きはがされた雅が獲物を狙う獣のような体制をとる。


手を地に着き太ももに大量の血液をを送り込むように身構えたその姿はまさに獣のそれであった。


「殺す」


そう言い放った雅の尻からは太い尾が現れ、頭からは大きな三角の耳が現れた。

可愛いと思ったのは秘密だ。


「雲母!見とれるな!」


ばれていた。


「狐のあやかしは誘惑を使う!中国の九尾!日本の玉藻!こやつはそれほどではないが、男の本能を刺激してくるぞ」

大丈夫だろうか?

水洗雲母。

思春期にして発情期である僕が、猫耳。いや狐耳を装着した雅をどうこうできるものだろうか?

どうこうできるの部分は誤解してもらわなくてもいい。

そのままの意味だ。

皆さんも想像して欲しい。

最近では猫がもてはやされているが、ふんわりとした尾を揺らす狐のコスプレだ。

男ならわかってくれるであろう。

誘惑などされなくても、露わになった雅の太ももに発情してしまいそうになる。


閑話休題。


「ともかく!」

時流は腰を低く落とす。

「なに!そのかっこいい構え!」

「ふふん。異世界の住人ゆえ、皆に見せられないのが残念じゃが格好いいであろう」

「やばい!めちゃかっこいい!」


時流は低い体勢を維持し、影すら置いていく速度で突き進んでいく。

「とにもかくにも!ぶんなぐる!」

時流はそう叫ぶと右の拳を雅のこめかみにぶつけた。


(魔法は!?)


異世界バトルといえば剣か魔法である。

僕の期待を完全に裏切り肉弾戦に入る時流。


だが、石と石がぶつかるような激しい打撃音は夜の公園に薄気味悪く響いている。

「狐殿!その程度か!」

時流は雅の血しぶきを浴びながら笑みを浮かべている。

(こええ。まじこええ)

内心僕はその姿にびびってしまった。

狐と呼ばれていた雅は徐々に動きが弱ってくる。

僕は直感する。


このままでは。


そう思った刹那。僕の額に時流の拳が食い込む。

「痛ったああああああ!」

「痛ったあああああ!」

同時だった。


時流は右拳を抱きかかえるように痛みで飛び跳ねている。

そして僕はおでこがすり切れるんじゃないかと思うほどなで続けていた。


「なにをする!この石頭!」

「何をするじゃねえよ!お前!雅を殺す気か?」

雅を背にかばい、僕は両手を広げた。


僕は自分を殺そうとした狐をかばったことと同時に、自分が元々立っていたはずの地面のえぐれ方に驚愕してしまうのである。




表現がわかりにくい部分を手直ししました。


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