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17 解決って何でしょうか?


「ぅう・・・オ、オレは・・・どうなったんだ・・・」

キャサリンさんに抱きかかえられ横になるヤッカイさんが、うつろな目でゆっくりと見回します。


「あなた!スゴイわ!!

 あの量のスライムを消したのよ!」

キャサリンさんが興奮ぎみに言います。


「オ・・・オレが?」


「そうよ!あなたが消したの!

 ありがとう!私たちを救ってくれて!

 ほら!タツキチ!突っ立ってないであなたもお礼を言って!!」

キャサリンさんが僕に言います。


「あ、はい。ありがとうございます。

 助かりました」

僕は、キャサリンさんの腕の中で横たわるヤッカイさんにお礼を言います。


どうやらキャサリンさんは、ヤッカイさんがスライムを消したと思っているみたいです。

だってキャサリンさんは、頭を抱えてうずくまっていたので何も見てませんから。

それに、スライムを消したのは僕じゃないって言ってますからね。

あの状況からすると、ヤッカイさんが消したと思ってもおかしくありませんよね。


でも、僕が消したんですけどね、

スライム。

ドーテー魔法とかいう魔法で。


て、コレ、よくよく考えたら失礼極まりないですよね。

だって、ドーテーって・・・

そりゃ30歳で、まだ童貞ですよ。

事実ですよ。

でもだからといって、そんな名前の魔法、非常識でしょ。

童貞に失礼ですよ。

しかも最強で最悪って・・・

どういう事ですか。


ん?


ところで、あんたら何やってんですか?

2人でそんなに見つめ合って。


「キャ、キャサリン、君が、オレを、回復させてくれたのか?」

「はい。ヤッカイさま!」


何ですかコレは。

恋の始まりですか?

アクション映画によくある、吊り橋効果の恋の始まりを見せつけられているのですか?

なんか、このままほっといたらチューする勢いですよ。

童貞には刺激が強すぎますよ。


「これからどうするんですか?」

僕が無の感情で、恋に落ちた2人に聞きます。


「え?」

声に気付いた2人が僕を見ます。


え?じゃないですよ。え?じゃ。

何ですか、そのだらしない顔は。

2人して顔を赤らめて。


「どうするんですか?これから」

僕はもう一度聞きます。


「ゴホ!ゴホ!あーそうだな・・・」

ヤッカイさんが咳き込んで言います。

「まずは、この洞窟から出ることだ。

 オレが案内する。

 よし!行こう!ウッ!!」


「あ!ヤッカイさま!お気を付けて!

 私につかまって!」


「ありがとう。キャサリン」


2人がヨレヨレと立ち上がるので、僕が言います。

「あ、僕も肩を貸しますよ。ヤッカイさん」


「キッ!!」

キャサリンさんが物凄い形相で、近づこうとする僕をにらみつけます。


何ですか、キッ!って。

僕はただ、手伝おうとしただけじゃないですか。

そんな鬼みたいな顔で威嚇して。

近寄るなってことですか?

分かりましたよ。

近寄りませんよ。


「まずは、手前の分岐まで戻ろう」

ヤッカイさんが言います。


「そうね!ヤッカイさま!

 戻るわよ!タツキチ!!」

キャサリンさんが僕をにらみます。


「は、はい・・・」

僕は2人から少し離れて後をついていきます。

何かもうおっかないですね、キャサリンさんは。


ところで、ヤッカイさんは道を知っているのでしょうか?

さっき逃げる時に、右だ!左だ!って言って、迷いましたよね?

アレ、もしかして適当に走り回ってたとかじゃないですよね?

適当だったら相当ヤバイですよ。


『ねぇ・・・タツキチ・・・』

不意に横を歩くエレノアさんが僕に声を掛けます。


「何ですか?」

僕は小声で返事をします。


『あなた、どうして、魔法が使えるの?』


え?

エレノアさん、なに言ってんですか?


「どうしてって・・・教えてくれたじゃないですか?

 ドーテー魔法とかいう魔法・・・」


『そうよ・・・

 でもドーテー魔法は、一度でも女性に触れると効力を失うのよ』


え?

効力を失う?


「失うって・・・

 使えなくなるって事ですか?」


『そうよ』


「でも僕、エレノアさんにしがみついてますよ。何度も」


『そうなのよ・・・

 だから、たぶん・・・』


「多分、何ですか?」


『私はノーカンなのよ』


「ノーカン?」


『そうよ、ノーカン。

 ノーカウントよ。

 本来、私はこの世界では勇者をサポートする役でしょ?』


「僕もです。アルバイトですけど」


『タツキチは見えてるじゃない。この世界の人たちに。

 私は見えないでしょ?

 声も聞こえない。

 存在しないことになってるのよ。

 だから私はきっと、カウントされないのよ。無効なのよ』


「はぁ・・・」


『でもタツキチは見えているし、ちゃんと存在してる。

 そしてドーテー魔法が使える』


「はぁ・・・」


『そして、さっきタツキチ、あなたはキャサリンと手をつないで逃げてた』


「・・・・・」


『だから、その後、魔法が使えなかったのよ』


「なるほど。

 で、時間が経って魔法が回復したってことですね」


『違うわ』


「ちがう?」


『そう、ドーテー魔法は、女性に触れるとその時点で、もう2度と使えなくなるのよ』


「え?」


『ドーテー魔法は、願いの全てを叶える魔法だけど、女性に触れると一瞬で消えてなくなるの。

 だから最強で、最悪の魔法なのよ』


そうか・・・

そういう事か・・・

だから最悪の魔法なんですね。

童貞の魔法使いは、魔法を取るか、女性を取るか。

その選択に迫られるわけですね。


ん?あれ?


「でも、僕、さっき使えましたよね?

 スライム消したんですよね?」


『そうよ。

 だから、そこが分らないのよ・・・』


というか・・・


「ドーテー魔法って、願いの全てを叶えられる魔法なんですか?」


『そう、魔力の大きさによるけどね』


魔力の大きさ・・・

て、これ、すごいことじゃないんでしょうか?

なんかもう、全てが解決するんじゃないでしょうか?


「あのー、だったら僕が叶えれば、あの黒猫・・・えっと、ゼロの所に戻れるんですか?」


『たぶん、戻れるわ』


あらら。

それって・・・


解決ですね。

僕が祈れば、全部キレイに解決ですね。


じゃ、さっそく祈りますよ、僕はね。




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