第74話 やっぱり最後はドタバタで
『無敵と思われたチョコ選手ですが、やはり生きている以上呼吸は必要だったー! 派手な技の応酬から始まったこの決勝戦ですが、最後はゆーゆ選手の頭脳プレイが光りました! これにより、王位争奪トーナメント優勝は! チームトウゆだー!』
大歓声に包まれる闘技場。
『さあこれで、チームトウゆには次期国王になる権利、もしくは国王を指名する権利が与えられます! 果たして、誰が次の王となるのでしょうかー!』
「ゆーゆちゃん! 女王になってくれー!」
ならねーよ!
「ゆーゆちゃんが王なら俺、一生ついて行くよー!」
ついて来なくてよろしい!
「でも私、エスタ様の女王姿も見てみたかったなー」
安心しなさい。その願いは叶えられます!
「ならいっそ、ゆーゆちゃんとエスタ様が結婚して、ふたりが王になれば良いと思う!」
「あー、それ良いね!」
勝手な事言うな! エスタの気持ちは無視か!
『次期国王は後日、改めて発表されます! 皆様、それまでどうぞお楽しみに!』
誰を指名するかは決まってるから、別に今発表しても良いんだけどね。
試合が終わった後僕は、医務室に居るトウカの様子を見に行った。
そこには、既にかるみる隊の全員が揃っていた。
「ゆーゆ! やったデスね!」
「うん。何とか勝てたよ。トウカは大丈夫?」
「エっちゃんに治療してもらったから、ビンビンなのデス」
いや何がビンビンなんだ?
「他のみんなはもう治療しましたからぁ、ゆーゆもこっちに来て座ってくださいね〜」
「あ、うん」
自分で治せなくは無いが、お言葉に甘えて僕はエスタに治癒魔法をかけてもらい、全快した。
「ありがと、姫様」
「姫様だなんて堅苦しい……エスタと呼んでくださいねぇ、旦那様ぁ」
「ブーッ! な、何だよ旦那様って?」
「え〜? だって国民の皆さんがぁ、私とゆーゆの結婚を望んでるみたいですからぁ、それにお応えしようかとぉ」
「いや、いくら望まれてるからって……それに、優勝した以上、僕は正式に王の座は辞退するんだから、女王様になる姫様とは結婚出来ないよ」
それだと、結局僕も王位に就くことになっちゃうし。
「グスン。ゆーゆはエスタがお嫌いですかぁ?」
「いや、好きとか嫌いの問題じゃなくてね!」
「あーっ! ゆーゆ、姫様を泣かせたっスねー!」
「姫を泣かせる者は、例えゆーゆと言えど許さん!」
「私もプンプンデス」
「早よ謝って仲直りし〜や〜」
「そしてふたりは結ばれる」
「もう! 勘弁して〜!」
そして3日が経ち、僕達は国王に呼び出された。
「よく来たのぅ、ゆーゆ、トウカ。まずはトーナメント優勝おめでとう」
「あ、ありがとうございます」
「ありがとなのデス」
「今日呼び出した理由は分かってるとは思うが、もう決まったかの?」
「ハイ」
当然、僕が王に指名するのはエスタだ。
「では、王になる者の名を告げよ」
「ハイ。エ……」
「ちょっと待ってほしいデス!」
僕がエスタの名前を出そうとした時、トウカが割って入って来た。
「それは、私に言わせて欲しいデス」
「え?」
トウカにすれば、幼馴染のエスタの国王就任が決まる大事な瞬間だもんな。自分で言いたい気持ちは分かるよ。うん、分かる分かる。
「うん、分かった。じゃあ、トウカにお願いするよ」
「ありがとなのデス」
「うむ。ではトウカよ。お前が王にしたい者の名を告げよ」
「ハイ! 私が王にしたいのは……ゆーゆなのデス!」
ん? んん〜? 聞き間違いか?
今、ゆーゆって聞こえた気がしたんだけど?
