8話 鳥精の精ってどういう意味?
とある休日の昼下がり。
こたつで美紅と椛と三人でだらだらしていました。
美紅はレシピ本、椛は何やら難解そうな小説を読んでいます。私はいつもならスマホをいじるところですが、フィルタリングが強化されすぎていてYouTubeキッズくらいしか見れません。仕方なくアンパン野郎の玩具で遊ぶキッズの動画などを見ていましたが、流石に飽きました。
何気なく美紅が読んでいるレシピ本を覗き込むと、鳥肉料理の特集ページが目に入ってきました。
「焼き鳥屋さんのメニューにある鳥精の精って、どういう意味ですか?」
※北海道の焼き鳥店では鳥肉を鳥精と表記する店舗がある
「は? それはアレよ、えーと」
私のふとした疑問に美紅が答えようとしますが、頭を悩ませているようです。
椛が左手に本を持ちながら、右手で何やらスマホを操作すると、程なくして美紅のスマホの通知音が鳴りました。
「そう、精鋭よ精鋭! 鳥たちの中でも選ばれた鳥だけが焼き鳥になることを許されてるの!」
スマホの画面を見た美紅は自信満々に言ってのけました。
「え? 普通に精肉という意味では?」
私の言葉に、居間の時間が凍り付きます。
「椛ーっ!」
怒りからか羞恥からか、美紅が顔を真っ赤にして椛に掴み掛かります。
「いや、まさかそのまんま言うとは思わなくて」
「あんたも! 知ってるなら聞いてくんじゃないわよ!」
今にも噛みついてきそうな剣幕で怒鳴られました。
「でもこの理屈で言うと、妖精って妖の精肉ってことになりますよね」
「え、確かにそうね……」
「いや、ならないだろ、おまえら何言ってんの?」
私のでたらめ発言に頷く美紅に椛がツッコミを入れます。
「美紅、知ってますか? 精肉からしたたる液体のことをせいえ……アイターッ!?」
椛が顔面にチョップをしてきて私の発言を遮ります。割とガチめに痛いです。
「芽依、次は優ちゃんにチクるからな」
「やだーっ! それだけは勘弁してくださいーっ! スマホ没収されちゃう!」
「没収されてしまえバカ」
椛が私に向ける視線はとても冷ややかでした。
「お肉からしたたる液体っていうと、肉汁のこと?」
「おまえはずっとそのままでいてな」
対照的に、椛が美紅に向ける視線は何だかとても温かったです。赤ちゃんか何かだと思ってるんでしょうか。




