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第63話 回復役回復役うるさい

『姫様チームは勿論この人、騎士団団長のブラウ選手が出てまいりました!』


 あれ? ブラウって、まだ団長のままなんだ?

 それとも、まだ降格になった事を公表してないのか?


「兄さんが団長を降格になった事は、まだ公式には発表してないのデス」

「そ、そうなんだ」


 トウカに心を読まれた。


『かたやチーム高学歴は、まだ誰も前に出て来ません。それどころか、戦う前からチーム内で何やら揉めているように見えます!』


 チーム高学歴の3人が、円陣を組んでいるように向かい合って何やら言い合いをしているようだが、さすがに小声で話しているようで、会話の内容は聞き取れない。

 

「良いな!」

「わ、分かりました」

「チッ! 仕方無ぇなぁ。じゃあ行くか!」


 処方せんが後ろに下がり、計算機とGPSが前に出て来る。


『ようやく出てまいりました、チーム高学歴! ブラウ団長に相対するのは、圭選手とカーナビー選手だー! 騎士団団長を相手に、どこまでやれるでしょうかー?』


「あたしが居る事も忘れてもらっちゃ困るっス! メテオ!」


 ブラウの後方から、隕石魔法を放つロッタ。


「圭! 半歩後ろだ!」

「ハイ!」


 GPSの指示で後ろに下がった計算機の目の前に、ロッタの隕石が落ちる。


『ロッタ選手の魔法を紙一重で避けた、チーム高学歴!』


「あたしのメテオをアッサリかわされたっスか? オドオドしてた割には、中々やるっスね〜」

「俺も居るんだぞ!」


 ロッタが魔法を撃っている間に、計算機の間合いに入っていたブラウ。

 

「いつの間に?」


 ブラウの剣を何とかかわそうとした計算機だったが、左腕を負傷してしまう。


「痛いー! だけどねっ!」


 左腕を斬られながら、持っていた小瓶のような物をブラウに投げつける計算機。


「何だ?」


 それを難なく盾で防御するブラウ。

 割れる小瓶。

 だがそれを見た計算機がニヤリと笑う。


「グッ! な、何だ?」


 異変を察知したブラウがすぐさまその場から離れる。


「逃げたって無駄だよ。もう吸っちゃったでしょ?」

「グウッ! か、身体が?」


 見る見る顔色が変わり、片膝をつくブラウ。


 何だ? 毒か何かか?


『ああっとおー! 圭選手を斬りつけたブラウ選手ですが、どういう訳か追い討ちをかけずに後退してしまったぞー?』


「ブラウ! ピュア!」


 すぐさま浄化魔法をかけるエスタ。


「ありがとうございます! 姫様!」

「クッ、さすがはエスタ様。ワシの毒なんか物ともせんか……圭!」


 計算機に小瓶を投げる処方せん。


「ありがとうございます! 仙さん!」


 その小瓶に入っていた液体を傷口にかけると、見る見る計算機の腕の傷が治っていく。


 魔法と薬の違いはあれど、能力はエスタに匹敵するかもなぁ。


「ブラウ! 狙うはあのお婆さんっス!」

「分かっている!」


 狙いを処方せんに切り替えたブラウ。


「援護するっス!」


 火炎弾を無数に放つロッタ。


「当たらねーよ!」


 またしても火炎弾を紙一重で避ける、GPSと計算機。


「そういう能力っスよね? でも足止めにはなるっスよ!」

「クッ! 仙さん、逃げて!」

「もう遅い」


 回復薬を飲む間も無く、ブラウの一撃で気絶する処方せん。


「仙さん!」

「クソぅ!」


『ああーっとブラウ選手! 真っ先にか弱いお年寄りを仕留めたああー! 試合とはいえ非情です!』


「回復役を先に倒すのは定石だろう!」


 実況者に文句を言うブラウ。


 回復役の処方せんを倒したか……これで、チーム高学歴の勝ちはほぼ無くなったなぁ。


「回復役を先に倒すのは定石……確かにその通りだ!」


 今度はGPSが、エスタに向かって走り出した。


 あいつも回復役のエスタを先に倒す気か?


『カーナビー選手! ヤケになったのか、親衛隊を相手に特攻をかけたああ!』


「行かせるか!」


 GPSに斬りかかるブラウ。

 しかしその剣をまた紙一重でかわすGPS。


「だから、当たらねーよ!」

「何やってるっスかブラウ! 使えないっスね〜!」

「お前、俺の扱いどんどん酷くなってないか?」

「そりゃ当然っスよ! アイスウォール!」


 GPSの前方に氷の壁を作り出したロッタ。


『ブラウ選手の攻撃を上手くかわしたカーナビー選手の前に、氷の壁が現れたあー! これはさすがに進めないかー?』


「ジーピー! 2歩右の壁が脆いです!」

「オーケー!」


 計算機の指示で進路を少し右に変え、氷の壁に突撃するGPS。


『カーナビー選手、速度を落とさず氷の壁にぶつかったああー!』


 次の瞬間、GPSが体当たりした部分の壁だけが砕け、穴が空いた。


「んなっ? 固まりきっていない箇所を狙われたっス? 姫様!」


 氷の壁を突き抜けたGPSが、その勢いのままエスタに襲いかかる。


「試合ですから、無礼講でお願いしますよー!」

「大丈夫ですよぉ。あなたの攻撃は私には届きませんからねぇ」


 GPSのパンチは、エスタの張った防御魔法に阻まれ届かなかった。


「なっ!」

「お返ししますぅ」

「グハァ!」


 何かに弾かれたように、後ろに飛ばされたGPS。


「貴様ああ! 姫様に手を上げるとは、何たる無礼なああー!」

「いやだって、これは試合……」

「問答無用ー!」

「グギャアアアアー!」


 倒れたGPSをタコ殴りにするブラウ。

 それと同時に、計算機を倒していたロッタ。


「やはり強過ぎる……ガクッ」


『一瞬んー! 試合が動いたと思った瞬間、一瞬で決着がつきましたああー! 1回戦第3試合は、姫様チームの勝利ですー!』


「やっぱ姫様のチームが順当に勝ち上がったね、トウカ」

「あいつうう〜、エっちゃんに殴りかかるなんて、後で八つ裂きにするDeath」


 今度は語尾が物騒になってますよ、トウカさん。










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― 新着の感想 ―
ちょこちょこ発言が物騒なトウカさん( ˘ω˘ )
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