「トウカさん? 緊張して名前間違えたのかな? ゆーゆじゃ無くて、エスタでしょ?」
「間違えて無いデス! 私が王に指名するのは、ここに居るゆーゆなのデス!」
「はいいいいー?」
「あい分かった! ではトウカの要望通り、次の国王はゆ……」
「ちょおっと待ったあああー!」
「何じゃゆーゆ? 何か文句でもあるのか?」
「いや大アリでしょお! てかトウカ! 君確か、エスタを国王にしたいんじゃなかったの?」
「確かに初めはそのつもりだったデス。でもトーナメントが始まる前に改めてエっちゃんに想いを聞いたデス。そうしたら……」
「そうしたら?」
「詳しくは私の口からは言えないデスが、やはりゆーゆを王にした方が良いという結論に達したデス」
「いや、それじゃ分かんないよ!」
エスタを王に指名すると思ったからトウカに任せたのに、これじゃあ何の為に苦労して優勝したか分からないじゃないか!
「ええい、つべこべ言うな! チームメイトのトウカがゆーゆを指名したんじゃ! よってルールに従い、次期国王はゆーゆに決まりじゃ! この決定が覆る事は無い!」
「横暴ー!」
「後日改めて、国民に発表する。その時はゆーゆに国王就任の挨拶をしてもらうでの。コメントを考えておくんじゃぞ。それでは、解散!」
「ちょっと待ってー!」
僕の悲痛な叫びが、虚しく響き渡る。
そしてその夜僕は、一応王になった自分の姿を想像してみた。
「うん。やっぱ無理……よし! 逃げよう!」
そもそも僕の未練は、買ったばかりのゲーム機で遊ぶ事だったんだ。王になんかなったら、絶対ゆっくり遊ぶ時間なんて無いに決まってる。
深夜、みんなが寝静まった頃、僕はこっそりと城を抜け出した。
「みんなとお別れするのは正直寂しいけど、僕には王様なんて無理だ……ゴメンよ」
他の国に行って、今度は目立たずひっそりと暮らそう。幸い色々あって、お金だけは当分困らないだけは持ってるし。
城から少し離れた所で、マップに複数の反応がある事に気付く。
青い光点だから、敵では無いか。
「こんな夜中に、どこ行くっスか?」
そ、その声と口調は!
僕が顔を上げるとそこには、かるみる隊の全員が揃っていた。
「んなっ! な、何でみんな居るの?」
「王との謁見の後、国王が仰ったのだ」
「ゆーゆは絶対逃げようとするやろから、捕まえろってな〜」
「王の予想通り」
「妻を置いて行くなんて酷いですぅ」
「妻? 妻って何だよ?」
「エっちゃんの望みは、ゆーゆのお嫁さんになる事だったのデス。だからそれなら、ゆーゆを王にしてエっちゃんが妃になれば、全て丸く収まると思ったのです」
「いや僕の意志は?」
「ゆーゆはエスタの事がお嫌いですかぁ?」
ウルウルした瞳で見つめて来るエスタ。
「いや、嫌いでは無いけど……」
「じゃあ問題無いですねぇ。大丈夫ですぅ。父様のお許しはちゃんと得ていますからぁ、妻として一緒に旅に同行しますぅ」
「旅? 旅ってどういう……」
「父様からの伝言ですぅ。ゆーゆが戻って来るまで、もう少しだけ王を続けてやるからぁ、思う存分修行の旅に出るが良いぞ。だそうですぅ」
「修行って何だよー!」
「当然、国王のゆーゆと王妃様をお守りする為、我らかるみる隊もお供するっス!」
「貴様はどうでも良いが、姫様は必ず俺がお守りする!」
「兄さん、不敬罪なのデス」
「どこまでもみんな一緒!」
「またオモロい旅になりそうやな〜!」
「いや、僕の意志はああ〜!」
とりあえず、このお話はここで一旦完結とさせて頂きます。
当初の予定では、短編ですぐ終わるつもりでしたが、少し引き伸ばしてみました。
もし要望が多ければ連載を再開するかもしれませんが、ブクマ20も行かなかった作品にそれは無いでしょうww
まあ人気は無かったとはいえ、一応最後まで書ききれた事に関しては、自分を褒めてあげようと思います。
また創作意欲が湧いてきたら、また懲りずに新作を書くかもしれませんので、その時はよろしくお願いします。
それでは、ご愛読ありがとうございました。




