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第69話 八百長の語源は八百屋の長兵衛らしい

「やっぱ姫さんの能力は厄介やなー! 早々に退場願おかー!」


 ミントがそう言った瞬間、エスタの足下に巨大な穴がぽっかりと口を開けた。


 あれってミントの得意な戦法かっ?


「試合終わるまで、穴ん中で大人しゅうしとってやー!」


 だがエスタは、地面に開いた大穴を上回る巨大な防御魔法を足下に張り、落下を防いだ。


「なんやてー!」


 あの一瞬で防御魔法を張ったのか?

 普段のスローな動きからはとても信じられない早技だなぁ。


「何だかまた誰かにバカにされた気分ですぅ」


 だから、心の声聞かないで!

 エスタにそんな能力が有るのかと、みんなが勘違いしちゃうから!


『いきなり姫様の足下に巨大な穴が空きましたが、防御魔法で落下を防ぎました姫様!』


「姫様!」


 飛行魔法を使い、エスタを穴の上から救出したロッタ。


「ありがとうございますぅ、ロッタ」

「しかし姫様、よくあんな一瞬で防御魔法張れたっスね〜?」

「ん〜? 一瞬じゃないですよぉ? この試合が始まった直後からぁ、見えない様に隠して私の周り全部に予め防御魔法を張ってただけですよぉ」

「あ〜、そういう事っスか」


 なるほどね。


「そういう事かいな。となると、姫さんへの奇襲攻撃は無駄って事か〜」

「ん。でもダメージ与える度に回復されたらキリが無い」

「せやな〜、何とかして分断……あ! チョコはん!」


 何か思いついたらしいミントが、チョコに耳打ちする。


「ん〜、でもそれで魔法効果遮断出来るかなぁ?」

「まあそれは実際にやってみんと分からんけどなぁ」

「何をコソコソやっている!」


 チョコミントに突っ込むブラウ。

 前に出るチョコ。


「お二人さんの相手、頼んだで! チョコはん!」

「ん。任された」

「チョコさんひとりであたし達2人を相手にするんスか? 舐められたもんスね!」


 チョコに向けて魔法弾を放つロッタ。

 だがそれは、突如地面から伸びた壁に阻まれた。


「んなっ?」

「勿論、援護ぐらいはするでー!」


 闘技場のあらゆる場所から壁がせり上がる。


『ああーっと何だあー? 突如無数の壁が現れたぞー! これではどこに誰が居るのか分からないー!』


 ロッタの魔法対策か? それとも、エスタの視界を遮った?  


「こんな壁で隠れたつもりっスか? 上がガラ空きっスよ! メテオ!」


 空に向けて隕石魔法を放つロッタ。


『姿は見えませんが、上空に無数の隕石が現れましたー! おそらくこれはロッタ選手の魔法によるものでしょう!』


「目隠しのつもりかもしれないっスが、あたしは人が纏う微量の魔力を感知出来るっスから、誰がどこに居るか全部分かるっスよ!」


 その言葉通り、チョコが居ると思われる場所に隕石が集中して落下した。


「場所、教えてくれてありがと」

「なっ! 壁を突き破って……ガハッ! 姫……様……」

「ロッタ? どこですかロッタ? 周りが真っ暗で、何も見えないんですよ〜!」

「姫さんの周りだけ特別に屋根付きや。直接姫さんを攻撃してる訳や無いから、反射魔法も発動せえへんやろ?」

「ロッタ? どうしたロッタ! やられたのか?」

「教えてくれて、ありがと」

「チョコおおー! グハッ!」


 声だけしか聞こえないが、どうやらロッタとブラウがやられたようだ。


 エスタの周りの壁だけを残し、他の全ての壁が消滅した。


『ああーっとお! 壁が消えた後に倒れている人影があるぞー! これは、ロッタ選手とブラウ選手だああー! わたくし達には何も見えませんでしたが、壁の中で何があったああー!』


「……見えませんが、どうやらロッタとブラウがやられたみたいですねぇ。完全に隔離されちゃったら私の治癒魔法も届きませんし、か弱い私には壁を破る力もありませんし……降参しますぅ」


『姫様が降参を宣言しましたー! よってこの試合は、チームチョコミントアイスの勝利です!』


 試合がよく見えなかった為か、それとも姫様チームが負けた為か、微妙な歓声に包まれる闘技場。


『尚、決勝戦はこの後、30分の休憩を挟んだ後に行われますので、皆様トイレ等は今の内に済ませておいてください!』


「私もおトイレ行きたいですからぁ、早く出してくださいぃ〜!」


 未だに壁に囲まれているエスタが、悲痛な声を上げる。


「チョコミントが勝ったか……トウカ的にはどう?」


 複雑な表情のトウカに尋ねてみた。


「エっちゃん達が負けた事は正直悔しいのデス。でも、エっちゃん達と戦わなくて済んだので、ホッとしてるデス」

「そか……」


 それにしても、やけにアッサリと決着ついたな〜。

 まあお互い、そこまで本気では戦って無かったように感じたけど。ロッタの魔法なら、あれぐらいの壁壊せるだろうし、エスタだってやりようはあった筈……やはり決勝に備えて消耗しないように引いた感じがあるな〜。

 ともあれ、チョコミントのふたりを相手にどう戦おうか……予選の時は何とか凌げたけど、完全には倒しきれなかったしな〜。


 そんなチョコが、こっちをジッと見ている。

 そして僕と目線が合ったと思ったら親指を立て、その指を下に向けた。


 あ〜。予選会で僕にやられた事、相当根に持ってるな〜。







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