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悪の秘密結社は今日も平和です!  作者: ぽんすけ


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9/12

温泉旅行へ、いざ行かん!!②



「いやぁ〜、久しぶりに飲んだ食べた。大満足です!」



机いっぱいに並んだご馳走をぺろりと平らげ、すっかり腹は膨れ酔いも回ったボス。

座椅子の背にどかっと寄りかかりつつ満足気なため息を漏らす。

山の幸と、麓の村から仕入れたという海の幸がふんだんに使われた料理はどれも絶品で、特に見るからにお高そうなカニ味噌の雑炊は彼らの胃袋をがっしりと掴んだ。

また大人陣は天然水で作られたという地酒の日本酒を存分に堪能し、それはもうふわふわした心地良い気分を享受していた。

ボスのテンションが高いのもそれが理由である。



「よっしゃ、部屋戻ったら枕投げやろうぜ!あ、トランプも良いなぁ!」



上機嫌で鼻歌を歌いながら、浴衣の裾をぶんぶん振って一人先行するボス。

若干精神年齢が後退したようにも思えるその背を、こちらもまた一位二位を争う勢いでアルコールが回っているであろうソアレも、ぺたぺたと裸足で追う。




「ボス、とんでもなく酔ってますね……」

「あの調子で枕投げやったら、ちょっと危なくないですか?」

「大丈夫ですよ。ボスとソアレの場合は大抵この後────」



二人に対して軽く飲む程度に抑えていたイリスが、一号君と二号君の心配に対して、冷水を飲む傍ら安心するよう声をかける。

と言うのも。

ボスとソアレから数分遅れて部屋に戻ると、そこには。



「ぐおおおおお……」



と、豪快なイビキを立てて爆睡する二人の姿があった。

元々男性陣用の部屋として四つ横並びに敷いていた布団のうち、大の字で斜めに寝っ転がったボスが二つを占領。

ボスの腹部に後頭部を預けたソアレに至っては、寝相が酷すぎてどうなっているのかすら分からない。

あと浴衣が乱れまくって胸元やむっちりした太ももが全開で大変宜しくない。



「二人とも、酔うととんでもない勢いで寝てしまうんです」

「もはや様式美……」

「似た者同士すぎる……」



イリスが大丈夫だと言っていた理由を全員が理解したのであった。



「て言うかどうします?ここ、男性陣の部屋ってしてましたけど……」



と三号君。

確かにそれは悩みどころだ。



「……仕方ありません。部屋割りを逆にしましょう。すみませんが、荷物運ぶの手伝ってください」

「了解っす!」

「えへへっ、私もボスさんにくっ付いて寝たいですぅ!」

「ダメです」



結局、女性陣がお目付け役としてボスと同じ部屋で寝ることになった。

エックス戦闘員達が主力となって、全員分の荷物を頑張って移動する。

その間にもボスとソアレが起きることはなく、そのまま溶けるように夜は更けていった。

そして、明け方になって。



「………うぐっ……ん……」



昨夜飲み過ぎてしまったせいか、若干の頭痛に顔を顰めつつボスは目を覚ました。

障子によって和らげられた淡い朝日の光に目を瞬かせる。



「───やあ、おはよう」

「………っ、〜〜〜ッ!?」



目の前の光景に思わず叫びそうになったボスだが、直前で口元に人差し指が添えられ、思わず口を噤む。



「しっ……。皆、まだ寝ているからね」

「おまっ、なんでここに……!?」



動揺を滲ませながら小声で問う。

そう、何故に朝起きたら、ソアレが同じ布団の中で寄り添うようにこちらを見つめているのか。

しかも半裸で。

その理由を早急に解明しなくてはならない。

まさか俺、酔った勢いで何かやっちゃいました……!?と青ざめるボス。

あかん。

それは絶対にあかん。

ところがボスの想像とは裏腹に、いつも通りのマッドな微笑みを浮かべたソアレは安心するように言った。



「心配しなくて良い。私はまだ処女、君も童貞更新中だよ」

「もうちっとマシな伝え方はなかったのだろうか」

「何を言うかね。一番簡潔に、君の求める事実を述べているだろう」

「それはそうだけども」



すん、と真顔になるボスさん。

なんだか一気に悲しい気持ちが押し寄せてきた。

いやもちろん、間違いがなかった事は大変喜ばしいんですけどね?



「……ふふっ」

「なんすか」

「いや?君と居ると、退屈しなくて助かる……そう思っただけだよ」

「……褒めてます?それ」

「褒めてるさ。存分にね」



この後、同室のメンバーが起きる前にソアレは布団から出たため、寝起き同衾事件はボスとソアレ、二人の中での秘密となってしまった。

予期せぬ爆弾を抱えることになったボスは、それからしばらく安眠出来なくなったそうな。






────オマケ────



二泊三日目、(ふもと)の漁村に戻ってきてからのこと。



「う〜ん……」



自由行動中の八咫烏ちゃんは、魚市場や昔ながらの小さな商店街などを見て回りながらずっと悩んでいた。

そこへ。



「どったの?」

「……あ、ボス!」



ボスがやって来た。

どうやら先程まで近くの駄菓子屋に言っていたらしく、たくさんのお菓子が入ったビニール袋を片手に持っていた。



「実家へのお土産をどうしようか迷っててっすね〜……生モノは論外っすけど、干物はお母さんがあんまり好きじゃなくて」

「なるへそ」



確かにそれは悩む。

この漁村の名物は当然、漁業で採れた海の幸やそれで作った干物、また温泉旅館で飲んだお酒などだ。

前者は消費期限と好みの問題で、後者は値段的な問題で難しい。



「……まぁ食べ物じゃなくても、沢山取った写真と思い出話を聞かせてあげれば、親御さん的には大満足なんじゃない?」



ちょっとクサい上に人によるだろうが。

しかし八咫烏ちゃんは納得したようで、早速ボスと一枚パシャリ。

思い出をさらに写真に収めるべく、ボスにお礼を言ってから散らばったメンバーを探しに駆けて行った。

年長者としての言葉が、若き少女の助けになれたのなら幸いだ。





最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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